卓見。真に知のある人は、寛容で冷厳でもある。

文化人というものは「俺には理解できんがどうやら誰かにとっては価値があるものがこの世には色々とある」ことを知って行えるのが文化人
コレが出来ないのは全部畜生

— 来世は工口触手＠キール (@aoJvqLcHOrs7UWg) November 13, 2021

まさにその通り。

日本・あるいは、西欧は、畜生のシマ

「体系を丸ごと受け入れるか否か」という一神教的発想が強まった近現代日本では、仏教に言及したら坊さん、国学に言及したら神道家、儒学や老荘に言及したら中国人とか言い出しかねない所がある。こういう短絡さに嘆息する。よいと思ったものを自由きままに取り入れ参考にした昔の日本人の気風を慕う。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 7, 2021

「中道」を「事実と道理（事理）に沿って思考・判断する事」と定義した事があるが、「道理」には「物事は複数の原因・条件によって成り立つ」という理も含める。「物事には唯一の原因しかない」と決めてかかると、思考上の盲点を生み判断が偏りがちになる。複数の原因を想定すれば多角的に検証出来る。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 8, 2021

「複数の原因を想定する」と言っても、主要な原因と副次的な原因を見極める事も重要である。複数の原因の中で結果に及ぼす影響の大きさの大小はあり得るし、複数の原因のそれぞれが結果に対して等しい影響を持つ場合もあり得る。後者の場合は原因同士が対等で主要な原因と副次的な原因が区別されない。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 8, 2021

次に「空」は現象は形而上学的な独立の実体を欠いているという事を意味する。空は「関係的成立」を意味する「縁起」を裏側から述べたものと言える。「縁起」を裏から「空」と表現する事で関係論が確立する。物事の実体視の否定が「空」と表現された。廣松哲学で言う「物象化的錯視」の否定が「空」。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

「空」は実践的には「とらわれない事」「執着しない事」「無著＝著無し（三論玄義）」「無着（兵法家伝書）」などと解釈される。「何物にも執着しない」と解釈すると高遠過ぎて現実的でなく、実用的な思考法のヒントにならないので、「極端な考えにとらわれない」「両極端に執着しない」と解釈したい。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

特定の考えに固執し過ぎると、どうしても極端な改釈をしたり、事実を歪めてしまう危険がある。独善的思考に執着しなければ、事実をありのままに冷静に観察する事が出来る。端から「こうに違いない」と決めつけると、物事を歪めて解釈する事になる。極端な考えに執着しない事は中道的思考の条件の一つ。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

最後に「仮」とは「言語表現」と解釈出来る。「概念を実体視したり執着したりしないからこそ、自在な言語表現が可能になる」という意味に解釈している。「正名」は物事の実態に合う名称を付ける事だが、物事の性質が正しく伝わるならどんな言語表現でもよい。自分なりの言語センスで表せばよいと思う。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

西洋では「実体を反映するのが名称」「言葉は実体」というロゴス主義的な言語観がある。「仮」はこれとは異なり、「言語に実体が無いからこそ自在に仮設的な言語表現が可能」という考え方である。つまり関係論的な言語観。「正名」は物事の性質が正確に伝わるなら多様な表現方法が許容されて然るべき。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

「特定の考えに固執し過ぎると、どうしても極端な改釈をしたり、事実を歪めてしまう危険がある。独善的思考に執着しなければ、事実をありのままに冷静に観察する事が出来る。」と書いたが、これが以前述べた「見（見解）を離れる」という事に繋がる。考えを持ちつつ考えを離れた俯瞰の視点をも持つ事。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

「考えに執着しない」「見を離れる」という事を「考えを持たない」「考えを無くす」という意味に解釈するとすれば、それもまた極端な考えである。独善的思考から離れようとして「無」に囚われるのもまた独善的思考と言える。中論で「有と無に執着しない事が中道」とする真意もそこにあると思われる。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

「「空」は実践的には「とらわれない事」「執着しない事」「無著＝著無し（三論玄義）」「無着（兵法家伝書）」などと解釈される」の補足。岩波文庫「三論玄義」に「住無く著無き（無住無著）をば経論の大宗と為す」とあった。「住」はとどまる事。「著」は執著。極端な思考に留まらず執着しない事。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 13, 2021

前述の「三論玄義」では「中（中道）」を「対偏中」「尽偏中」「成假中」「絶待中」の四つに分類しているが、この中の「成假中」が「假（仮）＝仮設的な言語表現」に相当すると解釈出来る。論じる事柄や議論する相手などの性質に合わせて適切な言語表現を用いる事も「中道」の一側面という事であろう。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 14, 2021

ついでなので「対偏中」「尽偏中」「絶待中」についても説明する。➀「対偏中」は「偏（偏り）」に対して立てた「中」。➁「尽偏中」は「偏」が尽きた所に「中」と名付けたもの。➂「絶待中」は「偏」が消えれば「偏」と概念的に相対依存関係にある「中」も消えるという事。即ち中道にも執着しない事。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 14, 2021

「三論玄義」は隋代に書かれた書物だが、中国ではあまり読まれなくなり、専ら日本で盛んに読まれてきたようである。三論玄義は印度中観派の哲学を漢字文化圏に移入した哲学書である。欧化主義者らは「日本人は哲学的思考が苦手」と言うが、こうした歴史を踏まえるなら必ずしもそうとは言えぬと思う。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 14, 2021

三論の学問は飛鳥時代に日本に来たと伝わる。「三論玄義」は日本人による注釈が数多く書かれており、東亜細亜の中では日本で一番読まれたと言っても過言ではないようである。岩波文庫に優れた訳注あり。日本の歴史を想起し先人が残した学問を参考にするのも、思考を鍛えるのに有効な方法だと考える。

— 菊池 (@kikuchi_8) November 14, 2021

まさに、知のある人・知を知る人は、寛容で冷厳と思う。

あと、中国兵法にもよく書かれていることだが、決めつけると、それは失敗・敗北の原因になる。

ので、実地に情報調査が、経験と勘よりも、重視されるのだ。

あと、その「考え」や行動の、決めつけ～偏りは、敵のそれを知れば、それを利用して、こちらの思うような行動を誘引して、敵が敗北するように、出来るのだ。

逆を言うと、こちらの「決めつけ」～偏りは、敵にこちらを破滅させる、有効な手段を提供していることになる。

まあ、お釈迦さんとかに言わせると、「そういう固定化・絶対化は、魔羅・魔王の巧妙な策略」とかいいそうだよね。

決めつけず、とらわれず、中道の道を行く・・・