本記事は、演奏家・和田華音が自身の表現に対する想いを綴ったものです。 音楽観について 私は演奏家として、自分自身で作品を生み出していないことに対するさまざまな思いがあります。過去(もちろん現在の場合もあります)の素晴らしい作曲家が残してくれた作品を音で再現するという演奏家としての行為を、尊いものだと思っているし、もちろん誇りを持っています。しかし、この世に何も形がない状態からひとつの作品を生み出す美術家や作曲家の人たちへ、憧れと尊敬と、そして決して手が届かない存在としての
表現者として、言葉を介して伝えることはあまり好まないし、そもそも得意ではないけれど、声明というか、今思っていることを綴ります。 誰に言われるでもなく、自分の表現を追い求めてきたこの数年間。 思えば長い修行のような時間でした。 自分の表現を追求することは、自分自身を問い続けることでもあり、その過程で生じる葛藤や苦悩に押し潰されそうな時期もありました。 それでもなお、ここまで進み続けてこれたのは、ぼく自身が芸術の持つ本質に触れ、その力に支えられてきたからです。 芸術は「真の豊