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「金を置いて出ていけ」

父は私にそう言った。茨城県東海村の研究所への常駐先が変わると伝えたときのことだ。私の新しい仕事の話をしただけなのに、父の口から出た言葉はそれだった。

「おお…クズだ….やっぱりこいつはクズだ。クズすぎる…」

心の中で呟いた。結局、この人は私にとっての父親ではなく、ただの「クズ」だった。

東海村にいたのは4年ほどだったか。年末年始に実家に帰ることはなかった。いや、帰れなかったと言うべきだろう。

年末、母から電話がかかってきた。

「あいつに帰ってくるなって言っておけ」

父にそう言われたと、母は伝えてきた。その言葉は、もう何度も繰り返された言葉の一つだ。

「だって、帰ってくると荒れるから」

家族が集う年末年始に帰ってはいけない。父の怒りや暴力が家中を荒らすから。

家族の中での私の存在は、いつも「無かったこと」にされる。

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