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孤島(ことう)で腹をくくる(切る)


ネグロス島から日本人を観たらこんな風に見える。

僕たちは今、フィリピンのネグロス島から出られない・・。

フィリピンは主要都市(セブ、マニラ)からなら出国できるが、ネグロス島から、セブやマニラへは事実上行けない。離れ孤島だ!

人智を超えたヴィルスがきっかけで、人が自らここを「孤島」にした。

島から出たい人にすれば、孤島に閉じ込められた、となるが、

僕たちは特に今出る予定はなかったので、孤島でも何でもない。

グローバルって言葉に操られて、或いはその言葉を利用して、猫も杓子も海外海外って飛び出て行った人々が、今度は、急に家に閉じこもって動かなくなった。グローバル社会、海外へ出よう!なんていう人はしばらくいないだろう。

確かに、現代は、人と物の流れが地球規模で最大になっていた時。観光で日本を訪れるフィリピン人の数も、留学でフィリピンを訪れる日本人の数も過去最大になっていた。これだけ人々が自由に動ける時代だからこそ、ヴィルスも国を超えて持ち運ばれた。当たり前だ。だから、国を閉じて、人の流れを遮断しよう、国内でも人の流れを止めよう。これも当たり前のことだ。

人はいつも人智を超えた自然の脅威になすすべもなく、力尽き、それでも抗おうと必死で生きようとする。今、鎖国するのは、経済至上主義の大国からすると並大抵の決断ではない。グローバル化という名の経済主義の真逆を行くのだから。フィリピンは鎖国中。(さて、日本は鎖国したでしょうか?)

人智を超えたものって、もうどうしようもない。焦っても泣いても、怒っても。。人の手でコントロールできない。だから、動かず、過ぎるのを待つしかない。人の流れを力で遮断して、ヴィルスをコントロール出来たのかもしれない。でも、出来ていないかもしれない。ネグロス島にいたら、この国(フィリピン)がする決断に従う。黙って動かない。でも、騒いで必死で出ようとする人もいる。せっかく、人間が頑張って自然に立ち向かっているのに、自分の国へ帰ろうとする(全世界の青年海外協力隊もその全員が帰国となった)。確かに、僕が家族と離れ離れだったら、ルールを破って帰ろうとするかもしれない。でも、こんなにも国(人々)が頑張って食い止めようとしている時に、わざわざ移動しなくても、しばらくすれば帰れる。皆、ヴィルスを恐れ、それによって生み出された情報に翻弄され、取り乱している。ヴィルスは目に見えない。目に見えない脅威は不安を掻き立てる。放射能と似ているが、人為的に作ったものかそうでないかが違う。人から人へ(原則)移らない点でも違う。福島の時、僕らは慌てたし翻弄された。日本から逃げてネグロス島へ来た人もいた。今も目に見えないもので苦しんでいる。

今は、もう、黙って待つしかない。覚悟を決めてね。

「海外へ出るということ、はそういうことなんだ。」

僕は先日、このネグロス島で腹を切った。お腹に15センチの生々しい縫い傷がある。盲腸が急に破裂して、病院に運ばれすぐに手術された。人生初の手術は恐ろしく、もうだめかと思った(ホンマに)。フィリピンでは輸血用の血のストックがなかったり、設備も日本ほどではないので、いざという時は覚悟が必要だが、今回は、運良くネグロスの医者に命を救ってもらった。感謝している。でも、入院した翌日に搬送されてきた別の患者が例のヴィルス陽性だと、後で知らされた(その方がネグロス東で唯一の患者です)。もう2週間が経った。人の命は偶然でつながっている。焦っても急いでも、怒っても、こんな脅威とのニアミスが起きる。でも僕にとっては、盲腸の手術が上手くいくかの方が、致命的でした。海外へ出るということ、はそういうことなんだ。

一年前に娘をネグロス島で産むか?という決断を嫁さんとした時も、それは迷った。日本に比べて医療がやはり劣るし、何より、嫁さんの不安が大きかった。病院ではなく産院で産む決断をしたので、下見に行くと、使い古されたお産台を見て、気持ちが折れそうになった。。でも、覚悟を決めた。海外へ出るということ、はそういうことだった。

インドでNGOの仕事をしていた時も、(これは人為的なものだったが)人身取引のスキャンダルの煽りを食って、外国人だと目をつけられ、命からがら日本へ逃げ帰った。何年もかけて現地の子どもたちを保護するためにやってきたことが、一夜にして破壊された。今も、現地の友人は投獄されたまま。こんな人為的なリスクがあるなら、止めようと思った。でも、ここで止めたら子どもたちに未来はないと、気力を振り絞って、仲間とインドに戻った。海外へ出るということ、はそういうことなんだ。ここネグロス島でも村の人と仕事をしている。今、止めてしまったらダメなんだ。

僕は今、このネグロス島から叫びたい。

海外へ出るなら覚悟を決めてくれ。覚悟がないなら始めから来なければいい。

自分のために海外へ出る人も、人のために海外へ出る人も、海外へ出るからには、目の前の人々との繋がりができる。迷惑もかけるし、役に立つこともある。経済へも影響するし、文化を変えたりもする。それが、(経済主義ではない)グローバルというものです。

時代の流れに乗って、ちょこっと行って、都合が悪くなったら「さようなら」なんていうグローバルは欺瞞ですよ。

ネグロスは、今日もいつもと変わらず、波の音、満天の星が輝いています。皆さんとまた、ここで語らえる日まで待っております。

*現在、ネグロス島東州では感染者1名(3/24) →数字で測るの止めにしたいなあ。。


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