□要約
直面しているのは、自分一個の問題ではなく、「人類の悩み」、誰もがどこかで直面する普遍的な問題だと神谷はいう。個の問題を深めていくことと人類の問題にふれることは矛盾しない。
苦しみのない人生、悲しみを経たことのない生涯は存在しない。自分の苦悩や悲痛は自分個人のもの、誰もそれを完全に理解できない、誰もがそう感じ、それは事実。しかしその厳粛な事実はそのまま、それぞれの人生の深みで私たちは、思いもしないかたちで未知なる他者とのつながりを発見することがある、個に起こった出来事を深めること、その道行きこそもっとも確実な普遍へと続く旅路になると神谷はいう。
□本
□景色
神谷は「生きがい」とは何かを考えるときの導線となる四つの問いを挙げる。
個から普遍へ、「わたしは」から「人生は」へ、と階段を昇るように変化していく。「私」という不安定な、ときに普遍性を欠く存在の、生の決定的実感から出発する。「生きがい」を見失った人が何を求めているのか。
いのちの泉「生きがい」の源泉は、誰も他者に与えることはできない、これは厳粛な事実で、一見すると大きな困難、翻ってみると、これほど大きな希望はない。人間を生かす根源的なはたらきが、すべての人にすでに付与されている。「生きがい」は潜在的にすべての人の人生に存在している。