軽戦 心書
守屋洋訳 諸葛孔明の兵法 {徳間書店} より
{軽戦}
勇敢に戦う理由
蜂やさそりが敵を恐れないのは、その武器である毒針をたのみとしているからである。それと同じように、戦士が勇敢に戦うのは、防御の堅固なることをたのみとしているからだ。鋭利な武器、堅固な甲冑、これがあるゆえに兵士は勇敢に戦うのである。
甲冑が堅固でなかったら、はだかで戦うのと同じである。矢を命中させることができなければ、矢を持たないのと同じである。命中させても、深く突き刺さらなければ、鏃がないのと同じである。物見を置かなければ、目を持たないのと同じである。将帥に勇気がなければ、将帥がいないのと変わりがない。