Journal du 30 novembre

先週から続いている体調不良のせいで、仕事が手につかない。
今週もまるまる休むことになった。寒さも相まって、外になかなか出られないから、無理やり出てみるが、自転車に乗っていると風が本当に耐え難い。しかし家にいるといつまでもダラダラしてしまって余計具合が悪い。
仕事がしたいと思う。
仕事に殺されるのは嫌だが、仕事終わりに喫茶店で小一時間勉強して帰るあの時間は、何ものにも変えがたい。仕事が回っている状態が自分にとって自然だと思う。

病棟のカードキーを秘書室に返却しに行った。ひとつでも仕事を完了させようと、どうせ明日も実習を休むのだから、早い内に返しておこうと思ったのだが、「どうせ明日も」という言い方そのままで秘書室に赴くわけにはいかない。何かそれらしい、フォーマルな言い方が必要だが、まあ、その場になれば適切な言葉が出てくるだろう。
七階に行くエレベーターに乗る。
果たして、秘書には、やはり丁寧な物言いで話すことができた。挨拶ができれば、後の文句はするすると口をついて出てくる。挨拶から部屋を出るときまで、ひとセットの決まり文句みたいなものだから、これは一種の呪文のようなものに近い。よかった、休んでいても呪文の効力はなまっていなかった。
七階から、今度はエレベーターで一階に降りる。行きとは逆に進む。
通りの銀杏の黄色。言葉は呪文である。それは、逆に言えば、口にしてしまった以上その先を止めることはできない、ということだ。

フランス語のオンラインレッスンの無料体験を予約した。
いくつか調べて、文法のレクチャーや作文の添削をしてくれるものもあるみたいだが、自分は会話から取り敢えず始めたいので、レクチャーなしの会話レッスン、そのなかで一番安いので選んだ。とにかくフランス恐怖を取り除かなければ。
先生はチュニジアのフランス語教師だ。四〇近い、ベテランっぽい見た目で選んだ。Skype用のヘッドセットも注文して、明日届く。もうやるしかない。

寒くなってきたから、もう家に帰らなければならない。明日の読書会のレジュメもやらなければいけないし。
家に帰るのがなんとなく億劫だが、家の冷蔵庫にはシードルが冷やしてある。少し早めのクリスマス気分。いや、クリスマスというよりも、クリスマスをもうやってしまって、早く年末を迎えたい、ということなのかもしれない。
あと一息、あと一息で、年末だ。

(日本語:886字)

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