オシャレ迷子

私の人生の半分は、毛量の多さハリコシの良さをいい事に散々髪の毛をいじめにいじめてきた。

街に出ると、昔と比べると当たり前にカラーリングしている人をたくさん見かける。
皆カラフルで本当に綺麗だ。一昔前より技術があがったようで気軽にカラーを楽しめるようになったのだね。

昔話をしちゃうと、突き抜けた年配のマダム(紫)か不良(金髪)かダンプ松本かブル中野がやるものだったカラーリングは素人と玄人では誰が見てもわかるほどだった。(あくまでも個人の意見です)
街には茶色に染めた髪がオレンジっぽくなって伸びた『プリン状態』の若者が蔓延っていた。ガングロギャルが流行る前だっただろうか。
ばあちゃんからは「お前はやるなよ、恥ずかしいから」などと釘を刺されていた。

ギャルと裏原系

世の中がガングロギャルが旋風を巻き起こしたころ、私は裏原系を気どっていた。行きつけの店でも美容師さんからカラーリングを勧められることが増え、夏休み前には私もロリータ18号のエナゾウのようにオシャレにしたい!と欲求がわいてきていた。ギャル系の友達は夏休みにはいるなりさっそくメッシュを入れたようで羨ましく、頭皮が痛かったけど耐えた、頑張ったなとど聞くとますます染めたくなっていた。

信頼のある店だから、間違いなく失敗しない。あとは似合うかの問題だ。
ある日、たまり場のココナッツ臭いギャルんちで相談をすることにした。
金髪は顔が小さくないとダメだよ、とギャルが言った。金髪はあゆしかやっちゃダメ。と…エナゾウも金髪だから、と言ったけどダメと言われた(多分私が目立つのが気に入らないのだろう)

んじゃ、NOFXのファット・マイクが緑をやっているから緑にしようかな?と言うと
「なんでファット・マイクが緑だからってあんたも緑なんだよ。そんなに好きなの?」と乱暴な正論を言われた。くそう!NOFXは好きだが、ファット・マイクは好きかと聞かれたらそんなにだった。

ギャルがZipperやCUTiEをパラパラとめくって、「うーん。まぁ、無難に茶色か?」
ギャル以外は人間ではない。くらいに言うアホなギャル友達は、アドバイスまでは熱心でないらしい。裏原系を何故か敵視し、ギャルに進まなかった私をまだ許してくれていない。
裏原系の私と歩いているとナンパされにくいらしく一緒に歩くのを嫌がるのだ。
違う、違うね。あんたがゴリラみたいだからナンパされにくいんだもんね!と言うと、泣いちゃいそうだから言わなかった。

似合う髪色はやはりプロに聞くのがいい。という結論になり、私もカラーデビューと意気込み美容院に行った。
そうだ、カリスマ美容師が流行る頃。

美容師さんに聞いてみると、瞳の色に合わせると馴染んでいいかも。とのこと。
うん…こげ茶色か…つまんないなぁ。
裏原系のサイバー系がやっているペンキをひっくり返したような色がやりたかったなぁ。と、デビューには無難のブラウンにすると。

私「あ♡」

美容師「肌が白いから、この茶色も明るく見えますね、いいね」

フホホ♡ハッピー。
上がる上がるぶち上がる。

脱色じゃないから痛くなかったけど、まあ時間がかかった。
その日街に繰り出したいほどだったけどもう夕方だ。またギャルんちに行き感想を聞いた。
「くれぇ(暗い)じゃんなーにそーれー。」
と言われたが、もう夜だし!あなたのこの部屋ブラックライトだし!

母親のハイヒールを初めて履いた時以来の、新しい私みーっけ♪な感覚が嬉しかった。


モリマンと呼ばないで

時は流れ高校三年の二学期早々、一時的に黒にできるスプレーで頭髪検査パスするギャルと比べて私はカッパーカラー(赤毛)で堂々の正門登場。

失恋を機に急に荒れだした私は、パーマにくわえて、真っ赤に染めた私をみた担任が号泣。
「あんた、夏休みになにがあったのぉー。」

「失恋だお。可愛いでしょ?」

生活指導の先生に見つかる前にダッシュで教室に入った。
校内放送ですぐに先生に呼び出され、指導室で強制的に真っ黒に染められた私は正真正銘の立派なはみ出しものになったのだ。
パーマをしてブリーチするともう髪は輪ゴムのようにびよんびよんと伸びるようになっていた。
もちろん、あの怖い生活指導の先生が。
「髪の毛ひでぇな?坊主にしろ、坊主。またやったらお前坊主な。」

私「嫌ですぅ。」

一年の時よりだいぶあの怖い先生にもへっちゃらになってしまっていた。
赤髪で登校した私は少しの間校内のギャルやギャル男たちに声をかけられチヤホヤされた。

それからすぐ髪に限界を感じ、美容室のオーナーが懲りずに勧めるツーブロックにした。
あまりしっくりこず飽きると坊主にしてみた。

そこへさらにブリーチしてピンクに染め登校すると、だいぶやばいやつという印象がついてしまった。
モンゴルと言われるようになった。

白い肌にピンクの坊主でなぜモンゴルなのだ!

ギャルの友達は「学校で話しかけないで(笑)」と言ってきた。全然話しかけたけどね!

原宿ファッションに身を包めばオシャレになるのに…ライブハウスでもかなり気合が入っているアピールができるのに。
ピンク坊主で制服を着るとかなり面白くなってしまったことに憤っていた。
髪が伸びるシャンプーを「どうせ切るのに」と思いつつ一生懸命使った。

また指導室に呼ばれ黒い坊主になると、モリマンと呼ばれた。

「モリマンはやめて、モリマンだけは嫌…」
テレビにホルスタイン・モリ夫が坊主で登場した次の日だったらしい。

なんだったんだろう、あの時期は。
すごくお金と労力を無駄にした。

しかし、かなりいい年になった今でも、いつでも坊主にしたい欲求を持ち合わせている。
咎める人がいないのにしないのは大人になった証ということなのかしら?

スピンオフ的なnoteも書きました。「彼氏がいても坊主の暴挙

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大変さん
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