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【エンタメ横断ニュース】ぴえろが韓国アニメスタジオと提携、GENDAが富士急行と提携、任天堂の音楽配信サービス、東宝のアジア拠点(24/11/4)

こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。

今週は下記の4つのニュースを紹介します。


ぴえろ、韓国アニメ制作会社「RDCH」と業務提携

ニュースサマリ

ぴえろは、韓国のアニメーション制作会社「Red Dog Culture House」(RDCH)と、世界市場をターゲットとしたアニメーションの共同製作及び出資に関して8月に業務提携契約を締結したと発表。
ぴえろとRDCHは、今後3年間を視野に日本で組成する製作委員会によるアニメーションの共同製作及び出資を行い、全世界へ魅力的な作品の展開を進めることに合意。
業務提携の最初のプロジェクトとして、RDCHが展開するウェブトゥーン『Latna Saga: The Survival Sword King』(原案:Lim Kyung-bae、作:Kwon Soon-kyu、Studio K-hit、邦題:『異世界剣王生存記』)のアニメ化が決定しており、今年中に本格的な制作が開始される予定。

分析、所感

ぴえろと言えば、NARUTO-ナルト-』『おそ松さん』『幽☆遊☆白書』などのアニメ制作を手掛ける国内でも有数のスタジオ。

上記の記事のように、著作権という“権利”をバランスシートに反映させるなどアニメスタジオの経営面でも先進的なスタジオです。

そんなぴえろが、今回業務提携を結んだのが設立10年のRDCH。Netflixの『Love, Death + Robots』(邦題:『ラブ、デス&ロボット』)、『The Witcher: Nightmare of the Wolf』(邦題:『ウィッチャー 狼の悪夢』)、『Dragon Age』(邦題:『ドラゴンエイジ:罪のあがない』)やBilibiliの『天官賜福シリーズ』といったアニメに携わってきたとのこと。

RDCHは、その他にもWebtoon、Webnovel事業も手掛けています。公式サイトを見ると、このWebnovelは「アニメーションとウェブトゥーンによって、再び読者に届けられる。」とあるので、IPのタネとして、自社でクロスメディア展開されているようです。やっていることは出版事業があり、自社IPをアニメ化している京アニと同じですね。

アニプレックスが韓国Webtoon、中国アニメを日本でアニメ化展開していますが、製作委員会ビジネスに知見があるアニメスタジオが韓国IPをアニメ化しに行った新しい流れですね。

ぴえろは委員会出資でアニメの商品化権を持つこともありますが、RDCHの製作委員会メンバーがどんな顔ぶれになるのか注目です。

GENDA、富士急ハイランド運営と協業開始

ニュースサマリ

GENDAは、富士急行株式会社との協業を開始。
第一弾として、GENDAのグループ会社のGENDA GiGO Entertainmentが展開するアミューズメント施設「GiGO」を富士急ハイランド内にオープン。また、同じくのグループ企業のダイナモアミューズメントと富士急行の共同企画によって制作された新VRアトラクションも富士急ハイランド内にオープン予定。

分析、所感

M&Aと出資でエンタメコングロマリット化を進めているGENDA。いつかGENDAグループについてまとめてみたいのですが、毎月のように買収を重ねているので諦めましたw GENDA会長の片岡さん自ら発信されているので、そちらで事足りています。

協業という形ですが、富士急ハイランドにアトラクションを展開するとのことでテーマパーク業界に進出したことに注目すべきだと思います。ダイナモアミューズメントの実績を見ると、ウルトラセブン、プロセカ、ロックマン、鬼滅の刃など有名IPを多数手がけており、GENDA主力事業のゲーセンの景品等ともシナジーあります。

IPホルダーを買収してないGENDAですが、いつか買収するのか引き続きチェックです。

任天堂、音楽配信サービス「Nintendo Music」発表、いきなり配信

ニュースサマリ

任天堂は音楽配信サービス「Nintendo Music」を発表、発表当日に配信開始。対応プラットフォームはiOS/Androidで、Nintendo Switch Online加入者向けに提供される。

分析、所感

少し前のエンタメ横断ニュースで紹介したのですが、目覚まし時計の「ニンテンドーサウンドクロック Alarmo(アラーモ)」を発表してその日に発売している任天堂。

ゲーム、グッズ以外でのIP展開に積極的な印象でして、消費者の可処分時間を取りに来ている動きだと思います。睡眠という人間が避けては通れないところに目覚まし時計で攻め、専用の音楽配信サービスで消費者の移動・作業時間に任天堂IPに触れさせる・・・。

Nintendo Musicのサービス自体も素晴らしく、ゼルダ姫やヨッシーなどキャラごとのプレイリスト、ボス戦などゲームシーンに合わせたプレイリスト、ネタバレ防止機能、曲の長さを変えられるなど、サービス設計も秀逸で安定の任天堂の高クオリティ。

任天堂はある時からIP企業への転換を踏み切ったわけですが、今後も続々とゲーム以外のサービスが出てくるかと思うので注目です。

東宝、シンガポールで現地法人を立ち上げ

ニュースサマリ

東宝は、アジア地域の事業拡大を目的にシンガポールに戦略拠点を設けた。現地法人Toho Entertainment Asia Pte. Ltd.(TEA)を設立。アジア市場に向けて、「ゴジラ」やTOHO animation 作品などのライセンスやマーチャンダイジングをはじめとする各事業を広く展開していく考え。

分析、所感

20241031508079.pdf (storage-yahoo.jp)

埋め込みできないのですが、上記リンクで東宝からのプレスリリースを載せておきます。この前の決算説明でもアジア地域における拠点をシンガポールに作るとありましたが、それが今回のTEA。決算説明ではヨーロッパ、中東、アフリカの事業展開を目指すとあるので、そのうち立ち上げのニュースがまた出るでしょう。

TOHO Global社長の植田浩史氏がCEOに就任します。以前、東洋経済のインタビューで下記のように答えており、現地オフィスを持つとやはり情報の鮮度と精度が上がるとのこと。また、自社配給であれば興収からの利益が大きいとのことです。

「現地にオフィスを持つことには多くのメリットがあります。まず情報の鮮度や精度が格段に上がります。それによってスピーディにアクションを起こすことが可能になり、現地の関係会社としっかりと信頼関係を築くことで、日本の考え方や事情も伝わりやすくなります。そしてなにより、自社配給であれば興収からの利益が大きい。これから全世界で地域ごとにTOHO Globalの地域統括会社を立てていく戦略があります」

北米で快進撃「ゴジラ-1.0」ヒットの"4つのカギ" TOHO Global社長の植田浩史氏にインタビュー | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

マーケットディレクターは、村山ファビオ隆運氏。Linkedinからご経歴を拝見すると、バンダイに23年1か月務めた後、24年4月からTOHO globalのAsia headとのこと。恐らくバンダイでも海外もしくはアジア展開に携わっていたものと予想されます。

東宝は今後も海外展開を積極的に行うとのことで、映画業界、アニメ業界どちらも東宝と組みたがるプレイヤーは増えそうです。東宝の快進撃はしばらくは続く予感がします。

今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!


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村田泰祐
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