本当の幸い
□景色
賢治が大切にしたことは、他人の悲しみを十把一絡げにするのではなく、その一人ひとりと向き合ってその人の悲しみを聞きなさいということ。それを自分の責任として感じ、その人のために何かをする。そういう小さな善意を、本当に大事にした人だった。
□本
□要約
「雨ニモマケズ」の詩でもそれはうかがえる。
この詩には大切な部分がたくさんあるが、強いて最も重要なキーワードを探すなら「行ッテ」という言葉。
ただ口先で相手の幸せを祈るのではなく、自分の体を使って相手のためになにかする。そうしないと相手は幸福にならないし、相手が幸福にならないと自分も幸福にはならない。「行ッテ」は、彼の生涯を象徴する大切な言葉。
賢治なりの真実は、相手の幸福のために行動すること。そうすることで自分も幸福になれると信じた。
すべての人に、なにかできることがある。世界を自分なりにとらえ、自分にできることはなにかを問い、実際の行動に移していく。これこそ、自分の信念と使命にその短い生涯を燃やした宮沢賢治が今を生きるすべての人に送るメッセージ。