鈴木太良

マンドリンの大型楽器マンドロンチェロの奏者の鈴木太良です。音楽にまつわることを、まるで話しているかのように記します。

鈴木太良

マンドリンの大型楽器マンドロンチェロの奏者の鈴木太良です。音楽にまつわることを、まるで話しているかのように記します。

最近の記事

YOASOBIの「idol」の凄味と、その革新性

YOASOBIの「idol」が大ヒット中です。Billboard The Global Excl. U.S.で1位を獲得しました。 今回はその英語版の凄味とYOASOBIの革新性について書きたいと思います。 日本語版はおなじみかと思いますが、英語版を紹介します。 私はラジオで英語版を聴いたのですが、初めは英語だと気づきませんでした。それくらい楽曲とマッチしています。 例えば日本語版では「はいはい」としているところを「Right,right」と同じ韻にしている点です。

    • iri New Album「Private」

      今日ついにiriのNew Albumが配信リリースされました!タイトルは「PRIVATE」 まずはティーザーを載せます。ジャケットからしてかっこよすぎる! もともと実体験から楽曲制作を行ってきた彼女にしてみると、今までのスタイルを貫いてきたのだろうと推察されます。「会いたいわ」という楽曲で有名になりましたが、彼女の体験というものが多くの人の共感を得られる普遍性の高いものであると感じます。「会いたいわ」は夜中に泣きじゃくりながら制作し、SoundCloudにアップしたものを

      • Like a Tatoo

        昨日リリースされたBONNIE PINKの楽曲の話です。 音源だけのYouTubeですが、一聴の価値があります。私は50回くらい聴きました。できるだけ低音が聴こえる環境をお勧めします。キックドラムとシンセベースの音が効果的で、より世界観を味わえます。私はSONYのMDR-CD900STというヘッドフォンで聴きました。 実際BONNIE PINK自身もそれに言及しています。 鈴木正人さんはBONNIE PINKのライブでサポートとしてベースを弾いている方で、バンマスも務め

        • 広くて高い沼に、はまる。

          ハマっております、沼に。 その沼の名は「iri」。神奈川県逗子市出身のシンガーです。 先週の土曜日に大阪に遠征し、SIRUPさんの「Grooving Night」というイベントに行ってきました。夜寝る前に聴く音楽というコンセプトで、ゲストを招き、ライブとトークを楽しむというものでした。初回のゲストが先述のiriさんでした。 正直に申せば、まったくのノーマークで予習すらしていなかったのですが、ライブで上記の曲を聴いたとき、そのグルーヴ感に完全にやられました… タイトルを言っ

          ブレイクビーツ作曲

          今日はブレイクビーツという手法で作った曲について書きます。 そもそもブレイクビーツとは既存の楽曲を分解して、それを新たに組みなおす技法のことです。ヒップホップでよく使われます。 何かの記事で「ブレイクビーツは作曲ではない」という表現を目にしたので、へそ曲がりな私はとことんまで作曲という概念から外れたことをしてみたのがリンクの曲です。 まず私が排したものは「作曲意図」です。現代の楽曲の多くは「どういう思いで作ったか」を問われます。これを排しました。意図などありません。ある

          ブレイクビーツ作曲

          DTMのすゝめ

          今日はDTMのお話をします。DTMとはDeskTopMusicの略でコンピューターを使って机上で音楽をするというものです。 私がマンドリンオーケストラに携わって疑問に思うことがいくつかあります。それは他の楽器をイメージして弾いてほしいという指示です。 例えば「ここは原曲ではフルートが担当しているから、息継ぎを表現して」「このメロディはオーボエをイメージして編曲しました。こもった音色で弾いてください」「全体的にパイプオルガンのイメージで弾いてください。音の途中で音量を大きく

          DTMのすゝめ

          ヒップホップ考

          実は私はヒップホップも好きです。今はロバートグラスパーのレコードを聴きながら書いているくらいです。 SKY-HI曰く「世界の音楽シェア7割はヒップホップ」だそうです。現代に生きるものとして、この存在は無視できません。実際各国チャートを聴いていると、各週の上位3位には1曲はヒップホップがランクインしています。 ところで皆が当たり前の様に使う「ヒップホップ」というジャンルですが、その定義はできるのでしょうか?ここでは音楽としてのヒップホップに焦点を当てます。(ヒップホップとい

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          音楽業界は喪に服している

          高橋幸宏さん1月11日享年70。 バートバカラックさん2月8日享年94。 トゥルゴイ・ザ・ダヴさん(DE LA SOUL)2月12日享年54。 恒岡章さん(HI-STANDARD)2月14日享年51。 今年に入ってからミュージシャンの訃報に接することが多い気がします。 私が耳にしたものは以上の4名です。どの方も音楽業界に大きな影響を与えてこられました。有名人だから悲しいわけではありませんが、やはり功績を考えると悲しいものがあります。 その中でも恒岡章さんはショックが大きか

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          吹奏楽とマンドリンオーケストラ

          吹奏楽部はどの中学校でも高校でもある気がします。しかしマンドリン部がある学校は少ないのではないのでしょうか? 今回はその要因を考えてみます。 まずは成り立ちから。吹奏楽は軍楽をルーツにしているらしく、昔は行軍演習の伴奏として使われたということを聞いたことがあります。これは現在でも形を変えて残っています。それは運動部の試合の応援。対するマンドリンオーケストラは、成り立ちが室内楽ゆえにどうしても室内で行うものになってしまいます。楽器の特質上、マンドリンオーケストラの楽器は吹奏

          吹奏楽とマンドリンオーケストラ

          レコー道

          アナログレコードが再評価されているそうです。私自身はCD世代ですが、高校生の頃からレコードも買っていました。当時はレコードでしか聴けない曲もあり、今で言う「ディグって」いました。 レコードは今手元に30タイトルくらいありますが、扱いがめちゃくちゃ面倒くさいです。まず冒頭の写真のように縦にしないといけません。横積みすると盤が反って変な音になります。またホコリがついていたら、取り除かないとノイズが出てしまいます。そしてサブスクと異なり、聴き終わったらビニール袋に入れて紙ジャケッ

          心地よく鳴り響く天上の歌声

          私は基本的に女性の低い声が好きです。話声の理想は滝川クリステルさん。彼女がナビゲートするJ-WAVEの「サウヂサウダーヂ」は、かかるブラジル音楽も魅力的ながら、合間で歌詞を朗読するその声に惹かれます。 歌手で言えばダイアナクラール。彼女のハスキーでなおかつ芯のある低い声は、アップテンポの楽曲ですらChillな趣を与えます。あいみょんの歌声も好きですね。若いながらも落ち着いた印象を受けます。 振り返ってみると、私は低音に惹かれるのかもしれません。マンドリンからマンドロンチェ

          心地よく鳴り響く天上の歌声

          真昼間に号泣したのはラフマニノフを聴いたからです

          実家に帰り古い写真の整理をしていました。その時に母が「何かCDでも聴こう」と言い出してかけたのが、アシュケナージ指揮のラフマニノフピアノ協奏曲第2番&第4番のCDでした。 第2番は大好きな曲で、残念ながらオーケストラでは弾いたことはありませんが、よく聴いていた曲です。 冒頭のピアノの和音は重々しくも、教会の鐘の音を彷彿とさせます。その和音がクライマックスを迎えた後にチェロが奏でる悲しくもあり甘い印象すら与える旋律が訪れます。 その旋律を聴いた瞬間に号泣してしまいました。

          真昼間に号泣したのはラフマニノフを聴いたからです

          音楽と文学

          私は歌詞よりも音の方に耳がいってしまう方です。しかしそんな私でも「ああ、良いなあ」と思う歌詞がいくつかあります。 それらに共通しているのは、文字にしても美しいもの。 それでは紹介していきます。 単純に言ってしまえば「それは愛だ」の一言で済むものを、米津玄師さんは4小節にも亘り歌詞にしています。確かに文字にすると「それは愛だ」とするよりも味わいがあります。 そしてこの曲の一番高い音程のところで米津さんはこう歌っています。 そう。こんなストレートな愛の言葉を伝える伏線とし

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          Jazz Unelectro Music Place

          新たなプロジェクトを始めました。 「アコースティックでジャズをやる」 簡単に言うと ↑ みたいなことをもっと多くの人とやりたい!ってことです。 マンドリニストの平野之識さんとジャズセッションしてみて、これをもっといろんな人・楽器とやりたいねってことで始めてみました。 「マンドリンでジャズ」意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし私としてはごく普通のことです。マンドリンでジャズセッションに参加していますので、普段はサックスやエレキギターの方と共演することの

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          分断された人間性

          渋谷WOMBで開催された06Sというドラムンベースのパーティーに行ってきました。半年ぶりのパーティーでしたが、踊り狂って楽しかったです。 しかし途中で泣きそうになりました。 Yellockさんが「Isolated humanism」をかけたからです。 コロナ禍でご多聞に漏れずクラブイベントも中止になるなか、日本のトップドラムンベースDJのAKiさんとYellockさんがコラボしたこの楽曲は、非常に思い出深い楽曲です。 人々が出会うことすらままならぬ風潮のなか、一縷の望み

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          分断の時代に

          私は音楽が好きですが、結構漏れています。 有名どころを意外と知りません。 その一人が「サマラジョイ」です。ウィキペディアにも項目が無かったので、有名かどうかは意見が分かれるかもしれません。 ですが、去年ヴァーヴと契約している時点で、その実力は折り紙つきです。なんせあのビルエヴァンスがいたレーベルですからね。 今年24歳らしいのですが、既に大物感が漂う歌声です。 最初に知ったのは、AppleMusicのプレイリストでした。そもそも「ジャズ」というジャンルのアイコンが彼女

          分断の時代に