小説の書き方がわからない人へ送るパクり小説術

 小説の書き方がわからない方へ。上手な小説の書き方なんて、

この世にありません!


 そんなものがあったら、新人は小説業界に参入できないし、ベテランはスランプにもなりません。てか、方法がわかってるなら編集者が自分で書いた方が早いです。誰もわからないから、天才の力に頼るしかないんです。
「こう書けば売れる」って、それっぽいことを書く人はいます。でもそれは、「私はこう書いたら売れた」っていう話です。正しい方法ではあるんですけど、あなたはその人ではないので、それでうまくいくわけじゃありません。生まれた環境も年齢も違うんだから、同じことやったって結果は変わるに決まってるじゃないですか。
 
 小説の書き方っていうのは、自分で見つけるしかありません。だからここでは、その見つけ方の方法の一つを書いたつもりです。願わくば、参考になりますように。

小説指南書を買う

  我々の先輩たち(東野圭吾さんなど)は、10年、20年かけて小説の書き方というものを身に着けてきたわけです。理論上、あなたがそれをいちから身につけようと思ったら10年近くかかるわけです。しかしそのころには、他の人も10年分進んでいるので、実質、あなたは周回遅れになるわけです。
 そこでまずは先人の築き上げた土台の上に乗っかってしまおう、というわけです。先人が何十年もかけて身につけた知識を一夜で知る。それを可能にするのが小説指南書です。
 アマゾンで "小説指南書" と検索すれば、「プロだけが知っている小説の書き方」とか「小説を書きたい人の本」とかいう題名の本が出てきます。おおよそ、2000円以内で購入できます。
 選ぶにあたって特に注意点とかはないですが、海外の本と古い本はやめた方いいかもしれません。プロだったら参考になる部分だけ読み取るってこともできます。でも全部真に受けてやっちゃうと時代や国が違うから、間違った方法を取り入れちゃう可能性があります。
 特に、小説家を目指している人だと、面白い小説を書くだけじゃなくて出版社との付き合い方とか、書いた本をどうやって売るかも考えなきゃいけません。アメリカにはエージェントという職業の人がいて、作家はその人に作品を売り込んでもらいます。だけど日本では編集者がエージェントの役割も担っています。こういう風に、国ごとにやり方がそもそも変わってきちゃうので、そこは気をつけてください。
 お金を使いたいっていうほどではないという人は、図書館に行って借りてくるか、今やっているみたいにネットで調べるかのどちらかです。『作家でごはん』というサイトに『執筆の基礎』というコーナーがあるんですが、そこに役立つ情報がいくつか載っていますので、参考にするといいと思います。

小説を読む

 小説指南書を読み、あるいはサイトで情報を手に入れて、書けそうな気分にはなりました。
 問題は何を書くか、です。
 啓発本ジャンキーあるあるなんですけど、成功のメソッドを知ってできた気になったけど、実践する力が身についてないから実質何も変わっていないというようなことがあります。
 読んだだけでできるなら、みんな作家になれます。書いてあることを実践するのが難しいからなれないんです。それができるようになるまで練習するのが、これから我々がやるべきことなのです。
 さっきの話に戻ります。指南書を読んだところで、文章力なんてものは身についていない。アイディアもストーリーもない。じゃあどうするか。パクればいいんです。
 図書館か本屋さんへ行って、本を一冊手に入れて読むのです。本の選び方については、好きな本を選ぶのが一番です。それがわからないっていう人は、本屋大賞の受賞作を選べばいいんじゃないかと思います。本屋大賞は、本屋さんの店員が投票して受賞作を決める、といったかんじのシステムになっているんですけれども、そのおかげかハズレがないです。
 おすすめの選び方は、(本屋だとできない本もあるけど)本を手に取って真ん中辺りをばって開いて、そこを読んで好きか嫌いか判断するのがいいです。最初と最後って割ときっちり書く人は多いですけど、物語の途中はぐだる傾向があります。特に腕のない方はそうです。真ん中あたりを読んで没頭できたら相性がいい本だと思って間違いないと思います。

普通にパクったら二番煎じです

 パクると言いましたが、普通にパクったらそれは原作の二番煎じになってしまいます。
 じゃあどうするかといったら、自分の好きなことを混ぜます。
 今だと、『成瀬は天下を取りにいく』が本屋大賞受賞作になります。これを例にとります。
 この世に生きている人間で、アニメもドラマも見たことがない人ってほぼいないと思うんです。大体の人は、一話から最終話まで全部見たアニメとかドラマがあると思うんです。
 そこでまっさきに思い浮かんだものが、おそらくあなたの好きな作品です。
 ここでドラえもんが思い浮かんだとしましょう。そしたら中学二年生の少女とドラえもんを組み合わせましょう。もし成瀬が猫型ロボットと出会ったら、とか猫型ロボットが中学二年生の女子みたいな性格だったら、とか。
 たったこれだけです。たったこれだけで、もうパクりではなくなりました。新たな作品のアイディアです。
 こんなの誰でも思いついてるよ、って思うかもしれませんが、その通りです。逆に言えば、数百年前から世界中の人によって小説というものが書かれ続けているのだから、書かれていないパターンがあると考えるほうがおかしいです。
 あとは、『成瀬は天下を取りにいく』を元にしてストーリーを作り、文章の表現で困ったことがあったら『成瀬は天下を取りにいく』に書いてある文章を参考にする。これで大体なんとかなると思います。

小説を書いてはみたけれど

 ここで一気に完成まで飛びます。あなたの執筆作業に協力できないのは残念ですが、それはプロの指導と、プロの作品というお手本に任せたいと思います。
 現代最高の作家と言われる男、スティーブン・キングは言いました。「ひたすら読み、ひたすら書け」と。
 基本的には、書いて読んでを繰り返していく過程で自分なりの得意ジャンルやストーリー構成、文法、文章テクニックなどを見つけていくという流れになります。
 問題は、どう頑張ればいいんだろう、ってことです。これはやってみたらわかるんですが、指南書の言う通りに書いて自分でも面白いと思ったものが、ウケないときがあるんです。そうなっちゃうと、どうしたらいいのかわからなくなってくるんですよね。
 問題点や突破口を探す一番の方法は、自分の作品を人に読んでもらうことです。小説というのは不思議な性質がありまして、自分の作品のことはわからなくても、人の作品のことは驚くほどよくわかるのです。サークル活動で小説を見せあいっこしている人たちはそのことをよく知っているのではないでしょうか。
 プロに見せたい、と思ったら小説講座に通うとか(小説を読んでもらえてテクニックも学べて一石二鳥)あるいは文章の校正サービスをインターネット上で受け付けている方もいます(小説 校正と検索すればヒットします)。ただ、もちろん有料です。相場は、10000円からページ数が増えるごとにどんどん上がっていくかんじだったと思います。

作品を読んでもらう場『作家でごはん』


 でも、3000文字ぐらいしか書いてない小説を読んでもらうのに10000円払うのも馬鹿らしいじゃないですか。あるいは、友達に見せるのに恥をかきたくないっていうだけで別にお金を出してまでうまくなりたいってほどじゃないよ、っていう人もいると思います。
 そういう方たちは『作家でごはん』に作品を投稿してみるといいと思います。
 ネットに投稿するというだけなら『小説家になろう』とかあるんですけど、いかんせん感想がつきにくいんですよね。感想がつかなかったら、「あ、つまらなかったんだ」ってわかるんですけど、どこが悪かったのかはわからずじまい、ということがほとんどです。
 その点で行くと、『作家でごはん』はほぼ確実に感想がつくのでそこはメリットです。
 プロが読むわけではないので的外れな指摘がないとはいいきれません。気難しい人もいますから、厳しい言葉が来ることもあるでしょう。指摘通りに直したら、絶対にいい作品が作れるよ、といううまい話も存在しません。(人の言う通りに直すのではなく、人の指摘を自分でかみ砕いて考えなおすから、自分の文章になるんだと、筆者は愚行します)
 ただ、小説を書くにあたって、一人で書くよりも同志たちと意見を交換しあいながら書く方がいいのは間違いないと思います。完成したやつとか投稿してみてだめだったやつを見せて、どこがだめだったか訊く分には、いいんじゃないかって思います。少なくとも、孤独に一人で努力し続ける苦しみは幾分か安らぐでしょう。
 理想としては、大勢の人が『作家でごはん』に来るようになって、活発に意見を交換しあっていく中で、一人でも尊敬できる人とか気の合う人を見つけられたらいいんじゃないかって思います。住んでいる場所とか、年代とか関係なくいろんな人と関わることができるのがネットの利点です。
 でも、出会い厨とかはやめてください。それはマッチングアプリでやりましょう。個人情報の流出にも十分、注意してください。
 以上で、小説術の伝授を終わります。書き方についてはほぼ何も教えてないですけどね。そもそも語るほどの腕がありませんし。
 それでは、よい小説ライフを!
 
 



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