掛軸デザイン 真・行・草
掛軸の形式にはたくさんの形式があります。といっても、おそらく掛軸をじっくり見てない人以外は、全部同じ掛軸に見えているのではないでしょうか?
掛軸を作品の部分を除いた周りをよーくみていただくと、本当に色々なデザインがあります、正直掛軸の制作工法上どんな形式にもできてしまうのです、アホみたいにデザインは無限大です。(アホは訂正いたします)
さて、そんなアホみたいな数のデザインの中で、さらによーく観察すると、頻繁に見る形式や、ある法則性にのっとて作られるデザインがあることに気づくかと思います。(またアホ言ってしまった・・・)
たぶんそれが、掛軸の形式の代表的なデザインである真・行・草のデザインになります。
真(しん)・行(ぎゅう)・草(そう)というと、日本の文化や工芸を嗜んでいる人であれば、聞いたことあるのではないでしょうか?
真・行・草とは
書道の書体の類型を示す言葉。さらに日本人の美意識の表現として広く用いられた言葉である。中国の東晋時代に書道の基礎を作った王羲之によって,古代の篆書(てんしよ)・隷書(れいしよ)に対して真(楷書)・行・草の三体が確立したといわれ,日本では奈良時代後期の《正倉院献物帳》に王羲之の書として真行草の文字が見える。書道の普及とともに,最も格式の高く整った真と,その対極に位置する最も破格の草,その中間項の行を,3段階の様式表現の用語として,書道以外のさまざまのジャンルでも用いるようになった。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について から引用
といったように、元々は書道の種類を表す言葉だったのです、真というのがわかりにくですが、真を楷書、行を行書、草を草書とすると、なるほど納得の感じになるかと思います。格式の高い真、中間の行、自由な草と特徴があります。
そして、様々なジャンルでも用いるようになったとありますが、日本の文化にも沢山の、真・行・草は浸透しており、華道や茶道、そして建築様式にもこの考え方が用いられております。
掛軸もデザインの中で、真・行・草という形式があり、これが、日本独自のデザインの基本となり、大和表具(大和仕立て・大和デザイン)といわれております。
掛軸の場合は、さらに細分化して、真の真、真の行、真の草、行の真、行の行、行の草、草の行、草の草といった感じで、8体のデザイン形式が基本の形式となっております。
このデザインの基本的な使用用途として、一般的に、真は仏様関係、行は日本画や一般的な作品、草は草書や茶道関係で主に使用しております(あくまで主なですので、これが絶対ではないので誤解しないでください)
そもそも、この真行草の三体は、室町時代の足利義政の同朋衆によって、作られたとされています。そのようなことから、武家文化そして茶文化と深く関わっているのが、掛軸ではないかと思います。
それから、1000年以上の時を経て、現代でも受け継がれている、真行草の形式、まずその長い年月の中で、変わらないデザインとしてずっと続いてきているという事も、掛軸の奥深さにつながっているのではないでしょうか?
その他にも、文人デザイン(仕立て)、創作デザイン(仕立て)などが、ありますが、この辺りは、また別の機会にお伝えできればと思います。
(真行草の8体のデザインも、具体的に後々書ければと思います
佐河画伯の絵で説明いたします!)
まずは掛軸には真・行・草というデザインがあり、それは日本独自の形式として大和デザイン(仕立て)と言われているのを、ぜひ覚えておいてください。