映画『ファーストキス』を観た

★ストーリー
離婚を決意した夫婦に訪れる悲劇と奇跡の物語。

★推し場面
▷松たか子VS吉岡里帆
松たか子と吉岡里帆は、役者として似ているのではないか、と思っていた。
吉岡里帆は、触れたものなら何にでも姿を変えてしまうような妖怪女優だ。今、トップクラスの演技達者だろう。
松たか子も昔から、妖怪とは少し異なるが、そういう雰囲気のある女優だと見ていた。
そのふたりの共演。どんな役で、どんな場面で顔合わせするのか、この映画の一番の見どころであった。対決に相応しいシチュエーションでのガチンコ芝居だったが、まったく予想外というか、これほどまでに凄いのか、と感心を通り越して、呆れるほどだった。

★女優
松たか子
▷真綿100キロの演技
軽いのに重い。
僕の松たか子への印象だ。
他の女優と比較して圧倒的に違うのは〝品〟。その品の良さが、どんな役をしても真綿のような柔らかさはうしなわれることはなく、しかし、時に驚くほどの重みを醸す。
今回の役も、まさしく真綿100キロの松たか子の真骨頂だった。
吉岡里帆との直接対決は、まったく寄せつけることのない松たか子の凄さだけが目立った。吉岡里帆の妖術が、松たか子の真綿には太刀打ち出来ない、というよりも吸い込まれたようだった。
松たか子はすげぇ女優だと再認識した。


★長澤まさみ研究
▷松たか子が品なら、長澤は度量。
松たか子との共演は『マスカレードホテル』。今思えば、キムタクの太陽と、松たか子の真綿100キロに挟まれている。そのなかで主演としての存在感は示しながら、キムタクを引き立てる奥ゆかしさを維持しつつ、真綿の松たか子の重さと軽さに惑わされるとこがない。相当な技量、というより度量の大きさの成せる技だ。
今回の松たか子を観て、マスカレードホテルを思い返したとき、長澤まさみの凄みを改めて知った。

★パンフレット
読み応えのあるパンフレット。特に岡室美奈子さんのコラムは、長澤まさみ研究をする上では、とても参考になった。

★まとめ
▷松たか子を観た
松村北斗という役者をあまり知らないが、いい芝居するなぁ。年齢のギャップも感じさせないし、愛憎の細かな変化も見事に演じていた。

内容も素晴らしいし、台詞もユーモアも含まれていて、とても心地よい時間が過ぎていく。素敵な映画であることは間違いない。

でも、この映画は松たか子を観た、こそが最高の感想だと思う。