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「インベスト・イン・キシダ」も「貯蓄から投資へ」も“プライマリー”を前提にすると大きく変わる

金融市場における、「プライマリー」と「セカンダリー」についてはご存じのことと思います。前者は、発行市場、後者は、流通市場と説明されることが多いでしょう。ただここで、”資金循環”の観点から、それぞれを説明してみます。プライマリーでは、資金需要者に投資資金がわたります。セカンダリーでは、資金需要者には投資資金はわたらず、投資家間で資金がやり取りされるだけです。
一般的に株式投資は、セカンダリーの取引です。わたしは、日本で投資や資産運用が議論されるときに、常に株式投資の議論に終始することに疑問を抱いています。なぜなら、それがセカンダリーの取引で、資金需要者に投資資金が回る資金循環に、直接的につながるものではないからです。

ところで先日、岸田総理がイギリスで「インベスト・イン・キシダ」と言って日本への積極投資を呼びかけました。これについて、SNSなどの反応を見ると、どうも否定的な意見が多いように、わたしには見受けられました。たしかに、具体案があまり説明されていない為、政治的意図を含め憶測を呼んだとは思います。しかし、もし海外からの日本への積極投資が、プライマリーで、日本の有望な資金需要に応えるものであり、その結果、経済が活性化するものであれば、本来、前向きに歓迎すべきことなのにと思うのです。

国内で預金に眠る個人資金について、”貯蓄から投資へ”が議論される際にも、是非、プライマリー投資の観点でも考えるべきと思います。