中国情報は、西側の情報は嘘だらけで信じれない。
より
上記文抜粋
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No. 1637 周恩来、死後の勝利
Zhou Enlai’s Posthumous Triumph
中国初の首相として長く活躍した周恩来が唱えた「五原則」は、現在、ポスト西欧の世界秩序を形成する国々で守られているように見える。
by Patrick Lawrence
感謝祭の週末のビッグニュース、それも主要紙にはほとんど載らないようなビッグニュースは、中国の高官が12月初旬にリヤドを訪れ、サウジアラビアだけでなく他のアラブ諸国の相手と会談する予定だという。習近平が出席する可能性も高いようだ。
中国国家主席はすでに来月、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MbS)、そしてほぼ間違いなくMbSの父親で高齢だがやり手のサルマン・ビン・アブドゥルアジーズ国王と同国内で首脳会談を行う予定になっている。北京とアラブ諸国がなぜ習近平のサミット出席に口をつぐむのかは分からないが、いずれにせよ、2016年以来のサウジアラビア訪問となり、これ以上重要なタイミングはないだろう。
トルコの放送局TRTWorldは感謝祭の翌日、12月のサミットは「中国・アラブ首脳会談の始まり」と理解されると報じた。これは、何かとても大きなことの始まりのように思える。
90年の歳月を経て薄れつつある米国との安全保障のための石油同盟からリヤドがかなり辛辣な方向に流れていることはもう公知の事実である。ここで興味深いのは、習近平とMbSとの会談、そしておそらく彼の父親が焦点を当てているのが石油や安全保障など、貿易以外に焦点を当てていることだ。
この数ヶ月、サウジアラビアが中国やロシアをはじめとする非欧米主要国との提携に同時に傾いているのを見逃すことはできない。9月中旬にサマルカンドで開催された第22回上海協力機構(SCO)首脳会議には、トルコ、エジプト、カタールなどとともにオブザーバーとして参加した。
また、本紙でも紹介したように、サウジアラビアはBRICSの拡大版への参加に関心を示している国の一つである。BRICSの名称の由来となっているのはオリジナルメンバーであるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカである。西側諸国とこれらの国々との関係が徐々に、あるいはその他の形で弱まるのと同様に、非西側諸国が台頭してくるのが、私が長年抱いてきた今世紀の重要な特徴である。
この根本的な変化を説明しようとする場合、長い目で見るのが一番だ。これが非西欧諸国における何十年にもわたる漸進的な物質的進歩の花なのである。1950年代から60年代にかけて、BRICSやSCOのメンバーなど非西洋諸国が発展の階段を上るにつれて、これらの国々が売るべきものを持ち、投資資金を求める場合、もはや西洋市場だけが唯一の市場ではなくなっていったのである。
このように、西洋の500年にわたる世界支配の終焉は、大きな黒いボーリングの玉のように、長い間、我々の目の前を転がっていた。例えるなら、私たちはそれがピンに当たるのを見ているようなものである。非西側諸国が世界の国内総生産の過半を占めるようになり、この現実は、数十年以上前のこととは思えないが、我々の時代の重要な決定要因の一つである。
サウジや湾岸諸国をはじめ、伝統的に西側と同盟、提携してきた国々がなぜ忠誠心を変え始めないのだろうか?なぜBRICSは、これまで世界貿易の中で極めてマイナーな存在であった通貨バスケットをベースに、ドルに代わる通貨を開発しようとしないのだろうか?
「西洋の500年にわたる世界支配の終わりは、大きな衝撃として私たちの前に現れている。長い間、大きくて黒いボーリングの玉のように、私たちの前に転がってきている」。
それは、ドルやセントの問題である。市場、投資資金、ハイテクや重工業の発展、科学・文化・教育の交流。欧米はもはや唯一の選択肢でも、最もダイナミックなものでもないのだ。
しかし、このような世界の活力が変化した現実的な理由を考えるとき、私は、中国初の首相であり、毛沢東晩年の中国共産党副主席を長く務めた周恩来について考えるようになった。
周は、戦後、多くの国々が独立を果たし、どのような世界秩序で生きていくかを模索していた時代に、先見の明を持った人物であった。
五原則
このコラムの読者の皆さんは、私がこれまで何度か周の五原則に感心していることを覚えているかもしれない。この五原則はすべて、かつてないほど多様化した時代の中で、各国がどのように行動すべきかということに関わるものであった。領土・主権の相互尊重、相互不侵略、相互内政不干渉、平等互恵、そして平和共存である。
周は、北京とニューデリーが1954年に結んだ中印協定の中でこれらの原則を作り上げ、その後、独自の発展を遂げた。ネルーはこれを引用した。この原則は中国の憲法にも盛り込まれた。1955年、バンドンでスカルノが主催した非同盟運動(NAM)の主要な会合で、NAMは周の五原則を発展させた「十原則」を宣言した。
私は周の原則を偉大な理想だと考えてきた。今でもそう思っている。ドーン・マーフィーという学者が、1648年のウェストファリア条約と比較している。ウェストファリア条約は、ヨーロッパの列強諸国が、平和的共存と戦争回避のための行動規範を定めたものである。
しかし、新興の非西洋諸国が着実に、そして心強く結束していくのを見るにつけ、周の五原則は、彼らの発展する関係に、全く実際的な形で大いに関係しているように思われる。奇しくも、これは周の死後の勝利の瞬間である。
非西欧の大国間のあらゆる関係について考え、その結びつきの基本的な性質を考えてみよう。ロシアや中国や南アフリカは、サウジやエジプトやインドに内政のやり方を指示したり、主権を侵したりしようとは夢にも思わないだろう。もちろん、この逆も同じことだ。
ここで2つほど明白な点を述べておかなければならないだろう。一つは、NAMのメンバーと同じように、私が挙げた非欧米諸国にも不健全な国があることだ。これは認めざるを得ない。アブデル・ファタフ・アル・シシのエジプト?エジプトの長い歴史に連なる悲劇的な独裁政権の一人だ。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン?彼は取るに足らない暴君だ。
2つ目は、そのような国々に異論があっても、「不干渉の原則」が優先されることである。周やネルーのような人物の時代にはそうであったように、不干渉の原則は、最終的に人間らしい世界秩序を実現するために優先されなければならない。 もちろん、極端なケースに関する例外はあるが、これは米国が非合法で無秩序な、典型的な暴力的「人道的介入」によって行っているようなひどい乱用を意味するものではない。
2001年のニューヨークとワシントンの同時多発テロにさかのぼると、もっとさかのぼることも可能だが、アフガニスタン、イラク、リビア、そしてシリアに侵攻したとき、非西洋圏はアメリカの無法ぶりに目を向けなかったと思うだろうか? ウクライナにおけるワシントンの代理戦争の場合は、問うまでもないだろう。大多数の国々が反対しているのだ。そして、私が言及した以前の事例のように、もはやそれほど静かに反対しているわけでもない。
はっきり言わずに、そしてなぜ言わないのか私にはわからないが、ポスト西洋の世界秩序を形成している国々は、アメリカの絶え間ない違反行為にうんざりしながらも、周の原則を遵守している。ここでもまた、理想と現実が同時に語られているのである。
11月14日、Quincy Institute for Responsible Statecraftは”アメリカは多極化する世界に対して準備ができているか?”というタイトルでフォーラムを主催した。答えは明らかに「ノー」であるから、私はこの質問を面白いとは思わなかった。しかし、この場では、それにもかかわらず、いくつかの価値ある発言がなされた。元国連常任代表で、最近は駐ワシントン大使のジェラール・アロー氏である。(現在は大西洋評議会のシニアフェローだが、完璧な人間などいない)。
以下は、彼のコメントの抜粋である。
私はいつも『ルールに基づく秩序』という考え方に極めて懐疑的である。この秩序は我々の秩序だ・・・実は、この秩序は1945年のパワーバランスを反映しているのだ・・・。
アメリカは基本的に、自分たちがやりたいことは何でもやる、それが彼らの定義する国際法に反している場合も含めて、それをやる。
それが、世界の他の国々がこの秩序に対して持つビジョンである。彼らの考える世界は、確かに「ルールに基づく秩序」ではない。これは西洋の秩序だ。そして彼らは私たちをダブルスタンダード、偽善などと非難するのだ。
西側の大国の著名な外交官がこのようなことを言うようになったのは注目に値する。アローは、非西側諸国が非常に長い間言ってきたことを正確に表現している。Quincyでの彼の発言は、このメッセージが西洋と非西洋の間にある大きな溝を越えつつあることの証左にすぎない。
このメッセージが大西洋の世界の首都に届いていると確信しているわけではない。そんなことはないだろう。しかし、BRICSやSCO、そしてどちらにも加盟していない多くの国々が、自分たちの行動や立場を明らかにすることで、ワシントン、ロンドン、パリ、ブリュッセル、ベルリンでこのメッセージが聞こえ始めることは間違いないだろう。彼らは、周のような理想と現実からなる世界秩序(現実的な理想?、そんなものがあるかわからないが)を目指すだろう。
来月、習近平がサウジアラビアを訪問する際には、これらのことを念頭に置いておく必要がある。MbSのような人物が参加する世界の指導者の集まりは、周恩来の五原則に、暗黙のうちに依拠する世界秩序を支持する人々への挑戦となるであろう。
おじけづいてはいけない。周は、非西側諸国が天使の一団に率いられていると思い込んでいたのではないだろう。周が唱えたのは「平和共存の五原則」というタイトルであったことを思い起こそう。これらは彼が70年も前に起草したときと同じように、今日でも有効であり、実際、緊急の課題でもあるのだ。
PATRICK LAWRENCE: Zhou Enlai’s Posthumous Triumph
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抜粋終わり
より
上記文抜粋
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中国攻撃の偽情報はどのように捏造されるのか―新疆ウイグル自治区での「大量虐殺」「文化的虐殺」「強制収容所」「脱過激化教育」の真相
<記事原文 寺島先生推薦>
Manufacturing Consent for the Containment and Encirclement of China
中国を封じ込め包囲するための合意の捏造
筆者:Carlos Martinez(カルロス・マルティネス)
出典:Internationalist 360°
2022年10月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年12月3日
カルロス・マルティネスによる以下の詳細な記事は、帝国主義勢力が中国に対して行っている、とどまることなきプロパガンダ(デマ宣伝)戦争について調べている。カルロスは、「プロパガンダ戦争も戦争プロパガンダになり得る」、さらに「反中国の中傷の奔流は、米国主導の新冷戦に対する幅広い国民の合意を生み出すという明確な目的を持っている」と指摘している。
カルロスは、ハーマンとチョムスキーの古典的な著書『合意の捏造』で説明されているプロパガンダの方法が、最新の情報伝達技術を使用してどのように更新および強化されているか、そして特に新疆ウイグル自治区での人権侵害の申し立てに関連して、それが今の中国に対してどのように適用されているのかを示している。カルロスは、この話題に関して最も頻繁に投げられる誹謗中傷を紹介し、その正体を詳細に暴いている。
著者は、「世界の労働者階級と帝国主義に反対するすべての人々の中の連帯の絆を断ち切る」役目を果たしている、このプロパガンダ活動に、すべての進歩主義者が断固として反対し、その本質を暴露しなければならないと結論づけている。
―社会主義中国の友
注意しないと、新聞はあなたを、抑圧されている人々を憎み、抑圧している人々を愛するように導くでしょう。(マルコムX)
欧米マスコミは、中国に対して組織的で猛烈なプロパガンダ戦争を繰り広げている。西側の世論の法廷では、中国は一連の恐ろしい犯罪で非難されているのだ。たとえば、新疆ウイグル自治区のウイグル人イスラム教徒に対する大量虐殺を行っている。香港の民主主義を一掃する。南シナ海を軍事化する。台湾に植民地支配を課そうとしている。アフリカで土地収奪を実行する。チベット人と内モンゴル人が彼らの言語を話すのを妨げる。民主主義世界の善良な人々をスパイする。まだまだあるが、そういった犯罪である。
オーストラリアの学者ローランド・ボーアは、これらの非難を次のように特徴づけている。「残虐行為のプロパガンダ:一般の人々の消費行動に特定の嘘のイメージを植え付けようとするときに使う方法を、古参の共産主義者や、さらには西洋の路線に従わない人に反対する世論醸成をする際にも用いる」 と。ボーアは、このプロパガンダは、中国を残忍な権威主義的な暗黒郷(ディストピア)として印象づけるのに役立つが、「実際に中国に住んでいる人どころか、実際に中国でいくらかの時間を過ごすだけの人にとってもフィクション(虚構)にしかなり得ない」と述べている。[1]
なぜ中国がこの種の手の込んだ偽情報活動にさらされるのかを理解するのは難しくない。このメディア攻勢は、中国革命を逆転させ、中国社会主義を転覆させ、中国を弱体化させ、国際問題における中国の役割を縮小し、その結果、多極化と覇権主義のない未来への世界的な軌道を弱体化させようとする帝国主義世界の進行中の試みの一部だからだ。ジャーナリストの陳偉華(チェン・ウェイファ)は指摘した。「米国によるプロパガンダ戦争が激化する理由は明らかだ。ワシントンは、急成長する中国を、米国が世界において維持している優位性を脅かす存在と見なしているからだ」と。さらに、「異なる政治体制を持つ国の成功は、ワシントンの政治家たちには受け入れられない」とも。[2]
プロパガンダ戦争は戦争プロパガンダにもなり得る。この場合、問題となる戦争は、ますます激化する米国主導の新冷戦である。[3]中国に対するさまざまな誹謗中傷、特に新疆ウイグル自治区での大量虐殺などという最もばかげた非難は、イラクの大量破壊兵器に関する2003年の主張、またはムアンマル・カダフィの下のリビア国家がベンガジでの虐殺を準備していたという2011年の主張と多くの共通点がある。これらの物語は、帝国主義の外交政策を支持する世論を起こさせるために特別に構築されたものだ。その外交政策とは、たとえば、「イラクの人々に対して大量虐殺戦争を遂行する」「石器時代状態にするまでリビアを爆撃する」。そして今日では、「中華人民共和国に対する経済的強制、政治的転覆、軍事的脅威の幅広い活動を実施する」といったものである。
汎アフリカ主義者でガーナの初代大統領であったクワメ・エンクルマは、彼の著書『新植民地主義、帝国主義の最終段階』の中で、西側諸国が冷戦中に、どのように「陰謀、作戦、中傷活動の形でのイデオロギー的および文化的武器」を用いて、社会主義国とアフリカ、アジア、ラテンアメリカの新たに解放された領土を弱体化させたか」を論じ、さらに「ハリウッドがフィクション映画を作っている間に、巨大な独占報道機関は、洒落た巧妙で高価な雑誌を発行するのに併せて、どんな内容を「ニュース」と呼ばれる報道に選択するかに注意を払っている。...反解放プロパガンダの洪水が西側諸国の首都から発せられて、中国、ベトナム、インドネシア、アルジェリア、ガーナ、そして自由への独自の道を切り拓こうとするすべての国に向けられる」と述べている。[4]
そのような「陰謀、策略、誹謗中傷の活動」の仕組みは、エンクルマの時代からほとんど変わっていない。英国のメディア研究者であるデビッド・クロムウェルとデビッド・エドワーズは、プロパガンダ・ブリッツ(偽宣伝の集中電撃攻撃)の概念である「最小限の時間で最大の損害を与えることを目的とした動きの速い攻撃」について調べている。これらのメディアによる攻撃は「高い感情的強度と道徳的な怒りをもって伝達され」、重要なのは、専門家、学者、ジャーナリスト、政治家たちがそのプロパガンダに合意している姿を世間に知らしめることである。[5]こうして生まれた合意は、「主張が真実であることを誰もが知っているという印象を生み出す」。[6] その際、右翼の信奉者だけでなく、著名な左派の評論家からも合意が得られた場合に最も強力になる。「有名人の進歩的なジャーナリスト―原則的な立場や派手な靴下とネクタイで有名な人々―までもが非難に加わった場合は、その主張には何かがあるに違いないということになる。そしてこの時点で、それを疑うことは難しくなる。」
中国に関して言えば、そのような評論家の多くは喜んで仕事を引き受ける。例えば、英国のコラム執筆者、オーウェン・ジョーンズはガーディアン紙に寄稿し、「中国政権の否定にもかかわらず、新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する残忍な作戦は現実のものである」と主張する。[7] ジョーンズは、自身の主張の裏付けとして、他の2件のガーディアン紙の記事を関連記事としているが、この2件の記事は、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が提供する研究に依存している。その研究所はオーストラリア政府、米国政府、およびさまざまな多国籍武器メーカー(詳しい説明は後で)が資金提供するタカ派の反中国シンクタンクである。つまり、この自称社会主義者は、ワシントンで最も極端な中国のタカ派と同じ情報源に依存しているのだ。それでも、彼が、ポール・メイソンのようなNATOと連携した評論家とともに、反中国の中傷を公に支持したことは、この情報が完全に信頼できるという印象を作り出すのに役立っている。[8]その中傷の印象は中国の実態とは異なった、いわば、もうひとつの、極右勢力が繰り出す根拠のない陰謀説となる。
さまざまな反中国の誹謗中傷は明らかに証拠の裏付けを欠いているが、それでも強力で説得力があり、洗練されている。強硬な反動派や反共派に、中国に対して強硬な態度を取るよう説得するのに大きな技能は必要ないが、プロパガンダ戦争は、進歩的な考えや感情を積極的に利用するように注意深く作成されている。大量虐殺の告発は特に説得力がある。帝国主義の政治家やジャーナリストは、中国が新疆ウイグル自治区のウイグル人イスラム教徒に対して大量虐殺を行ったと非難することにより、イスラム教徒や少数民族の正当な同情心を掻き立て、大量虐殺に対して正当な憤慨を呼び起こすことができる。そのときには、一種の感情的知性のようなものが生まれるので、その中では大量虐殺の告発から中国を守ろうとすることは、ホロコースト否定論者であることと同等になってしまう。したがって、中国と連帯することは、心理的、そしておそらく物質的および肉体的に多くの犠牲を払うことになるのだ。
合意を捏造すること
エドワード・ハーマンとノーム・チョムスキーの1988年の著作『合意の捏造:マスメディアの政治経済学』は、いわゆる報道の自由が資本主義世界でどのように機能するかについての権威ある不可欠な分析であり続けている。特に、この本は、支配階級の経済的利益とマスメディアを介して伝達される思想との関係を探っている。「メディアは、自分たちを支配し、資金を提供する強力な社会的利益に奉仕し、そのために宣伝する。これらの利益の代表者は、彼らが前進させたい重要な議題と原則を持っており、メディア政策を形作り、制約するのに適した立場にある。」[9]
ハーマンとチョムスキーは、プロパガンダのモデルを考え出した。そのモデルでは、非公式だが定着した一連の「濾過装置(フィルター)」が、メディア消費者が何を読み、見て、聞くかを決定する。これらのフィルターには、次のものが含まれる。
• 支配的なマスメディア企業の所有者構造。メディア所有者は資本家階級の一員であり、彼らは一貫してその階級の利益に特権を与えている。
• 広告収入への依存。ほとんどのメディア事業が生き残れる術は、費用を上回る利益を得るために、大企業からの広告を掲載することしかない。よってそれらの企業の政治的見解に敏感でなければならない。
• 「政府、企業、およびこれらの主要な情報源や権力の代理人によって資金提供され承認された“専門家”によって提供される」情報への依存。[10] この二人の著者は、例えば、ペンタゴンは「何千人もの職員が関与する広報サービスを行い、毎年数億ドルも費やして反対する個人やグループの情報公開源だけでなく、そのようなグループ全体が拡大しないようにしている」と述べている。[11]
• 権力者の価値観に適合しないニュース記事に対応する「高射砲」または否定的に反応する仕組み。これは、「手紙、電報、電話、請願、訴訟、議会での演説や法案、その他の苦情、脅迫、懲罰的措置の形をとる可能性がある」。[12]インターネット、特にソーシャルメディアの出現により、「高射砲」の方法は倍増し、一般の人々が消費する情報を条件づける重要な手段を提供している。
• 「国家の宗教と統制機構」として機能する反共産主義という理論的枠組みの浸透。ここで著者は特に米国に言及しているが、その点は西側の他の場所に当てはまる。
ハーマンとチョムスキーのプロパガンダのモデルによると、「ニュースの原材料は連続したフィルターを通過しなければならず、浄化された残留物だけが印刷に適したものになる」。[13]結果として得られるニュース出力は、「国内社会と国家を支配する特権グループの経済的、社会的、政治的議題を教え込み、擁護する」のに役立つ。[14]
中国に関する西側の主流メディア報道は、このモデルに快適に適合する。フォックス・ニュースからガーディアン紙、BBCからワシントン・ポスト紙まで、ほぼ例外なく、主要なメディア活動は、一貫して中国に敵対的な物語を提示している。たとえば、2019年の香港での抗議運動に関連して、西側の報道機関は、香港の警察と当局に対する一方的な非難と、「民主化」抗議者への熱烈な支援において共通していた。国会議事堂への襲撃、バスへの攻撃、ガソリン爆弾の投擲(とうてき)、建物の破壊、一般市民の威嚇など、抗議者による暴力は、完全に無視されるか、少数の少数派の行動として帳消しにされたが、一方で香港地方政府は並外れた規模の精査と非難を受けた。ガーディアン紙の社説は、「中国は香港の自由を維持するという約束に違反して、香港の抵抗の断片を打ち砕いている」とまで述べた。[15]そしてその主張を支持するために、大真面目に、香港で最後の(彼の前任者のように選出されていない)英国知事であるクリス・パッテンを引用している。抗議に対する香港警察の信じられないほど抑制された対応と、2020年の夏に米国警察がブラック・ライヴズ・マター(黒人の命が大切)の抗議行動に衝撃的な暴力的弾圧を加えたことを対比することは、著者には明らかに思い浮かばなかったようだ。その弾圧では米国警察によって何人もの犠牲者が出たが、一方で香港の警察の手による死者は間違いなくゼロだったのだ。[16]
西側の主要な報道機関はどこも、抗議者の暴力を真剣に調査しなかった。また、抗議行動の指導者たちと最も反動的な米国の政治家の何人かとの広範なつながりについても言及しなかった。[17]また、彼らは運動に財政的支援を提供している全米民主主義基金の役割を調査することも選択しなかった。[18] 彼らは抗議行動を支持しなかった何百万人もの香港住民がいたことを臆面もなく無視した。「暴徒や群衆が至る所で公共施設を破壊し、鉄道網などを麻痺させているが、彼らは西側諸国からは“自由の闘士”と呼ばれている」。[19]
逆に、中国についての前向きな話、例えば貧困緩和[20] 、再生可能エネルギーの分野における進歩[21] 、Covid-19パンデミックの抑制[22] に関連するものなどは無視されるか、魔法のように反中国の物語に変換される。中国が極度の貧困を撲滅するという目標に成功したという発表は、「仰々しく大げさに配信されたが、詳細はほとんど明らかにされなかった」とされ、計画全体は、習近平による「毛沢東以来の国内で最も強力な指導者としての地位を固めるための」狡猾な戦略の一環として無価値なものだとされた。[23] 中国の精力的なゼロ・コロナ戦略の結果として、文字どおり何百万人もの命が救われたが、ニューヨークタイムズ紙にかかると、中国共産党は単に「ウイルスの封じ込めにおける中国の成功を利用して、上意下達の統治形態が自由民主主義の形態よりも優れていることを証明しようとしている」となる。また、何百万人もの命を救うという政策は当然のことながら「依然として強力な国民の支持を享受している」ことを認めているが、これは中国人が「情報の入手が制限されており、当局に説明責任を負わせるための手段がないため」というおなじみの比喩に帰着している。[24]
古参の政治学者マイケル・パレンティは、冷戦中の社会主義世界に対する西側のプロパガンダの不条理と、反共産主義のレンズを通しての屈折が「既存の共産主義社会に関するあらゆる情報を敵対的な証拠に変える」方法について『黒シャツと赤(Blackshirts and Reds)』に書いた。彼は次のように述べている。
「ソビエトがある問題で交渉を拒否した場合、非妥協的で好戦的だとされた。譲歩する意思があるように見えた場合、これは私たちを警戒から外すための巧みな策略にすぎないとされた。武器の制限に反対すれば、自分たちの攻撃的な意図を示しているとされた。しかし、実際にソビエトがほとんどの兵器条約を支持したとき、卑劣で狡猾だからだとされた。ソ連の教会が空だった場合、これは宗教が抑圧されていることを示しているとされた。しかし、教会がいっぱいになれば、これは人々が政権の無神論的思想を拒否しているとされた。労働者がストライキを行った場合(そういうことはまれにあった)、労働者が集産主義制度から乖離している証拠だとされた。労働者がストライキをしなかったなら、脅迫され、自由を欠いていたからだとされた。消費財の不足は、経済システムの失敗だとされた。消費者への供給が改善すれば、指導者たちが人民に対する強固な支配を維持するために、反抗的な人々をなだめようとしているだけであるとされた。」[25]
パレンティの観察は確かに中国に対する現代のメディアの統一見解と共鳴している。そのようなメディアの統一見解が偶然であると見ることは統計的に不可能であろう。それはまさに「国内社会と国家を支配する特権集団」(すなわち帝国主義支配階級)の現在の政治的議題を表している。それはまさに中国に対する新冷戦への合意の捏造を目的としている。
新疆ウイグル自治区
新疆ウイグル自治区の主流メディア報道ほど、プロパガンダモデルが目立つところはない。中国が新疆ウイグル自治区で大量虐殺(または「文化的大量虐殺」)を犯しているという非難は頻繁に繰り返されてきて、西側の大部分でほぼ真実として受け入れられるほどになっている。この告発にはほとんど証拠がなかったが、この話は世界中のメディアに大騒ぎを巻き起こし、制裁の計画の拡大が打ち出され、さらには2022年2月の北京冬季オリンピックではさまざまな帝国主義国が「外交拒否」することになった。[26]さらに、それは洗練されたソーシャルメディア運動に支えられて、大衆の意識にフィルターをかけた。それはプロパガンダ集中的電撃攻撃の典型的な例になった。上記のように、そしてこれはエドワーズとクロムウェルの説明とも一致しているが、このプロパガンダ・ブリッツ(偽情報集中的電撃攻撃)は、企業メディアの保守・リベラル領域全体―フォックス・ニュースから[27]ニューヨーク・タイムズ、さらには[28]デイリー・メールから[29]ガーディアン紙[30] まで全てに貫かれている。
ハーマンとチョムスキーのプロパガンダモデルは、そのような物語がどのように勢いを増すかを説明している。
「有用な物語については、その過程は政府からの一連の情報漏出、記者会見、白書などから始まる...他の主要メディアがこの話を気に入れば、彼らは独自の立場で後追い取材し、その問題は親しみやすくなってすぐに報道価値のあるものとなる。記事がしっかりとした説得力のある文体で書かれ、マスメディアで批判や代替解釈の対象とならず、かつそこで権威者による支持が命じられている場合は、プロパガンダの主題は、実際の証拠がなくてもすぐに真実として確立される。ここでは、反対意見はさらに包括的に締めくくられる傾向がある。なぜなら、反対意見はすでに確立した一般的な信念と矛盾するからだ。このようにして、主題は深刻な反撃を恐れることがなくなり、その結果、さらに膨らんだ主張のためのさらなる機会が開かれてくる。」[31]
マス・メディアは、帝国主義中枢の急進左翼の多くによって補完されている。人気のある進歩的な報道機関であるデモクラシー・ナウは、新疆ウイグル自治区に関連する、中国に対するあらゆるばかげた非難をオウム返しにしている。[32] 2021年、司会のジャコビンは、『ウイグル人との戦争:新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する中国の運動』の著者であるショーン・R・ロバーツに共感的なインタビューを行い、「ウイグル地域で現在見られるのは、1世紀前の世界の他の場所での文化的大量虐殺の過程によく似ているが、21世紀に現在利用可能なハイテク形態の抑圧の恩恵を受けている」と主張している。[33]一方、英国の「社会主義労働者」紙は、「最大100万人のウイグル人が収容所に閉じ込められている」と主張している。[34]やや皮肉なことだが、ノーム・チョムスキー自身も帝国主義のプロパガンダモデルと無縁ではない。2021年のポッドキャストエピソードで、新疆ウイグル自治区での中国の行動は「ひどい」そして「非常に抑圧的」であると述べ、「再教育キャンプを経験した人が百万人いる」という主張を繰り返している(以下で詳しく説明)。[35]
一方、議会政治の分野では、右派と左派が中国に対する新冷戦を追求するために汚れた同盟を結成した。マイク・ポンペオなどの右翼原理主義者に加えて、進歩的な民主党下院議員イルハン・オマールも新疆ウイグル自治区に関してはタカ派である。彼は米国企業に対して、中国を非難するオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書を調べ、彼らの会社がウイグル人の強制労働と関係していないことを確認するよう呼びかけている。オマールは、「いかなるアメリカ企業も、強制収容所の利用や、新疆ウイグル自治区の強制収容所で過ごした後に仕事のために移送されたウイグル人囚人から利益を得るべきではない」と述べた。[36]
中国は新疆ウイグル自治区の件で何を非難されているのか?
大量虐殺(ジェノサイド)
中国のウイグル人に対する扱いに関連してなされたすべての主張の中で、最も深刻なのは、それが大量虐殺を行っているというものである。トランプ大統領の下での国務省の最後の行動の1つは、2021年1月に、中国政府が「新疆ウイグル自治区の北西部地域でウイグル人やその他の主にイスラム教徒の少数民族を大規模に抑圧して大量虐殺と人道に対する罪を犯している。その罪には収容所の使用や強制不妊手術を含む」と宣言することだった。[37]バイデン政権はこの中傷を倍増させ、2021年の年次人権報告書で、「新疆ウイグル自治区の主にイスラム教徒のウイグル人やその他の民族的および宗教的少数派集団に対して、この年に大量虐殺と人道に対する罪が発生した」と主張し、この大量虐殺の構成要素には「100万人以上の民間人の恣意的な投獄またはその他の身体的自由の深刻な剥奪;強制不妊手術、強制中絶、中国の避妊政策のより制限的な適用;強姦;恣意的に拘留された多数の人々の拷問;強制労働;そして、宗教や信仰の自由、表現の自由、移動の自由に対して厳しい制限を課すこと」が含まれると述べた。[38]
カナダ議会下院(庶民院)はすぐにそれに追随した。[39]フランス国民議会も同様だった。[40] 欧州議会は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒が「大量虐殺の深刻な危険に晒されている」と主張する、やや保守的な決議を採択した。[41]
「大量虐殺」という用語は国際法の下で詳細な定義を持っており、それは国家、民族、人種、または宗教集団の全体的または一部の意図的な破壊として要約することができる。[42]それは人道に対する最も重大な犯罪の1つであると正しく考えられている。そのため、不注意に証拠なしに投げかけられるべき種類の告発ではない。にもかかわらず、帝国主義の信奉者は日常的にまさにそれを行っている。ハーマンとチョムスキーが数十年前に指摘したように、「大量虐殺というのは忌々しい言葉で、敵国での被害事例には容易に適用されるが、米国自体または同盟国政権のときは、同様の、またはより悪い被害事例があっても、めったに適用されることはない」。[43]
著名な学者で経済学者のジェフリー・サックスは、バイデン政権の大量虐殺の告発に関連して、「証拠を提供しておらず、それが可能でない限り、国務省は告発を取り下げるべきである」と書いている。続けて、サックスは大量虐殺の告発は決して軽々しく行われるべきではないとも書いている。「この用語の不適切な使用は、地政学的および軍事的緊張を高め、ホロコーストなどの大量虐殺の歴史的記憶の価値を低下させ、それによって将来の大量虐殺を防ぐ能力を妨げる可能性がある。米国政府は、大量虐殺の責任を負って告発する必要があるが、ここではそれを怠っている。」[44]
それでは、その大量虐殺の罪状とは、実際はどのようなものなのか。かなり怪しげなワシントンのシンクタンク、ニューライン戦略政策研究所による2021年の報告によると、[45]中国政府は「ウイグル人を集団として破壊する意図」で「包括的な国家政策と実践」を行ったとあり、さらに、ウイグル人が直接に殺されているとは主張していないが、ウイグル人がゆっくりと死滅するように強制的な避妊措置が選択的に適用されていると主張している。
ただし、これらの主張を裏付ける信頼できる資料はない。新疆ウイグル自治区では出生率が低下傾向にあるが、同じことが中国のすべての省に当てはまる。一方、2010年から2018年にかけてのウイグル人の人口は1,020万人から1,270万人になり、25%増加している。一方で同じ期間に、新疆ウイグル自治区の漢民族の人口はわずか2%しか増えなかった。[46]ウイグル人の出生率がわずかに低下したことついて、パキスタン系カナダ人の平和活動家オマール・ラティフは、その原因は「他の場所と同じである。より多くの女性が高等教育を取得し、労働力に参加する。親が老後に自分の世話をする子供をたくさん生む必要性がなくなった。都市化;女性に対する家父長制の統制の軽減。女性が避妊を行う自由が高まった」[47] と考察している。
中国の一人っ子政策は、1978年に最初に実施されたが、その時期は中国が大勢の人口を養う能力について比較的不安定だった。(中国は世界人口の18%を占めるが、耕作可能な土地は世界の約12%しかない。加えて慢性的な水不足もある。)[48]この政策は2015年まで実施されており、主に中国の出生率の長期的な低下を説明するのに役立つ。しかし、ウイグル人を含む少数民族は政策から免除されている。実際、ウイグル人の人口は、一人っ子政策が施行されていた期間中に倍増した。最新の国勢調査データによると、少数民族の人口は過去10年間で10.26%(1億2500万人)増加し、漢民族の人口は4.93%(13億人)増えている。
新疆ウイグル自治区での大量虐殺の主張と矛盾する傾向があるもう一つの資料分析の急所は、この地域の平均寿命が1949年の30歳から今日の75歳に増加したことである。[49]
さまざまな反中国シンクタンクが検討していない1つの質問は、新疆ウイグル自治区で、差別的な強制的な避妊の「ゆっくりとした大量虐殺」を含む、大量虐殺が起こった場合に、これは難民危機につながらないだろうかということだ。しかし、そのような危機の証拠は確かにない。パキスタンやカザフスタンとの国境沿いに難民収容所はひとつもない。抑圧、戦争、貧困、気候変動が組み合わさって、アフリカ、アジア、中東で現在多数の難民危機を引き起こしているが、中国西部で本格的な大量虐殺が起きてもそのような問題につながらないというのは非常に信じがたいことだ。2021年のタイムの記事は、トランプ政権とバイデン政権の両方が新疆ウイグル自治区での人権侵害をあからさまに批判したにもかかわらず、米国は過去12か月間にウイグル難民を1人も受け入れていなかったことを確認している。[50]同じ時期に、バイデンが「香港の弾圧から逃れた」人々に避難所を提供したことを考えると、[51]迫害から逃れてきた何千人もの新疆ウイグル自治区のウイグル人に米国が難民の地位を提供しないことは想像できない。これは、もし彼らが存在すると仮定した話だが。
イェール大学法科大学院の学者ニコラス・ベケリンは、2022年8月に発行された人権高等弁務官事務所の「新疆ウイグル自治区における人権懸念の評価」が大量虐殺の容疑について言及さえしていないという事実を嘆き、そのような告発をするための信頼できる証拠の根拠がないとうっかり口を滑らせている。「大量虐殺の犯罪のためには、いくつかの要素が必要である。要素の1つは意図だ。あなたは、国家が大量虐殺を犯す意図を持っていたことを法廷で証明、説得力を持って実証する必要がある。それが最初だ。二つ目は、大量虐殺の犯罪にはいくつかの要素があるということだ。それは、国家的、人種的、宗教的、または民族的集団の体系的で広範囲にわたる絶滅、または絶滅の試みでなければならない。中国の場合にその要素が存在するが、その意図が特定の民族集団の絶滅につながることであるとは、はっきり言えない。」[52]
大量虐殺の告発が基づいているひと握りの報告は、説得力のある証拠のようなものを提供していない。彼らが提唱したのは、いくつかの非常に選択的な出生率の統計と、虐待を受けたと主張する少数のウイグル人亡命者の証言だ。「疑わしきは罰せず」の原則に基づいて作業するのであれば、中国は決して大量虐殺の有罪とは見なされない。
余談:執筆時点では、新疆ウイグル自治区でのCovid-19による死亡者の総数は3人だ。[53]特定の民族集団に対して大量虐殺を行っている国軍が、彼らの計画を支援するためにパンデミックを利用できないと信じることは非常に困難だ。地域の保健当局ならば、確実に、この集団の人々がCovid-19で死ぬのを防ぐためにかなりの努力をするだろう。
文化的大量虐殺
中国政府に対するやや洗練された非難は、新疆ウイグル自治区で文化的に大量虐殺を行っているというものだ。ウイグル人自体を一掃するのではなく、ウイグル人の独自性(アイデンティティ)、ウイグル人の伝統、ウイグル人の信念を一掃するという非難だ。文化的虐殺は国際法では定義されていないが、明らかに次のことを指す。「子供を家族から強制的に連れ去る、国語の使用を制限する、文化活動を禁止する、学校、宗教施設、または記憶の場所を破壊するなどの措置を通じて、集団の独自性を排除すること」。[54]
文化的大量虐殺の告発は身体的大量虐殺のそれほど極端ではないように見えるが、その告発にも同様に証拠的根拠はない。たとえば、新疆ウイグル自治区のすべての学校は、標準中国語と1つの少数言語(ほとんどの場合ウイグル語)の両方を教えている。[55]中国の紙幣には、中国語、チベット語、ウイグル語、モンゴル語、チワン語の5つの言語がある。[56]何千もの本、新聞、雑誌がウイグル語で印刷されている。さらに、新疆ウイグル自治区には25,000以上のモスク(イスラム教の寺院)がある。この数は1980年の3倍であり、一人当たりのモスク数は世界で最も多いものの1つである。(米国のほぼ10倍)。[57]
トルコの学者アドナン・アクフィラトは、コーランや他の多くの主要なイスラム教の経典がすぐに入手でき、中国語、ウイグル語、カザフ語、キルギス語に翻訳されていると述べている。さらに、「ウルムチに本部を置く新疆イスラム研究所は、カシュガル、ホータン、イリなどの他の都市に8つの支部を持ち、この地域には新疆イスラム学校を含む10の神学校がある。これらの学校には、毎年3,000人の新入生が在籍している。」[58]アクフィラトは、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒は、祈り、断食、巡礼、イードアルフィトルとイードアルアドハーの祝賀など、宗教的儀式にも自由に従事していると述べている。
これらの詳細は、近年新疆ウイグル自治区をよく訪れるようになった外交官、当局者、ジャーナリストによって確認されている。2021年3月の外交代表団にはパキスタンの駐中国大使であるモイン・ウル・ハックが含まれていたが、彼は、宗教的迫害の告発を明確に拒否した。「注目すべき重要なことは、中国には信教の自由があり、それが中国憲法に明記されていることだ。それは非常に重要な点である...新疆ウイグル自治区の人々は、自分たちの生活、文化、深い伝統、そして最も重要なことに、自分たちの宗教を楽しんでいる。」[59]
駐中国パレスチナ大使のファリズ・メダウィは、膨大な数のモスクがあり、宗教的および民族的伝統が尊重されているのがわかると述べ、さらに「モスクの数を、すべてを計算する必要があるなら*、1つのモスクに対して2,000人の住民がいるようなものです。この比率は私たちの国にはない。どこでも手に入らない」 とも語った。メフダウィが「あなたはポチョムキン村**を見せられただけかもしれない」と言われると、彼は答えた。「私たち外交官は、何かを信じるように操縦されるほど未熟ですか...それとも、私たちが陰謀に加担し、自分の目で見たものとは反対のものを是認するとでも言うのですか。そんなことを言うのは失礼ではありませんか。...ここには陰謀はなく、事実があります。そして問題の事実は、中国が新疆ウイグル自治区も含めて、至るところで台頭し発展しているということです。一部の人々はそれが気に入らなくて、是が非でも中国の台頭を止めたいと思っているのです。」[60]
この部分のメダウィ氏の発言の前は次のようになっている。We were living in a hotel. I can go to the veranda and wherever you look there are mosques. In one crossing there is five mosques actually in the same neighborhood. I mean too much, too many actually, the average I had learned … the average of mosques…. if you calculate it all, it’s something like 2,000 in one mosque this ratio we don’t have it … (筆者の引用では、the average of mosques の部分は、the numbers of mosques となっている。)
**貧しい実態や不利となる実態を訪問者の目から隠すために作られた、見せかけだけの施設などのことを指す。ロシア帝国の軍人で1787年の露土戦争を指揮したグリゴリー・ポチョムキンが、皇帝エカチェリーナ2世の行幸のために作ったとされる「偽物の村」に由来する。
国連での、中国の人権に関するさまざまな国の投票記録を見て驚くのは、イスラム教徒が多数を占める国で、米国主導の中傷に一貫して賛成票を投じているは、NATO加盟国のアルバニアだけであることだ。2022年の第50回人権理事会では、イスラム協力機構の構成員は、中国の立場を支持する声明を圧倒的多数で共同提案した(37対1)。この比率は、アフリカ(33対2)とアジア(20対2)に反映されている。[61]イスラム教徒が多数を占める国の大多数、およびグローバルサウスの国々が、中国のウイグル人イスラム教徒に対して犯された文化的大量虐殺に直面して、沈黙を守るとは信じがたい。
以下に挙げるようなことを考えると、文化的大量虐殺の告発は全く支持できないように思える。文化的大量虐殺の証拠がないこと、中国の少数民族文化の保護に関する資料と報告、新疆ウイグル自治区への多数の外交使節団、イスラム教徒が多数を占める国々が中国を中傷から守ることでほぼ一致した合意を形成していること。
強制収容所
新疆ウイグル自治区の当局に対して最も頻繁に課せられる具体的な告発は、ウイグル人イスラム教徒が大量に閉じ込められている捕虜収容所を運営していることである。そこに入れられている人は、人口1300万人のうち100万人というのが最も頻繁に言及される数字だ。[62]これらの捕虜収容所の目的は、ウイグル人のイスラム文化を根絶し、人々を洗脳して政府を支援すること、つまり「復讐心を育み、ウイグル人の独自性(アイデンティティ)を消し去る」ことだ。[63]
「強制収容所にいる百万人のウイグル人」の話は、典型的なプロパガンダの集中的電撃攻撃である。欧米マスコミの全面的な繰り返しと、アメリカ国務省の支援を通じて、この驚くべき見出しは、広く受け入れられている真実の力を獲得した。それでも、この「ニュース」の情報源は、笑えるほど偽物だ。
この100万人の数字の出所を見つけようとした2018年のチャイナファイル誌の記事は、4つの重要な研究を特定している。1つめは、ドイツの人類学者エイドリアン・ゼンツ。2つめは、ワシントンDCを拠点とする非営利の中国人権擁護家(CHRD)。3つめは、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)。4つめは、米国を拠点とするメディアであるラジオフリーアジア(RFA)。2021年には新しいプレーヤーとしてニューラインズ研究所がゲームに参加した、米国フェアファックス大学に拠点を置くシンクタンクである。この研究所は、中国政府が国連の大量虐殺条約に違反していると正式に判断するための「最初の独自の報告書」を発行した。上記の個人や組織は中国に対するこの注目を集める告発に最も責任があるので、彼らが既得権益や下心を持っているかどうかを検討することは価値があるだろう。
エイドリアン・ゼンツは、100万人のウイグル人が強制収容所に収容されていると主張した最初の人物だった。[64]彼はまた、強制労働と強制不妊手術の申し立てに関しても先駆者のようなものだった。中国を誹謗中傷する彼の執拗な仕事は、CNN、[65]ガーディアン紙、[66]デモクラシー・ナウ、[67]そして他の場所で高く評価されている。中国による強制収容所の使用疑惑に関するニュース報道で、ゼンツ氏の仕事に言及していないものを見つけるのは難しい。
ウォールストリートジャーナルの聖人伝レポートは、世界的な反中国誹謗中傷機械の構築における、この一人の個人の特大の役割を強調している。「生まれ変わりのキリスト教人類学者が、窮屈な机から一人で始めた研究...中国と西側諸国を、過去数十年で最大の人権紛争の1つに押し込んだ。エイドリアン・ゼンツは、中国のインターネットの薄暗い隅から資料を頑固に探し出し、中国の遠隔地の新疆ウイグル自治区での治安強化を明らかにし、その後のトルコ系イスラム教徒の大量拘留と取締りを明らかにした。彼の調査は、中国がどのように数十億ドルを費やして新疆ウイグル自治区に収容所とハイテク監視網を構築し、それらを運営するために警察官を採用したのかを明らかにした。」[68]
記事は、ゼンツのイデオロギー的方向性をさりげなくほのめかし、「彼の信仰は彼を前進させる」こと、そして彼の以前の知的活動には「聖書の終わりの時を再検討する本」の共著が含まれていると述べている。[69]彼は反中国誹謗中傷を発するために「神によって非常に明確に導かれていると感じている」。言い換えれば、ゼンツは単に人権に情熱を注ぐ政治的に中立な情報分析家ではない。むしろ、彼は頑固な反共産主義者であり、キリスト教の終末論者だ。彼は共産主義犠牲者記念財団の中国研究所の所長として雇用されている。[70] この財団は1993年に米国議会によって設立された超保守的な組織で、国家社会主義のような「非常に邪悪な専制政治」が再び「世界を恐怖に陥れ*ない」ように「前例のない帝国のホロコーストにおける1億人以上の犠牲者の死」を追悼するために設立された。 [71]彼の著書『逃げる価値がある:なぜすべての信者は苦難の前に天に召されないのか』の中で、彼は手に負えない子供たちは「聖書に記載されているムチでの尻叩き」に服従させるべきで、同性愛は「獣の4つの帝国の1つ」と表現している。[72]
*原文の“so evil a tyranny” as state socialism would ever again be able to “terrorise the world.”におけるeverはneverの誤植である。
ゼンツの思想的起源と著書から考えると、彼の研究が真剣な精査を受けることを要求するのは不合理ではない。しかし、実際には、新疆ウイグル自治区に関する彼の評価は、西側のメディアと政治機構によって無批判に受け入れられ、広く増幅されている。
「100万人以上のウイグル人と他のトルコ系イスラム教徒の少数派の一員が「再教育収容所」の広大な組織の網の中に姿を消した」という非難を支持している別の組織は、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)である。[73] ASPIはオーストラリア政府によって設立されたシンクタンクであり、オーストラリア国民の中国に対する態度を形成するという点で非常に影響力がある。新疆ウイグル自治区に関するその報告は、この話題に関して最も引用されている情報源のひとつだ。
ASPIは自らを「独立した無党派のシンクタンク」と表現しているが、その中核的な資金はオーストラリア政府から来ており、米国国防総省と国務省(「新疆ウイグル自治区の人権」活動に特化している)の他にも、英国外務・英連邦開発局、アマゾン、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、BAEシステムズ、ロッキード・マーティンなどから多額の寄付を受けている。[74]要約すると、ASPIは冷戦と太平洋軍事化の商業活動にどっぷりと浸かっているので、中国の人権を議論する場合は明らかな利益相反になる。
新疆ウイグル自治区に関連する反中国プロパガンダを増幅する最新の「無党派シンクタンク」は、ニューライン研究所である。この研究所をジェフリー・サックスは「153人の学生、8人の専任教員、そして明らかに保守的な政策計画を持つバージニアに本拠を置く小さな大学の事業」と表現している。[75]ニューラインズ報告書は「独立した専門家が、中国で進行中のウイグル人の扱いに対して、大量殺戮条約(1948年)を最初に適用したもの[76]」として西側メディアで大きく取り上げられ、強制収容所、強制労働、文化的大量虐殺に関連する中国の責任を証明する動かぬ証拠となった。この報告書は、研究所のウイグル学者作業集団、まさしく(先述の)エイドリアン・ゼンツが率いる著名な集団によってまとめられた。カナダのジャーナリスト、アジット・シンは、ニュースサイト「グレイゾーン」の詳細な調査の中で、「ニューライン研究所の指導者には、元米国国務省職員、米軍顧問、「影のCIA」と言われた民間スパイ会社ストラトフォーで働いていたことがある諜報専門家、および介入主義信奉者の集まりが含まれている」と指摘している。さらに、研究所の創設者兼社長は、米軍のアフリカ司令部の諮問委員会を務めたことで最もよく知られているアーメド・アルワニである、とのことだ。[77]
BBC、ガーディアン紙、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙などはどれも、ニューラインズ報告書を、あたかもそれが学問的厳密さの頂点を表しているかのように扱い、米軍産複合体との関係についてさえ言及しなかった。
新疆ウイグル自治区の捕虜収容所に関する一般的な物語が非常に疑わしい情報源に基づいていることは十分に明らかだ。先述のゼンツやASPIなどによって提供された証拠は、捕虜収容所を示すと称する少数の写真と衛星写真とともに、少数の個々の証言である。これらの写真は、いくつかの刑務所が存在することを証明しているように見えるが、これはひどく興味深い現象でも、異常な現象でもない。確かに中国にはいくつかの刑務所がある。しかし、その投獄率(10万人あたり121人)は米国の20%未満だ。[78]
何人かの評論家は、ダラスの人口とほぼ同じ100万人の囚人を隠すことは容易ではないと指摘する。オマール・ラティフが指摘しているように、「その数の囚人を収容して住まわせるために必要な建物と生活基盤施設の数を想像してみなさい! 衛星カメラが車両のナンバープレートを読み取ることができる(挿入)のであれば、米国はそれらの刑務所と囚人を非常に詳細に見ることができると誰もが思うだろう。」[79]
おそらく、新疆ウイグル自治区の捕虜収容所を示すと称する最も象徴的な画像は、青い作業着を着た刑務所の庭にいる男性の集団の画像である。これは、2017年4月に羅埔県改革矯正センターで行われた講演の写真であることが判明している。[80]羅埔センターは普通の刑務所で、普通の犯罪者がいるが、それは、「新疆ウイグル自治区の人々の強制収容所や奴隷労働を証明立て、実際に見せ、あるいは実際にあることをほのめかすために、つまり、人を欺くために使用されてきた」[81] ということだ。
脱過激化教育
中国当局は、西側の人権団体が強制収容所と呼んでいるものは、実際には宗教的過激主義と暴力的な分離主義の問題に対処するために設計された職業訓練所であると主張している。彼らは、宗教的憎悪の考えを弱体化させようとすることに焦点を当てた社会学と倫理学の授業と、参加者が仕事を見つけて生活水準を向上させることができるような市場性のある技能を提供する授業を組み合わせている。基本的な考え方は、人々の生活の見通しを改善して、原理主義の宗派集団によって過激化される可能性が低くなるようにすることを目指している。
そのような過激集団からの脅威は十分に現実的である。その中で最大のものは東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)で、2020年10月まで米国国務省によってテロリストグループとして分類されていた。[82] ETIMは、シリアとアフガニスタンでダーイシュやさまざまなアルカイダ集団と一緒に戦うために何千人もの民兵を派遣してきた。[83]
1990年代半ばから2010年代半ばにかけて、中国では、ウイグル分離主義部隊による一連のテロ攻撃がショッピングセンター、駅、バス停、天安門広場であり、数百人の民間人が死亡した。これは、中東と中央アジアでのテロの増加に対応しており、この地域の進歩的または民族主義的国家に対する西側の代理戦争に少なからず関連している。他の人々と同様に、中国の人々も安全と安心の権利を要求する。そのため、テロリズムは中国政府が簡単に無視できる問題ではないのだ。
したがって、職業訓練所は、学歴と経済的繁栄を高めることを目的とした全体的な反テロキャンペーンの一環として設立され、それによって過激化を引き起こすことが知られている不平不満に対処しているのだ。教育方法は生活条件の改善に焦点を当てて組み合わされており、2014年から2019年までの5年間で、一人当たりの可処分所得は平均年率9.1%増加している。[84]
テロリズムに取り組むための中国の方法は、国連の暴力的過激主義防止のための行動計画で提唱されている措置に基づいており、「不可欠な安全保障に基づくテロ対策だけでなく、個人を過激化し、暴力的な過激派集団に加わらせる根本的な状況に対処するための体系的な予防措置を含む包括的な手法を求めている」。[85]したがって、中国は国際法と最良の方法の枠組みの中で積極的に活動しようとしているのだ。このやり方は、例えば、米国が運営している拷問的な収容所と比較してかなり優れている。というのも、この収容所に入所しているのは、テロ容疑者たちであり、その中には、多かれ少なかれ手当たり次第に逮捕された無実の犠牲者ももちろんいるからだ。しかもその収容所は、キューバ領内の不法占拠区域に位置している。[86]
現地で広範な調査もされていないのに、職業訓練所の運営方法に関する中国当局の主張は検証不可能である。私たちが確実に言えることは、大量虐殺、文化的大量虐殺、宗教的抑圧、強制収容所に関する非難は、十分な証拠として値する情報に裏付けられていないということだ。さらに、最も著名な告発者は、例外なく、中国に対して斧を挽く(密かな企みがある)ことで知られている勢力ばかりだ。
上記のいずれも、新疆ウイグル自治区に問題があることを否定するものではない。ウイグル人が警察によって虐待されたり民族的に差別されたりすることは決して起こらず、脱過激化学習に関与した強制は一度もなかったというわけではないのだ。しかし、中国でよく理解され、政府が積極的に取り組んでいるこれらの問題は、決して中国に限ったことではない。確かに、ウイグル人に対する差別は、たとえば、米国のアフリカ系アメリカ人や先住民の扱い、またはインドのダリット(不可触民)、アディバシス(インド先住民)、その他多数の少数派の扱いと比較すると大きいとは言えない。
なぜ新疆ウイグル自治区なのか?
新疆ウイグル自治区周辺の邪悪なプロパガンダ作戦は、複数の目的を果たしている。これは、アメリカ主導の新冷戦におけるひとつの要素であり、中国の台頭を遅らせ、アメリカの覇権を維持し、多極世界の出現を防ぐために設計されたハイブリッド戦争の事業だ。[87]それはまた、資本主義国の労働者階級、そして一般的に抑圧された人々が社会主義世界に対して感じるかもしれない自然な連帯を混乱させることを目的とした、百年前の悪質な反共産主義の反復に関連している。最後に述べたいのは、新疆ウイグル自治区の地政学的重要性は、中国を弱体化させる全体的な戦略において特別な役割を果たしていることを意味する、ということだ。ロシア、モンゴル、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンと国境を接する新疆ウイグル自治区は、一帯一路構想の主要な東西陸路に沿った要所を構成している。それは中国を中央アジア、したがってペルシャ湾、中東、そしてヨーロッパにも結びつける。また、新疆ウイグル自治区は中国最大の天然ガス生産地域であり、中国の太陽光発電と風力発電の中心地でもある。つまり、中国の安全保障にとって非常に重要なのだ。
英国の政治学者ジュード・ウッドワードは、新疆ウイグル自治区の位置は、中国と中央アジアとの貿易関係の中心にあると指摘した。「そこは、中国のウィンウィン(双方満足)の地政学と米国の旧来の地政学との対立が、最も対照的な形で展開されている世界の一部なのだ。...中国は、中央アジアは再創造されるユーラシアの交差点にあるべきだと提案している。そこは、石油とガスのパイプライン、高速列車、連続した車道で接続され、成長に支えられ、貿易によって支えられた安定性を備えた場所になるのだ。中国は世界の未来像を提供している。それは、『真ん中の王国』ではなく、アジア大陸全体を人間開発の次の段階の中心に据える未来なのだ。」[88]
この進展を混乱させるために、米国は不安定化と悪魔化に訴えてきた。最大の目標は疑似独立新疆ウイグル自治区の基礎を築くことだ。そこは、実際には米国の属国に変わり、中国や地域の他の国々に対するさらなる侵略の強力な足がかりとなる、最小限の、そしてはるかに可能性の高い目標は、中国とユーラシア大陸を結ぶ価値連鎖を混乱させ、それによって一帯一路構想を減速させ、中央アジア、中東、ヨーロッパとの中国の貿易関係を損なうことである。
余談だが、西側が新疆ウイグル自治区の不安定さを煽り、制裁を課していることは、気候崩壊との戦いへの取り組みのいい加減さをも露呈している。
2021年、新疆ウイグル自治区は再生可能エネルギー源(主に太陽光と風力)から2兆4800億キロワットの電力を生成し、これは中国の総電力消費量のほぼ30%にあたる。[89]ソーラーパネル(太陽電池板)の必須部品であるポリシリコンの世界供給の約半分は、新疆ウイグル自治区から来ている。[90]
米国とその同盟国がカーボンニュートラル(二酸化炭素±ゼロ)を追求し、生態学的大惨事を防ぐことに真剣に取り組んでいるというなら、彼らは中国と緊密に協力して再生可能エネルギーの供給網と送電能力を開発してもいいだろう。中国の太陽光発電と風力発電技術への投資は、すでに世界中で価格の劇的な引き下げにつながっている。[91] ところが、彼らは、そんなことは頭になくて、中国に全面的な制裁を課し、新疆ウイグル自治区をクリーンエネルギーの供給網から切り離そうとしている。[92]これは、帝国主義支配階級が、気候破壊の防止よりも反中国プロパガンダ戦争を優先していることをかなり明確に示している。「赤(red)よりも死んだ(dead)ほうがいい」という標語は21世紀も続いているようだ。
捏造合意を拒否する
アフリカ系アメリカ人の公民権運動指導者で革命家のマルコムXが、「注意しないと、新聞は抑圧されている人々を憎み、抑圧している人々を愛するように導く」と言ったのは有名な話だ。[93]
中国が台頭している。その平均余命は今や米国のそれを追い抜いた。[94]極度の貧困は過去のものであり、人々はますます元気に暮らしている。中国は、気候破壊との戦いにおける主導的な力としての地位を確立している。パンデミックから人類を救うための戦いで。そして、より民主的で多極的な国際関係のしくみに向かう動きにおいて。習近平の言葉を借りれば、中国は「今やグローバル社会主義運動の旗手」なのだ。[95]
米国とその同盟国は新冷戦を追求している。その目的は、中国を弱体化させ、その台頭を制限し、最終的に中国革命を覆し、共産党の支配を終わらせることだ。反中国プロパガンダの集中砲火は、この新冷戦の宣伝広告を提供する。西側の支配階級は、中国の社会主義を差別、権威主義、捕虜収容所と結びつけることを望んでいる。貧困を終わらせ、地球を救うことではない。帝国主義諸国の読者は、自分たちがこのように捏造された合意を望むかどうか、自分たちが支配階級の外交政策目標を彼らと共有しているかどうか、について検討すべきだ。
米国とその同盟国が彼らの目的に成功し、中華人民共和国がソビエト連邦と同じ運命をたどった場合、どのような影響が考えられるだろうか?
ひとつは、気候危機の観点からの結果は潜在的に壊滅的なものになるだろう。資本主義政府となった中国は、現在追求されている水準で再生可能エネルギー、植林、保全の事業を継続する意志も資源も持たなくなるだろう。Covid-19の規模のパンデミックは完全に壊滅的になり、数千人ではなく数百万人の中国人が死亡するだろう。一方、マラリア、コレラ、その他の病気はすべて復活することが予想される。貧困、過密、気温と海面の上昇という完璧な嵐、つまり病原体にとって「最適な状態」になるからだ。
貧困緩和と共同繁栄は歴史に追いやられるだろう。何億人もの人々が 自分たちの利益を優先する理由が何もない支配階級によって貧困に追いやられることになるだろう。ホームレス、暴力犯罪、麻薬中毒は、ソビエト崩壊後のロシアで起こったように、再び当たり前になるだろう。さらに、資本主義の中国は、米国の友情と保護を獲得することに必死になって、多極化を促進し帝国主義に反対するという、彼らの国際的な役割を終わらせるだろう。
われわれは、反中国中傷に断固として反対し、その本質を暴露しなければならない。それは世界の労働者階級と帝国主義に反対するすべての人々の連帯の絆を断ち切ることを目的としているからだ。また社会主義を中傷し、弱体化させようとするものだからだ。さらに、それは毎日、より多くの貧困、より多くの悲惨さ、より多くの抑圧、より多くの暴力、より多くの環境破壊を生み出し、人類の生存そのものをますます脅かす瀕死の資本主義システムを永続させるのに役立つものでしかないからだ。
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・・・・・・・・・・
抜粋終わり
中国関連情報の西側発信のモノは、信用に値しない。
そもそもワクチンは日本のが一番信じれない。
まあ、天皇に関したら、まず日本のは全部嘘。なんせ詐欺と殺人王の無責任が、天皇だからな。
天皇を卒業し 供養し 浄土へ送る
天皇の無い 蒼い空を取り戻す