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川島 太一
2022年7月5日 17:51
「彼女は僕を選ぶに決まっている。なんといっても僕は一番だし」Aが言う。「何を言ってる、選ばれるのは俺様だ。お前はずっと残ってろ」Bが言い返す。 まあまあ、とQが間に入る。「彼女がだれを選ぶかはまだ分からないでしょ。静かに待ちましょう」 AとBは「ふんっ」と互いにそっぽを向いた。それを見て、ふんぞり返ったKが笑いながら言う。「そなたらが仲違いをしようと、結局はわしになるだろうよ」 緊迫し
2021年11月27日 16:35
「実は、他に好きな娘(こ)ができた。だから別れてほしい」 最近、彼の態度がよそよそしい気はしていた。けれど、試験勉強や就職活動、バイトが忙しいのだろうと何も言わなかった。いや、正直なところ、嫌な雰囲気は前々から察していた。ただ、自分の中の悪い予感を的中させたくなくて敢えて聞かなかったのだ。「本当にごめん」 彼が二人分のコーヒー代を置いて席を立つ。私はその間何も言えずにただ俯いていた。 独り