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ぼくの親友ハル - 未来からやってきた不思議な犬
今日は彩花の10歳の誕生日。朝起きると、リビングに大きな箱が置いてありました。
「彩花、おめでとう!」お母さんが笑顔で言いました。「特別なプレゼントよ」
彩花がドキドキしながら箱を開けると、中から金色の毛並みがきれいな子犬が顔を出しました。
「わあ!かわいい!」彩花は大喜び。
「こんにちは、彩花。ぼくの名前はハルだよ」
突然、犬が話し始めました。彩花はびっくり!
「え?犬がしゃべった?」
お母さんが説明してくれました。ハルは特別な犬で、人の言葉を話せて、気持ちもわかるんだって。未来の技術で作られた「感情認識犬」なんだそうです。
その日から、彩花とハルの楽しい毎日が始まりました。学校から帰ってくると、ハルが出迎えてくれます。
「今日はどうだった?楽しかった?」ハルが尻尾を振りながら聞きます。
彩花は学校であったことを全部話します。ハルはちゃんと聞いてくれて、時々アドバイスもくれます。
ある日、彩花は学校で友達とケンカしてしまいました。悲しくて泣きながら帰ってくると、ハルがそっと寄り添ってきました。
「大丈夫だよ、彩花。明日、ちゃんと話せばきっとわかってくれるよ」
ハルの言葉に勇気をもらった彩花は、次の日、友達と話し合いました。すると、ちゃんと仲直りできたんです。
休日には、彩花とハルで公園に行きます。ハルは他の犬たちとも仲良く遊びます。でも、言葉を話すのは人間の前だけ。「みんなをびっくりさせちゃいけないからね」とハルは言います。
ある日の帰り道、交通事故に遭ってしまいました。彩花は病院に運ばれ、しばらく目を覚ますことができませんでした。
毎日、お母さんとハルが病室に来てくれます。ハルは彩花の手をペロペロなめて、「彩花、がんばれ。みんなが待ってるよ」と話しかけてくれました。
そして、2週間後。彩花はやっと目を覚ましました。真っ先に見たのは、ハルの心配そうな顔でした。
「よかった、彩花!おかえり!」ハルが嬉しそうに吠えました。
退院してからしばらくして、学校で「未来の動物たち」というテーマの発表がありました。彩花は迷わずハルのことを発表することにしました。
「ぼくの親友のハルは、特別な犬です。言葉を話せて、気持ちもわかります。でも、本当にすごいのは、ハルの優しさです」
彩花は続けました。「ハルは教えてくれました。動物は昔から人間の大切な友達で、これからもそうだってことを。科学が進歩しても、大切なのは思いやりの心なんだって」
クラスのみんなは、彩花の話を真剣に聞いていました。先生も「すばらしい発表だったよ」とほめてくれました。
その夜、彩花はハルに聞きました。「ハル、あなたはロボット?それとも本当の犬?」
ハルは少し考えて答えました。「ぼくは特別な犬だけど、気持ちは本物だよ。彩花のことが大好きだし、いつも一緒にいたいんだ。それが本当の友達ってことじゃないかな」
彩花はハルを強く抱きしめました。「ハル、私もあなたが大好き!ずっと友達だよ」
これからも、彩花とハルの冒険は続きます。時には困難もあるでしょう。でも、二人で力を合わせれば、きっと乗り越えられるはず。
彩花は思いました。未来はきっとワクワクするようなことでいっぱい。でも、どんな時代になっても、友情や思いやりの心が一番大切なんだって、ハルが教えてくれたんです。
(おわり)