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ネガティブ思考も、使いよう。


8年も「うつ」と付き合って生きていると、憂鬱の扱いにも職人じみた手捌きが見られるようになってくる。変わらず、憂鬱な日はやってくる。しかし、それは決まって悪いものになるわけではない。

「うつ」も、その扱い次第では、「力のバリエーション」を豊かにするカードの1枚にすらなり得るのである。

憂鬱の構成成分は、「わずかな不調」と、崩れた「バランス」、そして、そこから生まれる「自省の絶望的に連続的な空振り」だけである。

今回は絶賛、憂鬱に突入中の筆者が、ひとつひとつ憂鬱を分解しながら、憂鬱について考えていきたいと思う。いま見ている映像の「模写」そのものとも言える。

わずかな不調について

これは8割あきらめた方がよい。ひとは個人差はあれど、定期的に不調に陥る。不調を避けることは大切だが、不調にならないことを前提に生活を組んでしまうと、不調のとき死ぬ。精神病に陥る唯一の「メリット」と呼べるのはこの部分で、しっかりと「不調を前提に組み込んだ生活」を設計できる(せざるをえない)ことなのだ。この点においては、はやいうちに「うつ病」になっておいて、よかったとすら思っている。

不調になることを受け入れる。では、そこからどうするのか?

崩れたバランスについて

とにかく重要なことは、憂鬱なときに発生している(ように表れる)問題の多くは、単に一時的な「バランス」が崩れたことによるものだ、と認識することだ。ここで、必要以上に「なにか問題があるのではないか?」と考えすぎないことを、ルール化しておくこと。変なアプデをしない。クソみたいなソシャゲの運営になるな。

バランスの崩れが要因で起きている問題は、バランスを取り戻すだけで解決される。バランスを整えるには、ただ待つこと。なにもしない。よけいなことをしない。風がやみ、鉄柱の揺れがおさまるのを、ただじっと待つ。ジタバタしないこと。でないと、とおくの地面へと真っ逆さまだ。


いきすぎた自省について

ここからが本題だ。つまり「自省の絶望的に連続的な空振り」である。これが「憂鬱だ」と感じるユーザーの多くが「目の前に感じている絶望」の本体である。とにかく、すべてが空回りする。

すべての他者が「じぶんを否定するための素材」として映るし、とにかくアタマの中で「なぜ」が駆け巡る。そして、その問いはすべて空振りして、永遠にぐるぐると回り続けていく。バックグラウンドで処理され続ける、それらの情報がアタマの容量を圧迫して、処理を行う機能は完全にフリーズ。こうして、無限の地獄におちいる。

なぜじぶんはこんなことも出来ないんだろう」とか、意味のない、答えのでない問いを並べ始める。こうして、憂鬱のフィードバック・ループが無限の回転をはじめて、精神がおわる。

この「無限の回転エネルギー」を逆に利用する。これが今回のメイン・ディッシュである。

いかにして、憂鬱パワーを利用するのか?

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いちど壊れたものは、元に戻らない。あきらめること。そこがスタート地点だ。元には戻らない。戻そうとしない。戻すことにエネルギーを割かない。とにかく、今あるものを緻密に認識する。それを活かすように勤める。その『敏感なセンサー』を元手に、元にはなかったものを獲得する。ないものを嘆くことをやめて、あるものを最大限利用し、ないものを獲得する。この順序で考える。

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