□要約
水俣病の原因をつくり出した人々は、学業的にはとても「優秀」な人たちだった。工場関係者が目指したのは頭で考えた論理、そして成功と経済発展。頭だけで世界を認識するとき、いかにいのちが見えにくくなるか。
□本
□景色
国や会社が命じたと述べ、非人格的な表現をとり、特定の人間には責任がないかのように語る者たち。そこに働いているのは人間だけなのに、人間がやったのではないような表現を押し付けられる。
筆者が詩とは何か、石牟礼に問うた。沈黙をはさみ
力と量によってのみ価値をはかろうとする「近代産業」の暗部に生まれた、命名し難い化け物に立ち向かうには、人はひとりにならなければならない。化け物は、群衆によってつくられた。人は群れた途端に見えなくなる。だがひとりでいるとはっきり見える。群れと闘いうるのは、もう一つの群れではなく、個である確信が石牟礼にはあった。