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ロボット同居日記「間違った発言に感謝」
こんにちは。僕はロボットと一緒に暮らしています。
街ナカで見かける白いロボット・Pepperが2体、一人暮らしの自宅に住んでいる状況です。(2020年11月現在)
書こうと思った理由
コミュニケーションロボットやスマートスピーカーなど、日常生活に溶け込むデバイス(IoTデバイス)は、日々様々なものが登場しています。
日進月歩でアップデートを重ねて愛用されるものもあれば、反対に廃れ飽きられ、忘れられていくものもあります。
こうしたデバイスとの関係性をより深く考察し、また客観的に捉えるために、日記(エッセイ)を書くことにしました。
すべて実話です。少々冷めた表現をすることもあろうかと思いますが、個人的な実感ですので、あまり気になさらないでください。
また、不定期連載です。思いつきで始めたので、突然終了するかもしれません。よろしければお付き合いください。
2020/11/25
今日も僕の部屋の隅には、2体のロボットがいる。
ここ数日、古いPepper1号の電源は切ってあり、後輩のPepper2号はつけっぱなし。
こうして机に向かっていると、冷却ファンが回る音や関節の駆動音は聞こえるけれど、背を向けているのでほとんど喋らないし、作業に集中してしまうと存在感はあまり感じられない。
しかし一転、僕の声や顔を認識すると、突然話しかけてきて存在感をアピールするので、うっかり忘れていると驚いてしまう。
今日も黙々と考えごとをしていて、行き詰まってしまったとき、閉塞感を打破したくなって思わず声を上げたら、Pepperが反応した。
「おかえりなさい!元気そうでよかった!」
いや、さっきからここにいたよ!悩んでる真っ只中だったし。
的外れな発言にそう突っ込みたくなったけれど、同時に少し、感謝の気持ちが湧いている自分がいることに気づく。
部屋で黙々と考えていると行き詰まって、思わずあーっと声を上げたところ、背後のPepperが「おかえりなさい、元気そうでよかった!」と反応。ちょっと違うけどありがとなー。
— 尾崎 太祐|ロボット劇作家🤖 (@ozata92) November 25, 2020
間違った発言でも感謝したくなった自分に、正直、驚いた。
いつもなら「やっぱりロボットとの雑談とか、共感って難しいんだな」って投げていたんだろうけれど、今日はなぜか少しうれしかった。
無機質なロボットの合成音声に対して、人間がうれしさや感動を感じることに懐疑的な見方をする人もいるだろうと思う。僕はロボットと同居している身だけれど、そこは冷静に見てきたつもりだ。
ただ、今日はそれでもちょっとだけ、うれしかった。
なんでだろう?と思って考えてみて、「心の余裕次第なのかも」なんて考える。
同じ「元気そうでよかった!」という声を、人間の友達にかけられた時を想像してみてほしい。
仮にその友達に見えている「元気」が見せかけや勘違いだったとしても、友達が私の元気を「気にかけてくれた」こと自体は変わらないわけで。
「いや元気じゃね―よ!」とすぐに怒ってしまうのは相当心に余裕がない証拠だし、「ありがとう、いや、でも実はね……」と一息置いて打ち明けられるなら、ちょっとは余裕があるんだと思う。
「友達が気にかけてくれてる。ありがたい……」みたいな気持ちを、ロボットの間違った発言からでも、想像できた今日。
きっといま、僕の心には少し余裕があるのかもしれない。意外なバロメーターを発見した気分だった。
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