団地の遊び ジュース徒然
ジュース徒然
子供の頃からジュースは好きだった。大人になっても好きである。
今と違って、昔はジュースの種類はそんなには多くなかった、と思う。
サイダー、コーラ、ファンタ。すぐ手に入るモノとしては、カンタンに言って、こんなものではなかろうか。バヤリースとか、ミリンダとかもあったが、近所の自販機にはなかった。
中華屋や蕎麦屋に行くと、壁に貼られたメニューには、サイダー、コーラ、ジュース。たいがいこの三つだった。ジュースは、バヤリースオレンジあたりだったと思う。
中学二年の時、富士山の朝霧高原に泊まりがけで行ったとき、生水は絶対飲むなと言われて、すると自販機のジュースしか飲むモノがなく、それがミリンダだった。オレンジ、グレープ、レモン、コーラ、あと一種類ぐらいあった気がするが、ともかく、五日間、ミリンダだけで過ごした時は、さすがに飽きた。甘くないものを飲みたくなった。ちなみに、二百五十ミリリットルの缶のやつである。懐かしい昭和の缶ジュースといえるーーー今でもありましたね。
カルピスソーダが発売になった時のことは、ものすごく覚えている。1973年である。カルピスウォーターより、はるか昔に発売された。
当時カルピスは家で飲むモノだった。あのデカい壜の白い原液の、やつである。
それがソーダとなって、フツーの缶ジュースみたいに発売された。買って飲んだ感想はというと、それほどのものか?というやつだった。何か期待ハズレであった。要はカルピスに炭酸を入れたやつだろう、というわけなのだが、よくわからないが、違和感を覚えた。
いつも行く団地中央商店街のパン屋である。誰がいたのか忘れたが、何人かと一緒に飲み、ふむ・・・という感想を持ったのは、実によく覚えている。
ファンタレモンを初めて飲んだときは、すさまじくうまいと思った。確か高校の時だった思う。新製品のはずである。二百五十ミリリットル缶のファンタレモンを一気飲みする。とはいえ、炭酸なので、途中で止まる。このできるだけ一気飲みが、実に楽しかった。
子供の頃、ファンタゴールデングレープというモノが登場した。今はない。ないと思う。ないはずである。色が薄い。紫ではない。でも味は、フツーにグレープであった。壜でしか飲んだ記憶がなかった。今、調べたら、復刻版があるらしい。オレンジはなかった。
ところで、壜の自販機があった。ガラス製で中が見える細長いドアがある。どのくらい細いかというと、腕を入れて取れるぐらいである。壜のフタだけが見え、ジュースが並んでいる。金搬入口に、小銭を入れる。幾らだったか、確か百円しなかったと思う。
すると、壜がガチャンという結構大きな音で、一本だけ引っ張り出せる。そうやって買うというシステムである。
今の子で、知ってる人はいるのだろうか?
悪いヤツがいて、ドアは金を入れなくても開けることができた。ドアを開け、栓抜きでフタを開け、持ってきた水筒にジュースを入れるということをした。全部は入らないが、どのくらい入ったのか忘れたが、そんなことを何度もやれば、一本分ぐらいにはすぐなった。
友達のキーちゃんは、軍用水筒みたいなモノで、犯行に及んでいた。コーラばかりを狙った。コーラ好きもあるが、確かにオレンジとグレープを混ぜるのは、いかがなものかと、という問題がある。
粉末ジュースというのもあった。確か十円で、量が少なくたいしてうまくもないのだが、何度か買った。
昔の自販機のジュースは、ほとんどが二百五十ミリリットル缶で、そして百円だった。百円玉一枚で買える、というのが、よかった。それが、消費税導入から、だんだん二枚、三枚と増えていった。
今はペットボトルが主流のようになっている。昔はなかった。
一リットルのコーラは壜だった。キリンレモンもビンだった。デカいのはみんな壜で、飲み終わった後は、水を入れ冷蔵庫に冷やしてる家が多かった。
人生で一番飲んだジュースは、まず間違いなく、ファンタオレンジといえる。子供時代から、大人になっても、飲み続けている。
だからなんだ?オレはコーラを毎日五十年飲んでいる、という奴もザラにいるのは、もちろん知ってるので。
スプライトのことを忘れていた。最近はあまり見ないが、昭和ではメジャーなジュースだった。映画「パルプ・フィクション」で、サミュエル・L・ジャクソンが、ハンバーガーをスプライトで流し込むというシーンが、名場面と思ってるのは、バカな自分だけではないと勝手に思っている、暑い夏だった。
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