英語は苦労するほど成功する?「望ましい困難」とは?

英語講師Taigaです。
タイトルの事について、早速説明していきます。

練習では苦労した方が良い?

学習中に難しさを感じたり中々上手くいかないと自分の力が上がっていないのではないかと不安になる時があると思います。

しかし実際には、練習では苦労した方が長期的に見て学習の成果が高くなりやすく、極端な言い方をすれば練習中は間違えた方が良いという事が研究で分かっています。

というのも練習中のパフォーマンスが高いと学習成果が高いという訳では無いからです。

例えば、英単語を覚えようとして自分自身でテストをしてみて、そこで正解したからといって実際に話す時に使えるとは限りません。

多くの人にとって、compromiseは「妥協する」という意味だと覚える事よりも「妥協する」を英語で書くとcompromiseだと覚える方が難しいと思います。

そのため、後者を練習している時はスペルを間違えたり他の単語と混ざって間違えたりと、前者の練習よりもパフォーマンスが低くなるでしょう。

しかしだからといって英語⇨日本語だけで学習した前者の方が語彙力の成長が著しい訳ではなく、むしろ日本語⇨英語で、しかもスペリングを含めて学習した後者の方が広く深い語彙力に繋がっていると言えます。

このように練習でのパフォーマンスが低いと学習成果が低い訳ではなく、むしろ間違えながらも頑張って苦労して練習した方が良い学習成果になる場合が多いとされています。

desirable difficulties 「望ましい困難」

これをBjorkはdesirable difficulties「望ましい困難」と呼びました。

この理論で興味深いのは、学習者は学習中のパフォーマンスが低かったり苦労が多いと、自分の能力やその学習の成果を実際よりも低く考えがちという点です。

反対に、学習中のパフォーマンスが高いと過信し、自分の能力やその学習の成果を実際よりも高く考える事もあります。

つまり何が言いたいかというと

学習している時に困難を感じたり、間違いが多い時こそ自分が思っているより成長しているという事です。

反対に、簡単だと思う時はもっと頑張った方が良いという解釈も出来ます。

英語学習は長い道のりに思える事が多いですし、学習中に心が折れそうになる事も多いと思います。

そういう時はdesirable difficultiesという理論、「苦労するほど成功する」という事を思い出して粘ってみて下さい。

しかし頑張りすぎは逆効果

If a learner does not have the background knowledge or skills to respond successfully to a given difficulty, it becomes an undesirable difficulty.

(Bjork, 2018)

Bjorkは「学習者にその困難にしっかり対応するだけの背景知識やスキルが無い場合、undesirable difficulty(望ましくない困難)になってしまう」としています。

なので自分のレベルよりも+1くらいの困難度の物に頑張って取り組むと良いでしょう。

自分の取り組んでいる事のレベルが適切か不安だったり何に取り組めば良いか分からない場合は英会話講師などにアドバイスを貰うのも手です。

参考になった、背中を押されたという方はスキやフォローなどでリアクションをしていただけますと励みになります。
今後も英語学習に関する情報発信をしますので、よろしくお願いいたします。

~参考~
Bjork, R.A. (1999). Assessing our own competence: Heuristics and illusions. In D. Gopher & A. Koriat (Eds.), Attention and performance XVII: Cognitive regulation of performance: Interaction of theory and application (pp. 435–459). Cambridge, MA: MIT Press.

Bjork, R. A. (2018). Being suspicious of the sense of ease and undeterred by the sense of difficulty: Looking back at Schmidt and Bjork (1992). Perspectives on Psychological Science, 13, 146– 148.


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