映画『シビルウォー』を観た
★ストーリー
ゾンビのいない〝ウォーキングデッド〟。戦場ロードムービー。
★女優
キルステンダンスト
どっかで見たことあんなぁ、とずっと気になっていたが、終わってパンフレット見てびっくり。あー、スパイダーマンのヒロインか⁉︎
いやぁ、上手いなぁ。
息、呼吸の芝居が素晴らしい。すごい緊迫感で観ている側をも不安にさせる。
昔、〝新島八重〟を創作したとき、ほぼ呼吸だけで創ったことがあるが、あのときに、この芝居を見ていれば、いたずら電話のような吐息だけではなく、胸や肩で表現出来ていたなぁ。
ケイリースピーニー
ほぼ初見の女優だけど、初登場場面から目を引いた。これは、ええ女優出てきたぞ!と見入っていたけど、パンフレット見てガッカリ…いや、もう花開いとるやん。ってか、ちょっと前に大輪咲かせたばっかりか。僕は見てないけど、現在公開中の〝エイリアン〟で主演に抜擢されている。
中盤まではキルステンより、圧倒的に目立っていた。場面が緊迫すればするほど、キルステンの芝居に気圧されていた感はあるが、それでも互角に渡り合っていた。それもそのはず、キルステンこそが、このケイリースピーニーを世に送り出した人だそうで、劇中と同じ師弟の間柄だそうだ。
初登場場面の印象で言うと、恒星だけど、光度に深みがある。上手くいけば、ジョディフォスターのような道を歩めるのではないだろうか。
★長澤まさみ研究
長澤まさみも呼吸の芝居は上手い。ただ、それをこれまでは、怒りや恐れといった感情表現の一つとして見てきていた。だがキルステンは、その呼吸による胸や肩での芝居を独立させて見せてくれた。治めよう、落ち着かせようという心の動きまでを、小さな動きに加えた。また芝居の見方に新たな要素が出来た。長澤まさみの鼻腔の芝居を発見したときのような感動があった。
★パンフレット
王道パンフレットだけど、キャストインタビューがないのは残念だったけど、映画自体の設定が興味深く、その分、読み応えもあった。1000円はちょい高め。
★まとめ
最後の人間模様は衝撃的だった。
守るものが出来た者の強さが、結末としては裏目に出たのだが、そこに人間の高潔さを感じとれた。
この守られた者もきっと、いつしか守る側の人間となり、自己犠牲を払える人となる。
それにしても、キルステンの呼吸だけではなく、銃声、砲音、ヘリの音、どれも間近で聞いたことはないけど、まるで現物を聞いているかのような迫力というか、間近で鳴っているかのような怖さがあった。
内戦と国対国の戦争とは違うのかもしれないけれど、ウクライナの国民生活をテレビで見ていると、今の戦争は非日常で行われることではなく、日常のなかで起きるもののように感じる。その点、この映画の内戦は、まだ非日常の雰囲気で創られていた。