漫画「BEASTERS（ビースターズ）」から感じとれたのは、強者に問われる本当の強さ

鬼滅の刃、呪術廻戦、僕のヒーローアカデミアなどジャンプが生み出す漫画はやはり名作ばかり。でも僕はここ最近一番、心が震えた漫画は週刊少年チャンピオンで連載されていた「BEASTERS（ビースターズ）」だ。

「動物×学園生活」という設定で、この物語は語られる。

全寮制のチェリートン学園でアルパカのテムが何者かに食殺された。
肉食獣と草食獣が共存する世界で、それは最大のタブーであり、超えられない種の壁でもあって…。
ハイイロオオカミのレゴシ（17歳）と多種多様な動物たちが織りなす、激しく切ない青春群像劇!!（板垣巴留「BEASTARS」特設サイトより）

主人公はハイイロオオカミの「レゴシ」。物語はレゴシの友人であるアルパカの「テム」が殺されたところから始まる。

そう。この「動物×学園生活」の中には「肉食獣」と「草食獣」が共に学園生活を送っているのだ。生まれながら定められた「肉食」と「草食」は、この物語でも重要なものとなっており、友人「テム」を殺したのも肉食獣とされている。

多様な種類の動物たちが共に過ごす学園生活の中で・・・

友人テムと同じ演劇部に属していた主人公のレゴシ。そして演劇部の部長のアカシカのルイ先輩、物語のヒロインである園芸部所属のウサギのハルちゃん。その他多くの種族がこの学園で生活をしている。

友人テムを殺した（食べた）のは誰だ。
この学園で生活している肉食獣の誰かか。
自分も同じように本能で肉を欲してしまう時が来てしまうのではないか。
自分が恋心を抱いているハルちゃん（ウサギ）のことを食べてしまうのではないだろうか。

そんな思いを抱きながら、真面目で優しい主人公のレゴシは悩みながらも、成長していく物語。

物語のネタバレにならない程度に、この漫画から感じとれたことを書いていく。いろんな考え方があると思うので、あくまで一読者自身の感想として読んでいただければ嬉しいです。

草食獣を守るために強くなろうとする肉食獣のレゴシと、弱さを隠し部下の肉食獣に守られるルイ先輩

アルパカ（草食獣）である友人のテムが何者かに食殺されたことにより、学園では草食獣の生徒が肉食獣の生徒たちに怯え、両者の間に距離（壁）ができる。

自分たちも食べられてしまうんじゃないか。肉食獣はみんな肉を前にしたら歯止めが止まらなくなり襲ってくるのではないだろうか。生まれながら、草食獣として命を宿したものが、自らを守るためには目の前にいる肉食獣を避けることしかできない。

この物語で草食獣は「弱者」として描かれている。そんな中、ハイイロオオカミのレゴシは、ウサギのハルちゃんとの恋の距離を縮める。また、物語の途中では演劇部部長のルイ先輩が学校を離れ、ある組織の長になる。

ハルちゃんをはじめ、草食獣のみんなを守るのは自分だ。と強くなることを誓う肉食獣のレゴシ。そして、組織の長として、部下のライオンたちに守られる草食のルイ先輩。この対照的な二人の生き方と、その成長を軸にこの物語は終盤まで進んでいく。

自分に自信がなく、肉食獣として生まれてきた自分の本来の力が「友人を食殺してしまうもの」と考え、悩むレゴシ。

対するルイ先輩は演劇部の部長で、人気者。自分は草食獣だが肉食獣なんか恐れまいと、威厳を保とうとしていたわけだが、ある事件で学園を離れ、ライオンの組織の長になるわけだ。なぜライオンの組織の長になったか、ライオンたちは長として認めたのかは漫画を読んでみてもらいたい。

強さとは何か？強者は誰かを守ることで、より強くなる

詳しくは書かないが、この物語の中である肉食獣が「守るものができたことで、これまでよりも自分たちは強くなれた」と言うシーンがある。

強さとは何か？食殺をした犯人の強さ。そしてレゴシやルイ先輩、その他のキャラクターがたどり着く強さとは何か？

このあたりが僕は見所だと考えている。

現実世界における強者と弱者について

この漫画を読む人によって、この「強者」と「弱者」について、現実世界でイメージするものは変わってくる。

男尊女卑、LGBT、貧困・・・。
コロナ感染が日本でも流行し一年。多くの人がコロナで苦しみ、世間では政治家の理解できない行動や言動、そしてどうしても後手後手だと感じてしまうような施策がメディアなどで露呈し、強者とは何だろうと僕は日々考えている。

もがいても、こう生きていくことしかできないという人たちは世の中にたくさんいて、それは甘えているわけでも努力が足りないわけでもないのだ。

そんな人たちが幸せになるためにはどうしたらいいのか？何もできず肉食獣に食殺されろというのか？

今、強者に問われているのは、本当の強さだ。

BEASTERSという漫画を読み、僕はこう感じました。
心を打たれる物語でした。

ぜひみなさんもお時間があれば読んでみてください。

#漫画
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