日本文化とスポーツの融合「飛脚まらそん」
足の神様をお祀りする服部天神宮では、江戸時代に飛脚が訪れていました。この飛脚をモチーフに今年新たに「飛脚まらそん」を服部緑地公園で開催いたしました。
飛脚まらそんの前提条件として、神道の精神性をベースとした文化作りを念頭にコンセプトを作っていくことにしました。
神道には固定された定義がないため、日本の生活文化に根付いている特徴があらゆる側面から見出されるために、無意識的にあらゆる分野に自然と浸透していく特徴があります。今回は、意識的に神道的要素を組み込んだ日本式「まらそん大会」を企画しました。この大会は、参加者が競争ではなく、互いを思いやる心を育むことを目指しています。
まず、一般的な「マラソン」は、42.195kmの距離を走り、順位やタイムを競う競技です。その起源は古代ギリシアにさかのぼり、戦勝報告の伝令が走った伝説に由来しています。このように、マラソンには「競い合う文化」が根底にあります。
一方、「飛脚まらそん」では、競争ではなく、他者への思いやりを大切にしています。飛脚とは、手紙や物資を運ぶ人々のことで、江戸時代に特に発達しました。彼らが大切にしていたのは、速さや正確さだけでなく、何よりも「人を想う心」でした。この精神を現代に伝え、「飛脚まらそん」を「人を想い、走る」文化として位置づけています。
飛脚まらそんの特徴
神道的要素を組み込んだ飛脚まらそんの特徴についてご紹介します。
①お百度石
お百度石は、神社やお寺で願掛けのために一定の距離を100回往復する際に使用される石柱です。周回の目印として、お百度石を設置し、走ることに「願掛け」の意味を込めました。
② 祈りの輪
紅白の輪を使用し、参加者が周回ごとに輪を返す仕組みを導入しました。多くの参加者がこの輪を返す際に、それぞれの想いを胸に祈りを捧げています。
③ お清め
神道の儀式で行われる清めを参考にし、走者が柄杓と桶を使って水で心身を清める場を設けました。柄杓と桶を用いることで、体だけではなく心をまっさらに清めることで、より一層「人を想う心」を引き出せるような仕組みを作りました。
これらの神道的な要素を取り入れることで、西洋由来の「競い合うマラソン」ではなく、互いに思いやり、応援し合う日本的調和が基軸にある「まらそん」の文化を作り出そうとしています。この取り組みが、スポーツに日本文化を融合させる新たな可能性を示してくれることを期待しています。
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