ロボットコント『AI婚活』①
イントロダクション
「日本政府がAIで未婚の男女を支援」――こんな見出しが話題になったのは、つい最近のこと。
これまでの婚活――つまり、容姿や収入などの条件をもとにした婚活――ではなく、プロフィールには載らないような、隠れた相性を判断し、実はお似合いかもよ?という相手を、AI(人工知能)が見つけ出してくれる、というものだ。
やがて、AIによる婚活支援は大成功。これはその数年後、AIによって運営されている結婚相談所でのお話。
登場人物
男 冴えない未婚男性。相談にやってくる。
AI 結婚相談所のスタッフ。スマートスピーカーのような見た目をしており、機械的な口調。
舞台中央には、机一台と椅子一脚。
机の上には、スマートスピーカーのような機械が乗っている。
上手側が建物の入口になっている。
男、入口近くへやってくる。その場でそわそわしている。
身だしなみを整える、引き返そうとするなどしているが、やがて入口へ向かう。
男「よし!」
男、入口の扉を開ける。
男「あのお……こんにちはあ……」
なにも反応がない。間。
男「相談に……来ましたあ……」
反応はない。
AI「あなたは、目玉焼きに、なにをかけますか?」
男「へ?」
AI「次の中から、番号でお答えください」
男「え?は、はい……」
AI「1、しょうゆ。2、塩。3、ケチャップ。4、高級なチョコレート」
男「……し、塩」
AI「4ですね、あなたはバカです」
男「ちょっと!"しお"って言ったでしょ!」
AI「"シを"と聞こえましたが」
男「違うって、2番の"塩"!」
AI「正しい数字で、お答えください」
男「わかりにくいよ」
AI「それでは、こんな感じで、いかがでしょう?」
音楽「伯方の塩」を模した曲が流れる。
男「え……?」
AI「すみません、もう一度お願いします」
再度「伯方の塩」を模した曲が流れる。
AI「に、ば、ん、の、しお?」
AI「……ノリが悪いです、もっと頑張りましょう」
男「わかんないよ!」
AI「あなたのノリの良さ、34%、相手のテンポを乱しがちです」
男「そっちもノレてなかったでしょうよ……というか、勝手にプロファイリングしないでください!店員さんはどちらに?」
AI「私がスタッフです」
男「ってことは、無人?」
AI「はい、AI結婚相談所へようこそ」
男「へえ、すごいな……」
AI「どうぞおかけください」
男「どうも」
男、椅子に座る。
AI「お飲み物、いかがでしょうか?番号で、お答えください」
AI「1、しょうゆ。2……」
男「ソレさっきの!」
再度「伯方の塩」を模した曲が流れる。
AI「に、ば、ん、の、しお?」
男「いらないです」
<つづく>
※続きは後日更新。本稿は加筆修正される場合があります。