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僕が愛した3匹の犬

僕が犬と一緒に暮らすのは、今のtaiinアイコンのヒナ(雌の柴犬)で3回目です。

1回目はロン(雄の柴犬)。
僕はその犬をロンと呼んでいたけれど、誰がつけた名前かわかりません。
生まれ故郷の徳島で、ずっと一緒でした。
僕は廃屋に住む一人っ子だったので、小学生から、部活をしてた中学生、高校生まで友達はロンだけでした。

ロンは僕が学校から帰るのを待ってくれていて、帰ってくる僕を見つけると、しっぽをちぎれるくらい振って喜んでくれました。
ポケットに入れて持って帰った給食のパンがほしかっただけなのかな。
小学生の時、ロンを巻き添えに、家出をしたこともあったっけ。
翌朝には家に帰って、何事もなかったような顔してたけど。

ロンとのお別れは、僕が徳島を離れたあと。
正月には帰ってくるからと約束しましたが、帰ることはなく、1年ほどたった冬の寒い朝に旅立ちました。享年14歳

2回目はロッシ(雄のジャックラッセルテリア)。
家族に娘ができたころ、愛知から飛行機に乗ってやってきました。
暗くなった広島空港の屋上で、ロッシが乗ったANAのジャンボが降りてくるのを家族3人で見たことを、いまでもはっきりと覚えています。

僕がバイクレースが好きだったので、The Doctor 46 Valentino Rossiの名前をもらいました。

ロッシは小型犬の中に運動能力の優れた大型犬が入ってるような猟犬で、家族3人とも手をマジ噛みされて、中山整形外科のお世話になりました。
僕が最後の3人めだったので、先生から「ファミリーでコンプリートされましたね、こんなに可愛らしい犬に」とお祝いの言葉をいただきました。
ありがとうございました。

ロッシはコーナーソファーを20分でバラバラにできます。
ランニングの10キロ走も楽勝で付き合ってもらえます。
川を見たら速攻ダイブしますし、もう、むちゃくちゃ元気な犬でした。
電車や雷の音、地震がこわいくせに、散歩で出会う犬すべてを威嚇し、吠えまくったよね。

そんなロッシとのお別れは、寒さが残る春の初め。
東京にいる娘に、そろそろかもしれないから帰ってきてほしいと連絡をいれました。
ロッシは夜が明ける前、娘に抱かれたまま旅立ちました。
桜の花が咲きはじめていました。享年15歳

3回目はtaiinアイコンのヒナ(雌の柴犬)。
ロッシがいなくなって、しばらくはペットショップに入れなかったのですが、たまたま入ったショップで、飼い主が見つからないまま大きくなってしまった柴犬を、せまくなったケージの中に見つけました。

そろそろ店が閉まるという時間でしたが、その犬のあまりにも元気がない姿と、下げ続けられた価格の札に、なんともいえない気持ちになり、その日に連れ帰りました。翌日の朝、ママのiPhoneと僕のメガネが破壊されていたので、やればできるじゃん、ってうれしくなりました。
普段はそんなこといわないママが、どうしても連れて帰ると聞かなかったので、名前はママにつけてもらいました。

ヒナはとっても美人さんで、ロッシとは正反対の性格。
散歩中、ほかのワンちゃんには興味がなさそうですが、家族以外の人にはしっぽを振り、スキップしながらよっていきます。
怖いものはほぼありませんし、行きたくない方向には頑として行きません。そのふんばる力を前進する力に変えてもらません?ってお願いしてもそっぽを向くだけ。
今6歳ですが、ボール遊びもおやつがないとやらなくなり、もっぱら自分のサークルの中でうとうとしてます。だいじょうぶかな。

あと、のだめちゃんが弾く、ショパンのピアノなんちゃらという曲に反応して、本当に立派な長い遠吠えを繰り返します。
柴犬は世界中の犬の中で一番濃くオオカミの遺伝子を受け継いでいるらしいのですが、ヒナがなぜこの曲だけ歌うのかわかりません。
救急車のピーポーには無反応です。
1日、朝と晩に散歩につれて行ってもらってます。

僕は犬の目を見つめていると、とっても不思議な感覚になるんです。
この子たちは何もかもわかっているんだと。
ごはんが欲しいだけじゃないんだと。

飼い主が、うちの子は甘えん坊で、さみしがり屋なんです、とか言ってるのは、犬じゃなくて飼い主さんが思っているだけでしょうという話ではなく。

アインシュタインやホーキングが宇宙のことを難解な数式で表現していますが、この式を僕は理解できません。なので宇宙にはてがあるとかないとか、時空がゆがんでいるとかいないとか、光の速度で何億年彼方にとかいわれても想像できないんです。見たんかい、てなもんで。

僕が想像できるのは、インターステラー、君の名は、テネットくらいが限界。
だって僕たちの気持ちが、心が何のためにどうしてあるのか、どこにあるのかさえ科学は証明できてないんだもん。


どうしてだろ、それでも犬はすべてを知っていると思えるんです。
どうして僕が生まれて、死んでいくのかを
どうして宇宙が生まれて、消えていくのかを
この世界に、この世界なんてないことを
君は全部知っている。ような気がする。

もうひとつ、わかっていることがあります。
それは、僕と生きてくれた犬たちが、僕が死んだときに、虹の袂(たもと)で待っていてくれること。
約束しましたから。


みんなありがとね、また遊んでください。