【エンタメ横断ニュース】Netflixの劇場公開とフード事業、アニプレックスがGL事業に参入
こんにちは!マンガIPのライツを担当している村田です。
今週のエンタメ横断ニュースを4i紹介します。
Netflix「シティーハンター」劇場公開、ほろよいとコラボ
ニュースサマリ
Netflix映画『シティーハンター』が2週間限定でイオンシネマ シアタス調布、イオンシネマ シアタス心斎橋にて上映。上映期間中は、入場者特典として原作者・北条司が描き下ろしたイラストのポストカードが来場者全員にプレゼントされる。
「ほろよい」とコラボして〈ネトフリコーラサワー〉を販売。Netflixにとって初のアルコール飲料とのコラボ商品になる。「イカゲーム シーズン2」「あいの里 シーズン2」「極悪女王」「トークサバイバー!ラスト・オブ・ラフ」をそれぞれ描いた2種類のオリジナルデザイン。
分析、所感
Netflixの最近気になる2つのニュース。まずは世界50の国と地域でトップ10入りを果たしたNetflix映画の中でも人気だった「シティーハンター」の劇場公開。
Netflixは国内外問わず劇場公開をする手段を用いていまして、日本でも劇場公開してきた経緯はあります。どうやら国内の場合はイオンシネマで公開するというのが座組として決まっているようです。Netflixを脅威と感じているはずの東宝、松竹が公開させれくれなそうな理由もありそうです。
劇場公開をする理由についてNetflixの映画責任者は理由は様々と述べたうえで、映画業界のエコシステムにおいて配信と劇場公開の適切なビジネスモデルを模索しているという大義名分のようなものを掲げています。
アメリカではニューヨークの老舗映画館パリス・シアターを長期リースするという契約を、ハリウッドのランドマーク的存在であったエジプシャン・シアターを買収など映画館を実際に手に入れています。
この買収の動きは、Netflix作品を自由に上映することのできるフラッグシップ的な劇場を持とうしているという見方があり、アメリカでの文脈としてはハリウッドでのポジション取りの戦略の1つと考えられています。例えば保有している劇場で新作作品のイベントをするみたいな使い方ができるわけです。
個別の「シティーハンター」の劇場公開でいえば、純粋に国内外でも人気を博したNetflix映画なので劇場で観たい人も多そう、アニメ映画の『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』は興行収入15億円を突破するそもそも人気の根強いIPなので非会員も劇場に呼び込めそうという、公開するメリットがあったものと考えられます。
そして、サントリーの「ほろよい」とのコラボ商品の販売は、映画観賞用ドリンク、フードのパイを日本市場でも取りに来たと考えられます。
実はアメリカではポップコーン事業に参入、韓国でもポテトチップスも販売するなどフード事業も参入しています。今回は日本市場に合わせて、配信作品とのイラストコラボという形で手を打ってきたと見れるでしょう。
コンテンツ産業官民協議会・映画戦略企画委員会合同開催
ニュースサマリ
第1回コンテンツ産業官民協議会・第1回映画戦略企画委員会が開催。コンテンツ産業・映画産業を強化するための課題について議論が行われた。
分析、所感
政府は、アニメ・音楽・放送番組・映画・ゲーム・漫画といったコンテンツは、日本が誇るべき財産ということで「知的財産推進計画 2024」及び「新たなクールジャパン戦略」において基幹産業と位置付け、戦略的に取り組むことにしています。
岸田首相も出席していまして、民間からは庵野監督、俳優の大沢たかおさん、Netflixの日本トップの坂本さん、カプコンの辻本社長、東宝の松岡社長など日本のエンタメ会をけん引する名だたるメンバーも参加しています。
以前、「新しい資本主義実現会議」でもエンタメ産業が議題の回がありまして、その回で参加されている是枝監督も今回出席されています。その際の会議をサマリしたnoteは別途書いてますので、ご参照ください。
庵野監督はリモート参加のようで、その様子がゼーレっぽいとX上で話題になっていましたが、庵野監督の意見をきちんと見てみたいと思います。庵野監督の意見は、下記の大きく3つです。
まず、アーカイブの早期実現ですが、制作過程で出来上がる中間生成物に直接触れる事が子どもや若者がクリエイターへの道のキッカケ、更現役クリエイターのモチベーションの高揚、センスや技術の向上にも役立つというのが庵野監督の主張です。確かに庵野秀明展でも庵野監督の子どもの頃のスケッチ、学生時代の映像作品、エヴァ、シン・ゴジラの中間生成物が多く展示され、エンタメに関わる仕事の意欲が私自身もかなり向上したことがあります。
次に人材育成の支援。これは是枝監督、カプコンの辻本社長など皆さんが提言する重要なテーマです。最後が映像産業への税制優遇制度。日本ではこの種の制度がないとのことで、確かに多くの資金がかかるエンタメにおいて重要な制度かと思いました。
ソニーミュージック、Zeppを完全子会社化
ニュースサマリ
ソニー・ミュージックエンタテインメントは、グループ会社でライブ会場を運営するZeppホールネットワークを完全子会社化。共同出資の官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が保有するZepp株49%を取得した。
分析、所感
Zeppのライブハウスに行ったことがある人は多いかと思いますが、Zeppは1997年にソニー・ミュージックエンタテインメントとエイベックスの2社が合弁で株式会社ホールネットワークを設立したことが発端です。
その後、かつてあったソニー・カルチャーエンタテインメントの完全子会社となり、株式会社Zeppホールネットワークに名前を変え、2017年にクールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)により出資を受けました。
出資の理由としては、アジア各都市にライブホール「Zepp」を展開、日本の音楽をアジア圏で継続的に発信する拠点にすること。
その後、台湾、クアラルンプールにZeppを設立します。ただ、当初の目的は23年までにアジア8都市での開業の計画でした。クールジャパン機構の担当者は下記のように話しており、日本の音楽やアーティストを海外に広める役目は終えたとのことです。会社としては、またソニーの元に戻ったということですね。
クールジャパン機構の成否についてエンタメ社会学者の中山さんが、かなり突っ込んだインタビュー記事をされているのですが、クールジャパン機構の人からのコメントはやり切れてない感を感じます・・・。Zeppについてはコロナもあって海外展開できなかったのかなとも思いますが・・・。
アニプレックス、新ブランド「aLiL」始動
ニュースサマリ
女性同士の間に生まれる愛情や友情を描くアジア発の実写作品の日本語版を届けるアニプレックスの新ブランドが始まった。
第1弾作品として、累計再生回数8億回を突破しているタイ発の大人気GLドラマ「ギャップ・ザ・シリーズ(GAP The Series)」、第2弾作品としてbilibili動画で総再生回数1.5億回を超えたる中国発のシスターフッド・サスペンスドラマの「双鏡 -Couple of Mirrors-」の展開が決定した。
分析、所感
簡潔に言うと、アニプレックスがアジア発のGL(ガールズラブ)作品を日本に持ち込む事業を始めたということです。日本国内ではBL作品が実写ドラマ化、アニメ化されてかなり裾野が広がってきた感覚ですが、まだGL作品というのは国内では少ない気がします。
「aLiL」を立ち上げた、アニプレックスの制作プロデューサーのインタビュー記事が出ていたので紹介します。
立ち上げたプロデューサーの方がそもそもジャンルの百合が好き、中国のアニメ作品の輸入展開の成功体験、アニメのアフレコのノウハウの3点がかけ合わさって立ち上がった・・・ということのようです。個人、組織の成功体験、ノウハウ活用できるという新規プロジェクトが立ち上がるのに素晴らしい条件が整っていたようですね。
個人的には百合、女性同士の関係性を楽しむファン層があまりつかみ切れていないですが、どんな方がファンとして熱中していくのか追いたいと思います。
今週のニュースは以上です。分析、所感は間違っている理解や知識があるかもしれませんので、もし気づいたらご指摘ください・・・。それでは、また来週お会いしましょう!