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今こそジェットセッターに

以前の記事で少しだけ触れた、かつて高城剛氏がいっていた『アイディアは移動距離に比例する』という話。

良いアイディアは移動して、新しいものや異なるものを見ることで産まれる。アイディア(の質、量)は移動距離に比例する、という話なのですが、かつて高城氏がこの話をし始めた時、10〜15年少し前くらいだったけど、世の中はそれこそノートPCが普及し、スマホが出始め、回線は3G、少しすると4Gになり、いよいよモバイルワークが本格化し始める前夜くらいの頃でした。

▼高城氏の書籍

僕自身はその時代色々な場所に客先常駐していたチームメンバーと打ち合わせるための外出や、中国の会社の立ち上げということをしていた時期でしたので移動が多く、この話は割と実感値を持ってそうかもと思っていました。

移動時間そのものが内省するタイミングにもなるし、移動先の様々な物事に触れることでのインプットもあるし、実体験もある。そして次の移動先で移動前に触れた情報をすぐに使ってみることなどもあった。

そして特に海外に行った時によく感じてたのが、お、この人日本だとこの人みたいな感じの人だな、と日本にいる知り合いに重ねて、パラレルワールド的な感覚にもよくなっていて、そこでその知り合いには普段話さないようなことをぶつけてみて、違う世界のシミュレーションみたいなことをしたりで、普段よりもインスピレーションが湧くな、と思える経験がいくつかありました。

旅ってなんでするんだろう

高城氏がいうように、移動量が多いとやること・起こることとしては僕はこんな感じかなと思います。

・物理的な情報量の増加(景色、人、飲食などの違う文化に触れること)
・移動中に考え事をする内省の時間が取れる
・前の地点でインプットした情報のテストができる
 (昨日いた町でこんなこと見たよ、聞いたよ、体験したよ、みたいな)

これ改めて気づいたのですが、僕の持論で人間の情報処理のプロセスとしての流れは、まずインプットがあり、自分の中での解釈をしてそして自分なりのアウトプットをするという流れがあると思ってまして、これは人間だけではなくてコンピューターも同じだと思いますし、日常生活の中でこういったプロセスを行ってるんですよね。

それを加速させるブースターとして旅ってあるんじゃないかと思うわけです。

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旅をするとこのインプットの量が圧倒的に増える。
そして移動は分析して生成するのに強制的に発生するとてもいい時間です。動いている時は誰かや何か外的要因に考える時間を奪われることが基本的には無いと思います。

これが家にいたり会社にいたりだとおそらく誰かに声をかけられたり、他にやる事ができてしまったりで意外と内省する時間というのが取れないんですよね。

移動はそういう意味では穴場時間です。

よく通勤に時間をかけている人は無駄だという話がありますが、僕個人の意見としては、それはその人の時間の使い方、捉え方だと思っていて、有効に使える工夫をすればいいと思うので、無駄かどうかはその人次第だなと思っています。
あるとすると、次のインプットを得られる時間が通勤時間によって遅くなるというデメリットはありますが、ここもインプットをする工夫はあるかなーと思っています。あとは人に会う時間が減ってしまうことくらいかなという印象です。

今はインプット、アウトプットを得る手段がたくさんだが

ただ、今の時代ではブースターとしての役割を持つ旅が、インターネットの力によって以前よりは必要ではなくなってきているように感じることはあると思います。

オンラインであれば誰とでも会えるし、情報の多くはWebにある。アウトプットの手法もSNSがあるし、それこそこういったnoteもあるし。

でもやっぱりその現地の空気感だったり雰囲気、匂い、味などは行かないと得られないし、肌や体で感じるインプットを得るために物理的な旅はどうしても必要になると思うんですよね。

強制的に移動時の内省時間も取れるわけで。

旅をするメリットは人が肉体的・感覚的なインプットを物理的な要素から得る限りはずっとあり続けると思います。

仕事がどこでもできる環境は15年前よりも明らかに揃ってきています。世の風潮も、リモートがやりやすいようにこのコロナで加速されました。どこで働いていてもいいし、少なくとも朝から晩までオフィスの決まった席で決まったメンバーで顔をつけ合わせて、限られたインプットしか得られない状況じゃなくてもいいよ、という空気感は以前よりある。

リモートワークもゼロイチで考えることはホントやめてほしい

そんな折にちょっと話題になった先日のGoogleのこのニュース。

みんなタイトルしか読まないから、誤解を生みやすいタイトルによってリモート悪説が出てしまっているが、これはGoogleの給与体系が勤務地に基づいて賃金を決定しているそうで、オフィスから近いほど設定が高くなり、遠方の人は生活費低くなってるだろ、という理由で安くなるそうです。

なのでオフィスがある都心に住んでてリモートワークを選択していれば特に変わりはないということなのだが、Googleのメッセージとしては彼らは世界の最先端のイノベーション企業なのであって、イノベーションに必要なコラボレーションを生み出す環境はオフィスでこれまで作ってきたし、世界中から誰もが羨む刺激的な人材を集めてきたわけで。

この記事で書かれているようにそのほかのAppleもGoogleもIBMも全てイノベーション企業で、そういった人材の宝庫だ。

これは確かにオフィスに行って社員と交流した方がアイディアが増える可能性はあるわけで、この状況や前提の環境、在籍するメンバーの違いを日本企業(特に多くの中小企業)は、取り違えてリモート廃止とかにしないでほしいと切に願っています。この場合のアイディアは移動距離ではなくて優秀な人との交流に比例する例だからです。

僕は中小企業や個人こそ今こそジェットセッターになって、インプット量や内省量を増やして、良質なアウトプットをさまざまな場所で試すのがいいと思い、このリモート文化がさらに浸透することがスモールなチームや個人がイノベーションを生み出す装置になるといいなと思っています。

考えてみれば今までは社長の特権であった人と会うことや自由に営業をしまくることが今はどの社員でもできる環境であることは大きな強み。

もちろんフルリモートではなくて、オフィスにもたまに行ってコラボレーションをすることは大事だし、同僚と関係を深めて心理的な安全性や居場所を再認識することも大事。なのでハイブリッドに、かつ自由に選択できるというゼロイチじゃない方法で今後もやっていくことを推奨し続けたいと思っています。


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