限りある時間の使い方 〜目次と要約〜
長い目で見れば、僕たちはみんな死んでいる
人生のベルトコンベア
とは→未来はこんなはずじゃないと思いながらも、ひたすらに流れていく時間を横目に何もできずにただただ過ごしていることの比喩
やり遂げよう。でも、何を?
→喜びなき切迫感が日々を覆い尽くし、「もっとやらなければ」という焦りが一瞬も消えない日々にふと思う「やり遂げよう。でも、何を?」
PART 1 現実を直視する
第1章 なぜ、いつも時間に追われるのか
→コントロールしようと思うことで、逆にコントロールできないことに気付くから.。
時計のなかった時代
→タスク中心型の生活様式を紹介している(中世ヨーロッパ)。
永遠を終わらせたもの
それは何か?→時計と、「時間を使う」という概念
ある生産性オタクの告白
→どんなに生産性を上げてもゴールに辿り着けない、頑張っても無駄だ、と悟った。
冷たいシャワーで目を覚ませ
冷たい現実を受け入れて、自分の限界を知ることの比喩
第2章 効率化ツールが逆効果になる理由
→これまでの自己啓発本の考え方は「やり方さえ工夫すれば、大事なことをしっかりやり遂げて、心に余裕ができる」というもの。これもまたコントロールしようと思うが故にコントロールできないことに気づき、苛立ちの原因となる。
シーシュポスの受信箱
いつまでも終わらないメールの返信とシーシュポスの神話を掛けている。どんなライフハックを実施しても、ずっと忙しいままという比喩。
底なしのバケットリスト
→もっと〇〇!という考えが、終わりなき効率化の罠にハマっていく原因としている。結果的に無力感が増すばかりとなる。
タスク処理能力には意味がない
→どれだけ能力を高めても、その能力に見合うだけのタスクが存在し続けるから。処理能力を高める代わりに、全てできないという不安を抱えながら、全てやり切りたいという誘惑を振り切り、あえてやらないことを決める。
便利さは何を奪うのか
→不便を通して感じる生活の手触りを奪い、自分が何をやりたいのかをわからなくさせる。
第3章 「時間がある」という前提を疑う
死へと向かっていく存在
→人間のこと
永遠は死ぬほど退屈だ
→時間は無限にあるという考えと、時間の使い方を工夫すればあらゆることができると思っていることは、ほぼ一緒の考え。有限であるからその時間が貴重になる。
人生の全ては借り物の時間
→自分はたまたま生きているだけで、そこに必然的な法則は何もない。全てはただの偶然で、明日生きている保証なんてどこにもないということ。選ぶことはその他の選択肢を捨てるということだけれど、魅力的な選択肢から選ぶことができているという奇跡でもある。
第4章 可能性を狭めると、自由になれる
タスクを上手に減らす3つの原則
時間は今しかないので、本当にやりたいことがあるなら今すぐに実行すること
進行中の仕事を制限する
優先度中の仕事を捨てる
人生でやりたいことのトップ25をリストアップし、それを最も重要なものから重要でないものへと順番に並べる。その後、上位5に時間を使い残りの20項目は、捨てる。いつかやろうと思わないで、バッサリと切り捨てる。
完璧主義者は身動きすらできない
→完璧な仕事なんて誰にもできないのだから、肩の力を抜いてまず始めてみる。
選択肢は少ない方がいい
→その他の無数の可能性をあえて捨てた方が、目の前の相手にコミットできて、結果的に充実するから。
第5章 注意力を自分の手に取り戻す
現実は注意力によって作られる
→人生=自分が注意を向けたあらゆる物事の総体
ユーザーの意識を乗っ取る機械
→それはスマホのことだけど、スマホは単に人間の心の中にいる気を紛らわせてくる何かの力を倍増させたに過ぎない。根源に対処する必要がある。
第6章 本当の敵は自分の内側にいる
ぜやりたいことをやりたくないのか?
→時間が限られているという現実や、限られた時間をコントロールできないという不安を、できるだけ見ないようにするため。
やりたいことをやるためには自分の限界に出会わなくてはならない。自分には思っていたほど才能がないかもしれないが、全てをコントロールしたいという欲求を捨てて、とにかく進んでみるしかない。
デジタルデトックスが失敗する理由
デジタルを制限したからといって、退屈の気晴らしに対する欲求が無くなったわけではないから。
退屈とは「ものごとがコントロールできない」という不快な真実に直面した時の強烈な忌避反応である。
PART 2 幻想を手放す
第7章 時間と戦っても勝ち目はない
何が起こってもおかしくはなかった
→未来は予測できないということ
1日の困難は1日分でいい
→明日のことは明日の自分が対処してくれるから今日に対処することに全身全霊で臨もう。
第8章 人生には「今」しか存在しない
因果のカタストロフィー
→時間をうまく使ったかどうかは、常に結果の良し悪しで判断されるという考え方。
あらゆる時間は最後の瞬間だ
→ものごとにはいつか終わりが来るけれど、人は今回が最後と気付かぬまま最後の時を終えてしまう。
楽しみにしていたことが楽しくない理由
→楽しもうとしすぎるから。
第9章 失われた余暇を取り戻す
余暇を無駄にしない唯一の方法
→余暇を無駄に過ごすことこそ、余暇を無駄にしないための唯一の方法ではないだろうか?
生産性と永遠の救済
→生産性を高めてあらゆる時間を努力で満たしていれば、いつか幸せな未来がやってくる、と考えるのは宗教と大して変わらないのではないか?
人は強制されなければ休めない
→強制されなければ、無限の選択肢が存在してしまい、やらなかったことに対する後悔が発生してしまうから。
何のためでもないことをする
→何らかの目標を達成とするのではなく、ただ活動そのものを楽しむこと。そこには苦痛でも退屈でもない道がありうるから。
平凡な趣味の反逆
→純粋な趣味は、生産性や業績を重視する文化に対する挑戦状だ。
第10章 忙しさへの依存を手放す
なぜ現代人は本が読めないのか
→読書には時間がかかるという事実を受け入れたくないから。やりたいことベースではなく、時間ベースでやりたいことを決めているから、あまりにも時間がかかりすぎる読書に対して、やらないと決めた選択肢が多すぎる。
忙しさ依存の悪循環
→依存は感情をコントロールしようとする(または感情から逃げようとする)ところから始まる。感情をコントロールしようという気持ちを完全に手放さない限り、感情に打ち勝つことはできない。
第11章 留まることで見えてくるもの
見ることと待つこと
→わからないという不快感に耐えれば、解決策が見えてくる
忍耐を身につける3つのルール
問題がある状態を楽しむ
小さな行動を着実に繰り返す
オリジナルは模倣から生まれる
第12章 時間をシェアすると豊かになれる
デジタルノマドの憂鬱
→コミュニケーションを取るためには自分の時間にとらわれず、みんなの時間に参加するという姿勢が必要だが、ノマドだとみんなに合わせる時間がない。
時間の中で共にいること
→集団でいることによって得られる幸福感や安心感がある。
個人主義的な自由の弊害
→人々の生活がバラバラになってしまい、同じ時間を共に過ごすことがどんどん少なくなってきている。
第13章 ちっぽけな自分を受け入れる
コロナ禍と偉大なる休止
ほどほどに意味のある人生
→宇宙規模で見たら自分はどうでもいい存在だ。
第14章 暗闇のなかで一歩を踏みだす
時間を支配しようとする態度こそ、時間に苦しめられる原因である。
終わらない準備期間
どうすればいいの?→
不安や無防備さは、人間にとって当たり前の状態であるし、そこから逃げることはできない。この不安や無防備さ、辛さを必然であると受け入れる。
人生を生きはじめるための5つの質問
生活や仕事の中で、ちょっとした不快に耐えるのが嫌で、楽な方に逃げている部分はないか?
達成不可能なほど高い基準で自分の生産性やパフォーマンスを判断していないか?
ありのままの自分ではなく、「あるべき自分」に縛られているのは、どんな部分だろう?
まだ自信がないからと尻込みしている分野は何か?
たとえ経験や自信がなくても、やるのを諦める理由はどこにもない。どうせいつまで経っても手探りで、確信のないままやるしかないのだから、尻込みしていても仕方ない。もし行動の結果を気にしなくてよかったら、どんなふうに日々を過ごしたいか?
「それしかできない」ことをする
とは?→次にすべきことを実行するということ。
どう生きるべきかという質問には、答えがないので答えを探そうとしない。
エピローグ 僕たちに希望は必要ない
何が必要?→正しいやり方を身につければ、あるいはもっと頑張れば、どんな無謀なことも成し遂げられるという希望、いつか本当の人生が始まるんだという希望を今すぐ捨てる必要がある。
付録 有限性を受け入れるための10のツール
開放と固定のリストを作る→タスクに優先順位をつける
先延ばし状態に耐える力を身につける
一度に取り組むのは、一つのプロジェクトに限定する。そのプロジェクトをやり遂げるまでは、他のプロジェクトに手をつけてはいけない。失敗をすることを織り込み済みで目標を設定する
できなかったことではなく、できたことを意識する。
配慮の対象を絞り込む
退屈で、昨日の少ないデバイスを使う
ありふれたものに新しさを見出す
人間関係に好奇心を取り入れる
親切の反射神経を身につける→親切なアイデアを思いついたらすぐに実行する
何もしない練習をする
人の不幸は全て、一人で部屋でじっとしていられないことに由来する
感想
この本では総じて、できない、時間は有限と知る、不安に耐える、衝動に打ち勝つ、完璧な時間が手に入るという幻想を捨て去る、可能性を捨て去る、やりたいことよりやらないことを決める、手間を省きさえすれば何もかも実現できそうという幻想を捨てる、といった「現実を直視して受け入れよう」という主張を展開していた。
「何かを選び、その他の多くのものを捨てて、喪失感に耐えなければならない」、「重要なことをやり遂げるためには、思い通りにならない現実に向き合うしかない。事実を受け入れ、覚悟を決めるのだ。」など、現実を受け入れようね、気を紛らわさないでおこうね、ということを300ページにわたって伝えてくれていた。
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