義務教育終了後の足跡⑤: 学部4年

学部卒で就職する気満々だった私が、修士卒の方が給料がいいから、もう少しモラトリアムを楽しみたいからという理由で大学院進学を決意するところまで前回のnoteに書きました。

大学院への進学は当然入学試験があります。私が所属していた学部学科ではGPAが一定以上あれば推薦入試を受けることができ、簡単な面接でほぼ100%合格が保証されます。私はというと、だらしのない大学生でGPAを理由に研究室を変更するくらいの成績でしたので推薦入試を受ける資格がなく、一般の筆記試験を受けることになります。これがまた大変でした。

試験問題は学部ですでに習っていた科目から出ますし、出てくる問題は単位を「しっかり」と取得した人にとっては解けて当然のものです。だって、単位を取ってるのですから。前回のnoteでも書いたように、私は単位を「しっかり」取得したわけではなく、かろうじて、その場しのぎで取得していたので入試の過去問を見ても全く解けません。一体3年間私は何をやっていたんだか...とここで後悔していればまだ救いようはあったのでしょう。この時の私は、「まあ仕方ない。みんなこんなもんだろう」くらいの感覚でした。相変わらず愚かだなと振り返って思いますが、じゃあ、このときの入試の問題を今の私が解けるかと問われれば絶対に解けません。結局、入試も通るためだけに勉強し、合格したら内容も忘れてしまうのです。成長していませんね。

ただ、決して褒められたものではありませんが試験をうまいことパスする能力は3年間の大学生活で培われていたので、何とか入試には合格し、大学院への入学が決定します。

大学院の試験が4年の夏くらいにあり、春から夏は試験勉強をしながら、指導教官に与えられたテーマで卒業研究に取り組むという日々を過ごしていました。研究は大変でしたし、何より基礎知識がないので何からすればいいのか分からない。指導教官や先輩に手取り足取り教えてもらいながら、ゼミやら実験やら何とかこなして...という目まぐるしい毎日でした。今までの3年間は一体何だったんだろう。今やっとちゃんと大学生をしている気がする。と思うほどでした。学部1年の時からこれくらいの意気込みで取り組んでいたら今頃の俺はもっと...みたいな若干の後悔がやっと1mmくらい芽生えたのでした。すぐ摘まれてどこかへ行ってしまうのですが。

そうこうしていると、それなりに実験結果が出てきます。このときのなんとも言えない高揚感が、私を研究者の道にいざなったのだと思っています。

「研究って、案外楽しいな」

と思うようになってきます。ここでやっと修士に進学する理由に「研究」というワードが急上昇してきます。修士課程でもう少し研究してみたいな、と。

一見、いい感じに軌道に乗ってきているように見えますが、後に私を苦しめる要因がここに潜んでいました。いい感じの実験結果が出てきたこの研究は一体「誰の研究」で「誰のための研究」か、この時の私にはあまり見えていなかったのです。

今日はこの辺で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?