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経済成長、さようなら

□景色
たしかに経済成長は人々を豊かにし、幸せをもたらしてくれた。この70年で世界の人口は3倍に増え、経済はもっとずっと成長した。しかし地球は成長しなかった。
かつては漁獲量の限界を船の数と技術力が定めていたが、今は海にいる魚の数とその再生能力が定め、かつては石油産出量の限界を掘削装置とくみ上げポンプの数と技術力が定めていたが、今は地下に残っている原油量(または大気が二酸化炭素を吸収できる量)が定めている。
どんなに人が増え経済成長し、人と経済活動が地球上の全てを覆ったとしても、地球資源が増えることもなければ、地球自体が大きくなることもない。そして、私たち人も経済も、その有限である地球に支えられている。であれば、いつしか私たちは人口増加も経済成長も止めざるを得ない。

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経済成長を止める基準は2つある。1つ目は、GDPは一単位成長するごとに限界費用が増加する一方で限界便益は減少するため、限界費用と限界便益が等しくなる点(上図の交点)である。2つ目は、GPIやISEWの指標を用いて、GDPは増えているにもかかわらず、その2指標が増えなくなった点、または一人あたりのGDPが増えているのに幸福度の自己評価が上がらなくなった点(おおよそ年2万ドル)である。
所得の高い国において、幸福の決定要因はGDPではない。友人関係、結婚、家族、社会的な安定性、信頼、公正さであり、経済的リターンのためにそれらを犠牲にすることになればGDPは増えても幸せは減る。

□本

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『「定常経済」は可能だ!』
ハーマン・デイリー 岩波ブックレット 2014年

目次
はじめに
Ⅰ なぜ「定常経済」が必要なのか
Ⅱ 「定常経済」とは何か
Ⅲ どうやって「定常経済」へシフトするのか

要約 
先進国はまず脱成長しその規模を縮小し、持続可能な水準になってから、定常経済に移行していくべきである。
(*定常経済とは「一定の人口と一定の人工物のストックを持つ」経済のこと)
(*人工物のストックは、長期間にわたって人々が良い暮らしを送るのに十分であることと、①再生可能な資源の利用速度は、その資源の再生速度を超えない②再生不可能な資源の利用速度は、再生可能な資源を代用できる速度を超えない③汚染物質の排出速度は、環境が汚染物質を循環し、吸収し、無害化できる速度を超えないことが条件)

□ひとりごと
後日、音声公開予定

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