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ギアはパーキングに
寒さも一段と厳しくなり、手がカサカサし始めた。これだから乾燥肌はつらいな。カレンダーを眺めれば、いつの間にか12月になっていた。そりゃ寒いわけだ。先週、めんどくさがりながらも、布団をコインランドリーで洗い、こたつを出したのは正解だった。Good Job先週の自分。
なぜだろうか、12月は気持ちが忙しなくなる。
暦の終わりをなぞらえるように、人の生活も、気持ちも忙しなくなる。けじめを感じて掃除を始めたり、大切な人に「ありがとうございました」と伝えたくなったりする。なんだか不思議な生き物だなと、そういうことを考えながら、朝の駅まで歩いたのは今週の水曜日。そして、今日は日曜日。やっぱり師走は、時間が忙しなく通り過ぎていく。
昨日、久しぶりに体がだるいなと感じた。1週間ぶりに、クリーニングに預けていたスーツを取りに行ったら、道すがらスマホを落としていた。それをイヤホンからの音楽が途切れ始めたことで気が付いた。半分寝ながら歩いていた。おかしいなと思っていたら、熱があった。昼寝と夜の早寝のダブルコンボで10時間近く寝た気がする。おかげで、今は元気回復だ。あまりにも寝すぎたものだから、7時には目が覚め、今はカフェの窓際で過ごしている。
多分疲れていたんだろうな。
長崎旅行へ行き、東京出張で発表を行い、帰ってきてからも月末の締め作業で、あたふたしたり。昨日、寝ながら気づいたが、1日中、家で何もせずに過ごしたのは久しぶりだった。最近、関わった人々がとても頑張っているから、自分よりよく働くものだから、「こんなんじゃ疲れたとか言えないな」って感じていた。だから、アクセルは緩めても、止めたくなかった。そしたら熱が出た。
最近、仲良くしている先輩と久しぶりに話す機会があった。その先輩は「先週までロサンゼルスに出張に行っていて、時差ボケがすごい笑」と言っていた。相変わらず、忙しそうだった。それでも、笑顔を絶やさないエネルギッシュで素敵な方だ。だから思わず聞いていた、
「疲れた時とかどうやって、ケアしてるんですか?」
そしたら、
「落ちるときは、落ちるところまで落ちる」と言っていた。
僕から見て、素敵な人とか、かっこいいなと思っている人とか、ずっと走り続けているように見えていた。でも、そんな人でも当たり前にアクセルから足を離している。ギアはパーキングに入れて、サイドブレーキまでかけて、「今日は一歩も動かないぞ」と決め込んでいる1日がある。
「落ちるところまで、落ちる」その言葉は、ふと見聞きすれば「陰」のフレーズのように聞こえる。でも、人の感情の「陰」と「陽」は二項対立構造ではなくて、混ざり合った、グラデーションのようなものなのかもしれない。対極ではなく、隣り合って存在するものだからこそ、互いに認め合って、補完しあって、ちょっとずつ前に進むものなのか。器用に生きていればとっくに分かってそうなことに、改めて気が付いた気がする。
師走の寒さと、忙しなさをビシビシと感じる空気。それに飲み込まれないように、今日は立ち止まろう。窓際から流れ続ける車は一行に止まる気配はないけど、そんなことは関係ない。アクセルから足を離し、ギアはパーキングに入れてしまった。
さて、なにをしようか。