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映画『ミッシング』を観た

★ストーリー
行方知れずとなった娘の捜索を続ける夫婦が、世間の非情さと無関心さに焦燥する物語。

★女優
石原さとみ
▷イメージ打破をチームで取り組んだ力作。
石原さとみが、吉田監督作品への出演を切望して実現した作品だそうだ。
石原さとみの覚悟はヒシヒシと感じた。この役に取組む過程の厳しさが表れていたのは間違いない。
でも、力が有り余りすぎて、前半は怒りが強くて、他との温度差がすごかった。娘の居なくなった悲しみが見えなくなるほどだった。
とは言っても、怒りの矛先が向かうべきところへ向けたときの怒りは、内面の憤りがこみ上げてくるのが見えるようで素晴らしかった。そして、ラストシーンの石原さとみの行動に、観衆は救われる。
石原さとみにとって、新境地を拓いたのは間違いない。

★長澤まさみ研究
▷軽やかに化けた長澤まさみの凄さを改めて感じた。
石原さとみの新境地は、演技だけではなく、言葉としてもストイックさが伝えられている。力技で挑んだ。だが、長澤まさみは、そこを感じさせない。いつの間にか、今の長澤まさみになっていた。真田丸か、キンチョーか、キャバレーか…目に見えながら成長したのではなく、瞬時で化けた感じだ。
そしてマザーにしてダー子にしても、本人は血反吐出るくらいの取り組みをしているのかもしれないが、演技からもインタビューなどの言葉からも、あまり苦悩の部分を感じさせない。
野球に例えるなら、ストイックさも表現したイチロー型ではなく、楽しさを表現する大谷翔平タイプだ。と考えると、ある時期で化けたのは間違いないが、本来が怪物、天才だったのかもしれない。そこに加えて、育ちの良さもある。

★パンフレット
▷脚本付きの豪華版!ドキュメントの読み応え。
このパンフレットは良い。まずは脚本が付いているのが、読む読まないは別にしても嬉しい。
それだけではなく、従来のプロダクションノート的なものを、監督と石原さとみのドキュメントとして描いているのもいい。これは僕にとっても参考になった。そして、吉田監督のワークショップの模様簡単ではあるが説明されていて、そこからも多数の出演者がいる。これは映画の世界を志す人には、とても勉強になるパンフレットだと思う。ワークショップからの出演者からは、僕よりも年配の人もいて、「俺もまだ間に合うか⁉︎」と一瞬血迷ったもん。1200円の値打ちあり。

★まとめ
▷意外な夫婦への光明。何に救われたのか。
先に書いた〝温度差〟が、前半少し没入しきれないところもあるけれど、中村倫也のテレビ記者が、うまく中和させながら、バランスを整えていったように思う。パンフレットにも書かれているが、石原さとみの怒りの熱量と、劇中の台詞にもある「温度差」は、この映画の玉石混淆でもある。

石原さとみと青木崇高が演じる夫婦が救われる場面は、この映画がただのサスペンスやヒューマンドラマではなくて、人間の美しさ、気高さを感じさせてくれた。

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