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あれよ、あれよという間に30年

海外ジプシー暮らしも30年。性格もあるのだろうが常に慌ただしく、動いている間に人生の半分以上が海外暮らしになった。そして今や、自分の日本人機能がどうなんだというところ。かと言ってヨーロッパ人でも無い、まさにジプシーがピッタリ。言語学的に言えばターザンかもしれない。どれも満足に使えず、発声のアーウーという単純な音で済ましているのではないか。日本語をこれ以上忘れたくなくってこのブログもしつこく書いているようなもの。

1、日本人の多くは、21世紀の今まだテレビのニュースや情報を真面目、素直に受け取っているのだと驚く。スポンサーは莫大なお金を出してTV広告を作り、そこに有名なタレント、歌手、俳優を使ってもその見返りがあるぐらからやるんだろうが。そして出演した人は、有名具合にもよるだろうが、広告一本で、仕事せずとも1年間は楽々食べれるぐらいのギャラが入るらしい。原発について調べていた時に、広告に使われているタレント、歌手、俳優、知名人の幅の広さを知り驚愕した。なるほどこれらの人がコマーシャルに出てメリットを受けているので、個人の政治的、思想的な発言ができない、もしくは潜在的に封鎖してしまうのだろう。ヨーロッパを見ている限り、コマーシャルが持つ影響力は日本のように巨大ではないのは確か。ネスレのコマーシャルのジョージクルーニー、ナイキ、ローレックス、メルセデスベンツのフェデラー、など桁外れの広告料が払われているだろうなっていうのは存在する。ちょっと知れてる有象無象のタレント出演コマーシャルはないに等しい。だからそれぞれが自分の主張をはっきりしている。

先日ニュースでイギリスのチャールズ王がバッキンガム宮殿では今後フォアグラを持ち込まない事、を決めた。個人的にチャールズ王はどちらかといえば好きではないのだけれど、この決定には拍手を送る。スイスはフォアグラを自国では作ることができない。動物愛護のため。しかし、フランスから輸入は許可している。クリスマスや、ニューイヤーになるとレストランでは必ず使われている。フォアグラには反対の私たちは食べないが、他人にやめろと強制もしない。ただレストランでも自分のポリシーはそれぞれ示していく。

2。神秘的かつ摩訶不思議なお金のやり取りが日本社会には存在する。それをお礼や心づけという。どこの国でも賄賂というお金のやり取りは存在する。でも日本のお金のやり取りは見事に美しく包装されて見えなくなっている。それを納める美しい熨斗のかかった和紙の袋。たった一回で捨ててしまうには惜しいような。これこそ、The Nippon。亡くなった母はお茶、お花を教えていた。お免状を申請していただいた時には、同様の金額のお礼をすると言うのが通例になっていた。そしてこのお礼というものは基本的にお心付けで申告しないため、税金がかかっていない。
日本にいた時には当たり前になっていたが、ヨーロッパで暮らしていると。やっぱりこれ変。日本の習い事ではこういったのが慣例。現代ではこの日本伝来の習い事文化は廃れていくようになるだろう。フラワーアレンジメントは月謝だけで、お免状制度がない。そして師弟制度が崩れてくると、この代々続いている、伝承の慣例は、途切れてしまう。

1998年に亡くなった夫は教会に大人になってからは行っていなかったが、お葬式は英国国教会の牧師様に、と言われていたのでお願いした。夫の経歴を前日に話して、その話の中から牧師氏は当日お葬式をスピーチをして司ってくださった。さて、牧師さんにお礼を渡す時に、見当もつかずそして牧師様を紹介してくれた友人にどのぐらいかしら、って尋ねたらそれは寄付としてあなたの心遣いよ。。と言われた。私はとっても控えめに10万円ぐらいで良いかなと言った。友人は私を馬鹿だと思ったらしい。その金額たるや、1万円ぐらいでもとっても十分だと。
日本のお葬式で袈裟の色でお礼の金額が違っていたし、戒名にもお金が必要だったはず。結局私は時間を割いてくださった事に感謝をして日本円で3万円ぐらい直接お金を渡した。封筒にも入れず。。。。その牧師様は心から喜んでくださった、教会の役に立てますね、ありがとうと。

スイスの夫の父親は既に亡くなってから30年、母親も亡くなってから15年以上になる。カトリックの両親はどちらも教会でお葬式をして、その横にお墓があった。夫の父のお墓はもう存在しない。この地域はお墓が残されているのは25年ぐらい、あとはお墓は取り除かれ、その同じところにまた新しいお墓が建てられる。お墓はしばらく借りている場所。でも私はこの25年お墓終了がとっても気にいってる。25年経ったら自分のことを直接知る人もいなくなってる、じゃあもう終了というのがさっぱりして良くないだろうか。


その3、日本ではちょっと病気になってもみんな会社や学校を休むために病院に行く。ヨーロッパではありえない、まず自宅休養するのが当たり前。病院に飛んで行く人は少ない。特に風邪や流感は、医者の前にまず自宅に引きこもり、市販のお薬を飲み普通は自宅で治すもの。スイスでは主治医は必要。全ての自分の病歴は眼科であっても、産婦人科であっても、緊急入院をしても主治医のところに行く。反対専門医のところにも主治医から送られることが必要。もし長期に休む場合、重病であったり、手術や休養が必要な場合、主治医からそのレポートが会社に行き、有給休暇になる。

その4、家の中は静かに優雅に歩くもの。これを聞くと日本人はそりゃそうでしょうと思うだろうが、実は日本人は家の中をせかせか走る。日本人ではなくもしかしたら大阪人だけだろうか。まず歩幅が日本人は狭くちょこちょこと走る。靴を脱いだ生活の日本人は家の中で少々パタパタ走ろうが音がしない。昔スペインのうちの犬たちはそれに慣れていなかった。日本からの友人が来て滞在していたら、友人達が家の中で動くと、犬がびっくりして吠えていた。そして夫曰く、日本人はどうして家の中でまで走るんだと。

その5、日本人は、便利がよく、めずらしいものが大好き。確かに日本の台所のラップは使いやすい。文房具品だってとっても良質で気の利いたものがいっぱいある。多分まあ細かなところまで気がつくとびっくりする。トイレのウオッシュレット、今やアジアの国々に波及しているのかどうかは知らないけれど、スペインに住んだ時に欲しいと思った。その後、ヨーロッパでウオッシュレットまがい物が出たのを知った高価ではあったけれど闘病中の夫に良いかもと買ってみた。しかし5年持たなかった。ヨーロッパの水は硬水で石灰が付着するために、壊れた。使用頻度の高い電気ケトルはお酢を入れて、しょっちゅうきれいにしないと、真っ白になって壊れる。もちろん家に入る水道を全てフィルターにかけるという方法もあるが、これとて大変だった。高品質の軟水で暮らしている日本人には決して想像できないと思う。

日本で白い下着や服を洗うともちろん洗剤も良質なんだろうが、白く仕上がる。ヨーロッパの硬水ではみるみるうちに黄ばんだり、灰色になったり、白を白く保つにはなかなかの努力が必要なのだ。そして食器洗浄機、洗濯機、どちらも硬水を柔らかくするための薬を入れたり、月に一度はミネラルを取るケミカルを入れて、器具のメインテナンスをしないと耐久年数が短くなる。

その6、日本の野菜、果物は日本人の繊細な口と繊細な目を満足させるため、素晴らしく美しい芸術作品が、安価で売られてると思う。海外30年ともなれば繊細とは程遠くなり、こちらのもので十分になってきた。でも帰国すると気になるのが、全ての野菜の味が、元々あった、えぐみ、苦味、酸っぱさ、が全て排除され、食べやすくなっているという事。ここまで品種改良しないと日本人のお口には合わないんだろうか、と一抹の不安がある。数年前に、日本の夏のニュースとして、四角いスイカ。というのがあった。本当に売られているのか、それとも海外受けのトピックかは知らない。でも一緒に見た夫には思いっきり呆れられた。

1980年代私が日本を離れた当時、日本はイケイケで元気があった、日本があるから世界があるみたいにでっかい、いやいや堂々とした態度で日本人が闊歩していた。時代は変わった。今、外から日本を見ていると、日本国自体がADHDの傾向ありではないか、少なくとも国が丸ごとASD 自閉症スペクトラムに陥ってるんじゃないのというぐらい、日本以外に目が向いていないのが怖い。