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「もったいない」を捨てると「やりたいこと」が仕事になる〜元・日テレアナウンサーの桝太一さん、元・TBSアナウンサー伊東楓さんの転身物語〜

2人のアナウンサーの転身の話を読むと、もう誰かが考える「もったいない」は捨てていいんだなと勇気をもらえます。有名な会社、社会的地位、高待遇、義理でつながる人間関係。それら「もったいない」とひとが投げてくるものの多くは「しがらみ」でしかありません。
未来の自分を応援する選択をした2人のアナウンサーをご紹介します。それは「やりたいこと」や「やりがいのある仕事」を見つける王道パターンでした。

「もったいない」を捨てた2人のアナウンサー

憧れの職業に就いた方が退職すると話題になります。それは「え、なんで?」「いい職業なのに」「待遇もいいでしょ」といった声が集まります。そういった「もったいない」を捨てて自分だけの道を歩く方が増えています。元・日テレアナウンサーの桝太一さん、元・TBSアナウンサー伊東楓さんです。お二人とも言葉が掲載されていました。

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悩みや違和感から「やりたいこと」が仕事になる

桝太一さんは、研究者とキャスターの二足のわらじを履く理由をこう話します。

自分の中で共通して考え悩み続けてきたことは、「どうすれば、もっと適切に科学を伝えられて、より良い社会に貢献できるだろう?」という点でした。伝え方ひとつで、もっと魅力的にできることもあれば、避けられたはずの誤解もあったと感じてきたからです。

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自分の悩みや育ってきた違和感を無視せずに、捉え続けた結果としての新しいキャリアです。「やりたいことがわからない」「未経験だけどやってみたいことがある」はキャリアの悩みとしてずっとテーマです。

そのひとつの出口は、まさに桝太一さんのパターンです。自分の悩みや違和感を無視しない、具体的には言語化し続けることです。モヤモヤしたものを放っておくことなく、言葉にするとしたら、仕事にするとしたらを考え続ける。きっと内省の軌跡があったのだとお見受けします。新天地での活躍をお祈り申し上げます。

「やりがりある仕事」は小さな体験から生まれる

伊東楓さんもまた、悩みや違和感からキャリアをつくった方です。悩みが深かった当時をこう振り返っています。

振り返ると入社した当初から、アナウンサーとして「期待に応えなければいけない」とか、「何かしら会社にしっかり貢献しなきゃいけない」と強く思っていました。いわゆる、人が求める“アナウンサー像”を意識して、それに向かって日々頑張っていたら精神的にギリギリになってしまった。

「アナウンサーを辞めてもったいないね」の言葉に思うこと。海外移住しアーティストに転身、元TBSアナウンサー伊東

インタビューを読み進めると「やりがいを感じられる仕事は、小さな体験からはじまる」とわかります。

入社して3年目、当時放送していた中居正広さん司会のバラエティ番組『中居くん決めて!』の中で、ある日、出演者の似顔絵をホワイトボードに即興で描く役割を任されたんです。本来のアナウンサーのような役回りじゃなくてもこれも立派な仕事だと思って。そこから仕事が終わると毎日のように絵を描き始めました。

「アナウンサーを辞めてもったいないね」の言葉に思うこと。海外移住しアーティストに転身、元TBSアナウンサー伊東楓さんの今

重要なポイントは「本来のアナウンサーのような役回りじゃなくてもこれも立派な仕事」です。「自分が本当にしたいこと」や「やりがいのある仕事」は、何か劇的な体験があって目覚めるものと考えられることが多いです。

確かに、たとえば戦争や病気、投獄といった自分の思想が転換する体験から天職に出会う方もいます。けれど、そういった天地がひっくり返るような体験は稀です。では、私たちは転職に出会えないかというと、そんなことはありません。それが伊東楓さんのパターンです。

「人が求める“アナウンサー像”を意識して、それに向かって日々頑張っていたら精神的にギリギリになってしまった」経験から「自分はどこに向かいたいのか」を考え続けます。いわば、自分の「やりたいことセンサー」を磨き続けます。だから本来のアナウンサーの役割でもなければ見過ごしてしまいそうな小さな体験である「出演者の似顔絵をホワイトボードに即興で描く役割」から、自分の生きる道をアーティストに定めます。

その選択を応援してくれるひとは必ず現れる

桝太一さんと伊東楓さんの転身物語は、誰でもできる再現性のある「キャリアの見つけ方」です。日々の仕事の中でたまる悩みや違和感をごまかさない。言語化する。そうすると「やりたいことセンサー」が磨かれる。そのセンサーに従って意思決定する。それが後悔のない自分だけの働き方をつくることになります。

もう自分以外の誰かのものさしで図られる「もったいない」は捨てちゃっていいですね。こういった自分を過去に縛り付ける人間関係は、しがらみとなって濁っていきます。未来を応援してくれる方は必ずいます。伊東楓さんは、それは仕事という具体的な形でもあることを教えてくれます。

アナウンサーとして多少なりとも自分の名前を知って頂いていたことも手伝って、詩集を出せて、個展を開き、ブランドともコラボレーションの仕事が出来た。

「アナウンサーを辞めてもったいないね」の言葉に思うこと。海外移住しアーティストに転身、元TBSアナウンサー伊東楓さんの今

退職することはしがらみの人間関係から逃れることを意味します。でも、伊東楓さんはそれだけではないことも教えてくれます。

会社を辞めたら、自分の好きな人と一緒にいられるようになりました。自分に対してネガティブな人は当然のように寄って来なくなる。それはもちろん良いことではありますが、一方で、居ようと思えば、自分と同じ考え方の人たちとだけ居られるようになる。それには“危うさ”も感じました。

「アナウンサーを辞めてもったいないね」の言葉に思うこと。海外移住しアーティストに転身、元TBSアナウンサー伊東楓さんの今

人間関係は蝶々結びのように何度でも結び直せる、つまり変わり続けるものです。つながりがしがらみに、しがらみがつながりになる。人間関係を断ち切るのではなく、更新しながら自分の未来を応援してくれるひとと生きていく。

退職が単に「会社辞めてやったぜ!自由だ!」ではなく、自分と人間関係を更新していく内省の機会となりますように。桝太一さんと伊東楓さんは、「最高の会社の辞め方」のお手本のような方でした。

「退職学™️(resignology)」・佐野創太

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