見出し画像

2024年 開幕 ①

あけましておめでとうございます。
年始に起きた能登半島大震災のニュースを聞いてつらい年はじめ。被害に遭われた方のご冥福をお祈りいたします。

今年は茅葺職人見習いをはじめて2年目の年。あと3か月もすれば3年目となり時のはやさにおどろいている。この二年間はしんどいこともあったが、振り返ってみると刺激的でたのしいと思える。
一昨年くらいから、年はじめには目標を掲げ、それが達成できたか確認するようにしている。

今回の投稿では、去年の目標は何であったのかについて、これまでの思考と選択の軌跡から振り返っていく。

写真フォルダを見返す。まず、日田リベルテで書いた書初めから。
「人間修業」(笑)と書かれた半紙の写真がでてきた。
書初めはこれまでの人生でほとんどしたことがなく、日田リベルテというミニシアターのオーナー・原さんに会いに行った際に、待ち時間に書いて見なと言われ突発的に書いたものである。そのため、書き始めるまでにかなり時間がかかった。しかも、習字も不得意なので、かなり緊張した。(なぜなら、映画館の壁一面にこれまでの来場者の書初めが展示されていた。つまりは・・)
修行ではなく修業としたのは、「修業」という言葉に、学術、技芸などを習い、身につけること。という意味があったからである。
つまり、仕事の技術を学ぶことだけでなく、人間としての生きのびるための技芸を身につけたい・・・と思いこの言葉を書初めで書いたのである。
もはや一年の目標というよりは、人生をかけての目標である。そして、案の定映画館に展示されてしまった。しかし、マニフェストととして、よかったのではないかと思う。原さんにも、こういう時間が大切なんだよ、と言っていただき、とても良いことだと思った。

fig.01 日田リベルテでの書初め 2023.01.05

次に、図で書いた目標を見る。これは、日田リベルテで書いた「人間修業」の目標達成のための詳細設定のつもりで書いたものである。
PCで打ってある文字は大学院生だった2022年の目標で、手書きの文字や図が設定した目標の結果と新たな目標設定である。
自分は、建築が好きで、建築をつくりたいという願望は一貫して持っている。であるとすると、通常卒業後は、どこか設計事務所に行き、設計職として働くというのが筋である。設計者は、寸法や素材を決め、新しい空間をつくることを追求する職能であると思う。そこにはかなりの魅力があると思う。ただ、学生で5年間建築を学んだ結果、自分は心からたのしんで設計をすることができないということに気が付いた。コンペや修士設計でも、全然手が動かないし、楽しいという気持ちよりもしんどいという方が大きかった。にもかかわらず、設計で食っていきたいというぼやっとした気持ちで学生時代を過ごした。今思うと、建築をつくっている自分でありたいという自己理想像があり、それで、なんとなく設計・・みたいなことを言っていた。そんなときに、茅葺職人になった方が良いのでは?と当時論文を見てもらっていた教授から問いかけられた。これは、突発的に言われたのではなく、自分が茅葺に惹かれワークショップに赴いたり、茅葺に関する研究をしたいといったことを相談していたからである。たしかに、建築設計よりも、茅葺のWSやリサーチなどは、自発的にすることができた。つまり、設計には愛がなかったが、茅葺に対しては愛を持つことができたのだ。そのことを教授は分かっていたのだと思う。家族や知人には、なかなか理解をしてもらうことは、難しいが、自分と教授の中では、しっくりきていた。もちろんすぐに判断することはできなかった。考えているようでちっとも考えていない時間だけがすぎた。考えているとすれば、収入も将来も、完全に不明瞭なので、生きていくことができるのかどうかという未知の将来へのである。
まあやってみて、無理なら方向性を変えてもいいかなとも思い、入社の決断をして、現在に至る。
話がそれてしまったが、こういう迷いや思考の中で、将来設定をした。茅葺職人といっても、ポジションが異なるだけで、建築をつくるという行為は設計職と同じなので、自分の中の「建築」をつくりたいという目標は叶っているのではないかと思う。しかも、ダイレクトに建築を作るポジションなのだから、これはたのしい。自分は、素材や寸法を決めて建築をつくっていく(計画・設計・監理)よりも、道具と手足頭を使って、計画された建築を実現させる方が良いとわかった。
茅葺職人として建築をつくっていきたいという目標の中で、マトリクス図を作成し、4つのテーマで書き表した。
①建築
まず、建築について。見習いなので、仕事をするための道具作りと素材に触れること。そして職人としての身体づくりをテーマとした。2023年では、新たに家具レベルのものづくり(仕事以外での手仕事の訓練)と茅刈、身体のケアを追記した。
②食
食は大学院時代から重要視していた大切なテーマである。まず、入社前の2022年では、畑を実践し、自らの食べ物を自給することを目標にしていたが、出張が多く、畑は管理もできないので不可能であるということが分かった。しかし、住んでいる家は、大家さんが畑をやっていることもあり、その野菜をいただくことができる環境である。また、出張時は、全員分の食事をつくらなければならない。したがって、料理研究を2023年の目標に設定していた。
③批評/哲学
このテーマもとても大切である。自分の中での建築が茅葺職人というスタンスでつくっていくことができると分かったが、ただ現場で技術を学んで、つくっていくだけではダメであると思う。今の茅場職人見習いという立場は、建築業界の中では、かなりの周縁に位置しており、そこだけでとどまっているのは、幸福にはつながるかもしれないが、牧歌的な生活にとどまってしまう恐れがある。常に建築業界の中心の流れを見ながら、歴史を学び、その中での自分のポジションを確認し、ここぞというときに中心へのカウンターパンチをうたなければならばい。これは大学院時代の師匠からの学びである。そのためには、本を読み、自分の言葉を紡いでいかなければならない。その訓練が必要である。大学院時代の設定では、なんとなくの気になっている人物を箇条書きで表していたが、2023年では、その中から数人絞り、それに加えて新たな目標を設定した。建築家像の模索と建築士試験について。
④表現
自分は学生時代からスケッチを描くようにしている。ほんとセンスがなく、ただ描きたいという気持ちでスケッチを続けてきた。そのスケッチの幅を広げるのに様々な表現手法を模索していた。記録・発信では、スケッチと写真、文章で記録を取りたいという思いがあった。音楽は全くできないが、憧れはずっとある。楽器が小さく、心地よい音がでるハーモニカならば、練習すれば、できるのではないかと思っている。

2022および2023年の目標

去年の目標は、こんな感じだ。次の投稿で、評価をして、今年の目標を設定したいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?