おふくろの味

私には4人の「おふくろの味」がある。物心ついた頃は、母親と父方の祖母、小学校高学年になってからは母方の祖母と実家のお隣の「いっちゃん」(母親と祖母の間くらいの年代のかた)である。

4年前に母方の祖母が亡くなり、先月、父方の祖母も亡くなってもう、2人の手料理は一生食べられない。実際は、晩年は料理をすることも無くなってしまったので、正確にはもうだいぶ前から二人の手料理は食べれてなかったんだけど、でもやはり亡くなった時に大きな喪失感に襲われた。母方の祖母は焦がしたり、甘すぎたりしょっぱすぎたり、が結構あったが、いつ作っても安定の味だったのはきんぴらごぼうやふきのきんぴら。何度か作り方を見せてもらって試してみたが、再現できた試しがない。父方の祖母の料理は、北海道らしい甘め、優しい味付けで、お店で売れ残った野菜を使った手作りミートソースやニシンの漬物。幼少の頃の記憶すぎて、もう思い出せないくらいなんだけど、確かにおふくろの味である。

ちなみに、ご存命のいっちゃんの味は具沢山のポテトサラダ。これは、大学生の時にほぼ再現できるようになったが、友人曰く、これはポテトサラダではない。とのこと。あとはおからの煮物。母親の料理は茶碗蒸し。と、ルーを使ったカレー。とああ、書きながら懐かしく、食べたくなってきた。

思えば、生まれてこの方、どちらの祖父母にも本当にお世話になった。みんなそれぞれにたくさんのことを教えてくれ、素直になれなかった時も感謝できなかったこともあって申し訳なく思うところもあるけれども今は心から感謝しかない。もしも、タイムマシーンがあるならば、祖父母が元気だった時に戻って、自分に言ってやりたい。当たり前に感じたり時には鬱陶しかったりするかもしれないけど、もっと感謝しなさいって。

いいなと思ったら応援しよう!