散文詩『雨風の音、空の声』
きょう(2020/04/18)、東京は洪水警報が出るほどの大雨。
雨の音を聞きながら、こんな日のための詩を書きました。
※この作品は #おうちで読もう に参加しています。雨の日にでも朗読していただけたらうれしいです。一人称はご自由にどうぞ。
雨風の音、空の声
作:尾崎 太祐
梅雨入りにはまだ早いのに、降り続ける雨。土砂降りの雨。
「空が泣いている」だなんて、詩のような表現があるけれど、
これじゃあ号泣だ。
遠くでサイレンが鳴っている。
まるで、世界が終わってしまうことを伝えるかのように。
空が、私に訴えかけてくる。
でも、ここにいる私に、いったいなにをしろというのだろう。
いま、なにができるというのだろう。
風も強くなってきた。低く唸るような音。雨戸を強く揺さぶっている。
「春の嵐」というと、清々しい桜色を連想するけれど、
実際は深い深い灰色だ。
どこからか学校のチャイムが聞こえてくる。
こんな日でも、世界が止まっていないことを示すかのように。
空が、私に語りかけてくる。
でも、ここにいる私は、いったいどう答えればいいのだろう。
いま、なにができるというのだろう。
途切れることのない、音、音、音。
私はどうすることもなく、ただここにいて、
空の声に耳を澄ます。
じっと静かに、心を溶かしてゆく。
ああ、この空はたぶん。
私の気持ちと、不安定な世界と、
つながっているのかもしれないな。
雨と風は、まだやまない。
(おわり)
※掲載している作品は、予告なく改稿することがあります。
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