映画『まる』を観た。
★ストーリー
売れない絵描きが「◯」を書いて骨董屋に売ったことで起こる日常の中の騒乱。
★女優
小林聡美
怪しげな美術商を演じるが、ちゃんと怪しくて、美しいとは言えなくても妖艶で、なおかつ、存在が面白い。自分の世界観があって、それを役の邪魔にならないように魅せる、さすがです。
吉岡里帆
吉岡里帆は上手いとか可愛いという以上に、僕は妖怪的な要素を持つ女優だと思っている。
この役もけったいな役なんだけど、めっちゃ自然だし、吉岡里帆が出てるという前知識はなく、ちょっと微妙な風貌ではあるのに、吉岡里帆って分かってしまう。
何だか触れた物に何でも姿形を変えてしまえるような、そんな役者だと思っている。何が何でも吉岡里帆の作品を見てるわけではないけど、吉岡里帆は何を見るにしても楽しいし、飽きがこない。ええ女優よなぁ。
★長澤まさみ研究
この映画の主要キャストの小林聡美も吉岡里帆も綾野剛も、何にでも化けることの出来る妖怪のような俳優揃いで、長澤まさみの何でも出来るとは、少し異なる。
では何が違うのか。やはり長澤まさみは恒星の宿命で、光を消すことは出来ない。しかし、この何にでも変身してしまう俳優たちには、光の存在しない闇を作ることが出来る。恒星が闇を作るには消滅しかなく、影を作るほかない。
★パンフレット
正方形の珍しい形。ほぼ全ページが◯でレイアウトされている。読みやすいことは読みやすい。
主演の堂本剛がアーティストということもあるのか、まだ全部は読めてないけど、全体的にストイックな構成になっている。読み応えはある。
★まとめ
近年、伏線回収が流行りで、何なら必須くらいの映画やドラマが多いなか、まったくお構いなし。ま、現実的にはそんなもんだわな。記憶の片隅にあるだけで、答え合わせなんかいちいちしないもんね。
綾野剛は、ホンマにすごい。今一番好きな男の俳優かも。この人も吉岡里帆と同じ妖怪的な感じがある。演技的には、相当ストイックな感じはあるが、触れたものには、何でも化けれる、何か涼やかさ、演技に冷感がある。
とはいえ、堂本剛だ。二十数年ぶりの映画主演らしいけど、力の抜けた、良い芝居するんやなぁ。ここまで元ジャニで、まして国民的スタークラスのアイドルが、ここまで素朴な感じを出せるのは圧巻だ。
どこがとか、何がとかを説明は出来ないけど、全体のトーンが良い映画だった。