末寺の末事 71
受けた借りは返さねばならない。しかし、受けた恩は返すことができない。何故なら、借りは担保があって成立するのに対して、恩は無償であるから。相対と絶対の違いがある。
そういう意味で、借りは基本的に債務者が債権者に返すが、恩は概ね受けた者に返せない。というか、そもそも恩は返すものではなくて、報いるという返済方法になるらしい。
例えば、恩を数値化することは難しい。借りは数値化できるし、何なら利息もついたりする。恩を回数でカウントしたり、質量で計ってみることは無意味だ。どこからが始まりで、どこまでが恩なのか、わからない。だから、返す方法も容量も皆目見当がつかない。
恩は返すのではなくて、報いるしかない。そしてそれは、報い「続け」るということでもある。つまり、受けた恩に見合う人間になる。ということ。その一生涯を終えた時に初めて、報い「た」。と呼べるのだろう。
難しい…。
to be continued