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よくある植物は名乗らんわ
中上健次の十九歳の地図に「名前を知らない街路樹の枯れた葉っぱが鳥の死骸のように落ちて濡れ」というぶぶんがあり、うんわたし街路樹の名前を知らないとはげしめにうなずく日没。
多くの物語で"よくある風景のよくある植物"としてぞくぞくと正式名称植物がでてきたりする、言葉で花束をつくろうとしているのだろうかあれは、それならそれでいいのだけどでもよくある風景のよくある植物は名乗らんわ。
いったん名乗られてしまった以上その名前と姿を一致させないといけないような気がしてあわててスマホをひらいてぐぐる、ほほんこんな花なのねん見たことあるような無いような、話に関係あるかもしれんから花ことばも調べとこそういやLINEの返信来てるかしらん(意味もなくツイッターを開く)んで現実に帰りゆきます大抵は。
現実に帰りたい人が物語を読むと思う?
その点、中上健次は土くさくてひわいな言葉で不吉な夢にとじこめてくれたから愛嬌をふりまきたいす。好きのうまい表現をいつまでも知らずにいるからそんなことしか言えん。