映画の字幕吹き替えと日本の英語教育についての話
この間、ベルギーの方と話をしていた時に、
面白い話を聞いたので、記事にしたいと思います。
映画の字幕についてです。
日本でも多くのハリウッド映画をはじめとする海外映画が映画館、テレビで上映、放送されていますが、
ほとんどが、吹き替えされています。
もちろん映画館では、字幕の選択肢もありますし、テレビでも副音声を選べば、英語音声にすることができますが、
大多数の人は、吹き替えの映画を見ると思います。
ヨーロッパでも、人口の多い国では、需要があるので、
多くの作品が、吹き替えされるようです。
例えば、フランス語やドイツ語は、多くの国で話されますし、市場も大きいので、吹き替えの需要が大きく、吹き替えの映画が上映されます。
しかし、オランダや、スウェーデン、ノルウェーなど、
その国の言語話者の数が少ない場合、吹き替えが作成されることは多くなく、
字幕映画が上映されるそうです。
なぜこんな話になったかというと、
この吹き替えがない国の人たちは比較的英語が話せる数が多いからです。
(もちろんドイツ語は英語とかなり似ていますし、ドイツの英語教育は発展しているので、例外となりますが、)
日常に英語があり、幼い頃からテレビ等で英語の音に触れていることは非常に大切だと思います。
日本のメディアやエンタメは独自に発展し、すでに十分にあるため、
特に海外からエンタメを入れなくても、需要が満たされてきました。
私がヨーロッパに旅行している時に驚いたのは、
普通にテレビでアメリカの番組が放送されていること。
その時はイタリアだったので、吹き替えられていましたが、
こんな風に日常に英語があることは、英語教育にとって大切だよなと
22歳の時に思ったことを、この話をしていて思いだしました。
バンクーバーの語学学校で英語を教えていた時も、
メキシコの生徒が、よく見る映画は基本ハリウッド映画でした。
普段も何で英語を勉強するの?と聞くと、
基本的にみんなNetflixや映画で勉強すると教えてくれました。
日本の英語教育の根本的に厳しいところは、
英語を使う必要性がリアルじゃないこと。
です。いくらグローバル化が進んでいて、将来英語は大切だと言われても、
英語を聞くのは、学校の授業中のみ。
これでは、やる気も全く起きません。
実際、私が高校の時も、
お前たちが大人になる時は、企業もグローバル化して、英語は必須になる
とひたすら言われ続けてきましたが、
全くそんなことはありませんでした。
ただ、私の危機感として常にあるのは、
日本人の英語の出来なさです。
日本の素晴らしい文化と歴史と技術は世界に本当に誇るべきものなのに、
どうしても国際競争で負けてしまう。
言語で主導権を握られてしまうと、競争もできないですよね。
また、高校で英語を5年間教えて感じたことは、
生徒は本当に一生懸命英語を勉強して、
教師も一生懸命教えます。
何なら本当は化学とか物理とか歴史とかやった方が人生においていいんじゃないかと思う時もありながら、
その時間を犠牲にして、英語をめちゃめちゃ勉強します。
そして、高校を卒業する時点では、
実は結構英語を使えるようになっています。(スピーキングを含め)
だって、英検2級レベル(CEFR B1)
に大学を受験する生徒は仕上げてます。
それが、受験英語だろうと、実用的な英語力であろうと、
そこから自分で学習を続けていける能力は備わっているんです。
なのに、卒業するとほとんどの学生は完全に英語学習をストップします。
本当に勿体無い。
ここまでの3年間の苦労を完全に消去してしまいます。
なので、教員最後の1年間は、
生徒に、今テストで点数を取るより、
英語が好きな方が断然大切だ。
とずっと言い続けてきました。
日本人の英語ができない理由はもちろん色々あります。
言語的に英語と日本語は違いすぎるので習得するのにはスペイン語話者やドイツ語話者と比べると、かなりのディスアドバンテージがあります。
ただ、それだけではなく、
日常に英語がないという社会的要因もかなり大きいことは確かです。
これに憂いを感じている文部科学省は、
一生懸命学校にプレッシャーをかけます。
社会も、学校の英語教育がダメだから日本人は英語を話せない
とか好き勝手いいます。
もちろん、英語教育を向上させる必要はありますが、
日本は教育を学校に任せすぎです。
年々、学習指導要領は厚くなり、カリキュラムは増え、教科も増えます。
それ以前に、
英語教育に関して言えば、
日本人が英語を話せない根幹を考えているのでしょうか?
前述した通り、その根幹は、必要性の欠如です。
小手先で、センター試験から共通テストに変えて、問題形式を変えてみたり、
変な研修ばっかり増やしたり、
そんなことに予算を使うのではなく、
社会全体が、もっと英語に日常から触れる仕組みやメディアを増やしていく。
そんな必要性を高めるアプローチもしてみたらいいのではないでしょうか?
思ったことをただただ書き殴りましたが、
日本人が英語を自信を持って話せるようになり、
もっと世界と競争できるようになれば、
世界で活躍する企業、人材ももっと増えるんじゃないかと思います。
やはり、このテーマについては思うことが多いので、
また機会を見つけたら書いてみます。