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映画『アングリースクワッド』を観た
★ストーリー
詐欺による復讐劇。
★推し場面
▷内野聖陽の阿修羅の演技がチョー抜!
真面目な公務員を演じる内野聖陽だが、正直、体が立派でシルエットにひ弱さがない。例えば高橋克典の只野仁はそれで良かったが、この内野聖陽は、そんなスーパーマンではないだけに、ちょっと役とは不釣り合いだったかな。
ただ演技は凄い。
脱税王に部下のことで嘆願に訪れてから、そこを出ていくまでの内野聖陽の表情の変化は、中国の変面か、阿修羅像のようだった。この場面はスクリーンで観るべきだ。
★女優
森川葵
『天外者』のヒロイン。
杉咲花や福本莉子と同じ、目に光のある女優。ただバラエティなんかを見ていると、とても器用なようで憑依型という感じではなさそう。この役では、あまり目を光らせなかったが、良家の令嬢の場面では、冷たい炎のような目の光を作ってみせた。
★長澤まさみ研究
▷深みある目の演技の正体
長澤まさみは恒星だから、目が光っているのかどうかは分からない。ただ澱ませたり、濁らせたり、無にすることで、深みを作る。
なぜ、そんなことが出来るようになったのだろうか。
今さらだが、『世界の中心で、愛をさけぶ』のときに、すでに深みはみせていた。その深みをより深く掘ることはしなかった。
競馬に例えれば、6月の新馬で圧勝した馬を、秋まで使わないのと同じだ。走るのは分かっているから、無理に使う必要がない。
長澤まさみは光源を磨き、かざす位置を高くするために、大事に大事にキャリアを重ねてきた。だからこそ、自らの光度の強さが、強い影を作り、本来の深みにより、奥行きを見せるのだろう。
★パンフレット
B5横組。好きではない横組だけど、小さい分、読みやすい。インタビューも充実しているし、いいパンフレット。
ちなみに森川葵のプロフィールに『天外者』はなかった。
★まとめ
面白かった。
岡田将生も最近ハマってる役者だし、実は昔、三浦春馬とよく間違えた俳優でもある。
春馬くんのような哀愁は薄いが、岡田にはオンオフの切替が巧みで、多様な役柄をこなし、観ているものを没入させてる技がある。
映画自体は、詐欺映画やから、どうしても〝アレ〟と比べちゃう。
この映画は〝復讐物〟で硬派さがあるが、アレは悪事を働いた者たちへの成敗として詐欺を仕掛ける。同じ詐欺でも、アングリースクワッドの詐欺師たちは利己的で、ま、本来詐欺師はそんなもんだろうけど、アレの詐欺師は利他的であるからこそ、溜飲が下がるのだ。
もう一つ、伏線回収でも、アングリースクワッドは仕掛けは大きいが、回収な手間がうすい。その点、アレは仕掛けと回収のバランスが良く、伏線回収の快感度が強い。
アレと比較しなければ、オモロい映画やったし、観る価値は十分ある。
ま、改めてアレ(コンフィデンスマンJP)の素晴らしさがわかった。