映画『室井慎次〜敗れざる者』を観た
★ストーリー〝室井慎次の今〟
踊るの室井慎次が、警視庁を辞めて、故郷の秋田で里親をしながら穏やかに過ごしていたが、死体の第一発見者となり、謎の少女も現れて、にわかに騒々しくなってくる。
★女優〝目の光〟
福本莉子
長澤まさみと同じ〝東宝シンデレラオーディション〟グランプリの受賞者。どこかでよく見る顔やな、と思ったら、TOHOシネマズでナビゲーションやってる子やね。
ふとした横顔なんかは長澤まさみに似てるときもあるけどね。
この役にはハマってるけど、ちょっと目が光すぎる気がしないでもない。
この役は難役だろうけど、長澤まさみや浜辺美波にはなかった路線の配役。相当な役者としての資質を見込まれているのだろう。
★長澤まさみ研究〝狂気の違い〟
長澤まさみが演じた狂気は、『マザー』くらいしかない。
ある意味、共依存を演じた『ラストフレンズ』も、狂気を担った役だったが、演技には現れない部分でもあった。
ただ、今思えば、あの役を「可愛い」「可哀想」「助けてあげて」と思わせていたのだから、共依存の被害者側の狂気は表現出来ていた。
長澤まさみに、福本莉子の目の光はない。狂気を演じるとしても、先天的な狂気と後天的な狂気があって、長澤まさみが演じるのなら、後天的な狂気になりそう。ちなみに後天的な狂気とは、人生の悔恨や憎悪などで狂っていくと考えている。
★パンフレット〝柳葉敏郎の覚悟〟
踊るシリーズも簡単に振り返れるし、踊るファンとしては文句のない一冊だ。
柳葉敏郎のインタビューは必読。室井慎次という役へのリスペクト、愛情はもちろん、嫉妬のようなものも吐露した深みのある言葉が並んでいた。
★まとめ〝スクリーンに映える〟
面白かった。
踊るとは全くトーンの違った作品だけども、室井慎次という親しみのあるキャラクターの今は、とても興味深い。
映画的にも秋田の大自然は実に壮観で、スクリーンで観る価値を高めてくれた。そのスクリーンに対して、内心では少々、柳葉敏郎の主演では力負けするのではと想像していたけど、恐れ入りました。室井慎次の深みと重厚さは、スクリーンに向いていた。
実に子役が見事で、その3人と柳葉敏郎の作る空気と大自然の映像は、〝遥かなる山の呼び声〟や〝北の国〟からに通じるものを感じた。
とにかく次が大いに楽しみになった。