末寺の末事 175
…と、そんなふうに外界を眺めると、自分にきっちり跳ね返ってくる。まるで鏡だ。
そういう風に見られているだろうな、という心に支配され、この世から悉く尊敬がデリートされていく。人間、生命体、物質、諸々すべてが確かにそこにある。だけど透けて見えるほど色褪せて往く。不気味な軽さが心に重々しく、「どっちにしろお前なんて、いてもいなくても同じ」と言って手を打つ。どこか納得する。
なるほどな、僕の躓きの根元は、この辺りに違いない。心のどこを探してみても、解らないのです。見当たらない。いつの間にかどこかに落としてしまったのでしょう。最初から無いのとは違う、ポッカリと空間になってはいるが、その部分が入るスペースは有る。肝心の中身がただ無い。
一生懸命考えて、尊いとは何、敬うとはどういうことか、答えを探しましたが、結局僕の中にはありません。僕にあったのは逆説的な理解だけでした。
to be continued
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