外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」第2話 競争社会の中にいること
第2話 競争社会の中にいること
先日、私が入社した大手電気機器メーカーで、新入社員だった時の先輩とお会いし、食事をしました。
先輩は56歳になって役職定年で部長の職を下り、そして新しい会社に転職されるということでした。役職定年でほとんどの人が会社を去っていること、語学力がないと外資には行けないので選択肢が狭まること、次の会社は60歳以降も勤められることを第一に給与等の条件も下げたことなどを率直に語ってくれました。厳しい話もありましたが、先輩が元気で、前向きに色々なことを考えていられることに、刺激をもらうことができました。
この話から、私は良くも悪くも日本では競争社会が激化していることを改めて認識させられました。60歳定年を延長(再雇用)する動きがある中で、多くの企業では社内での選抜は前倒ししており、60歳まで同じ会社に残れる可能性は低くなっています。
我々は日々、安定した環境にいるとふとそのことを忘れてしまいます。しかし、今安定した職場と給与、仕事があることは、だれでもが自然に手に入る当たり前のことではないのです。
競争社会は、文字通り、常に何かの競争の上に成り立っています。また会社自身も厳しい競争の中に存在しています。したがって皆さんはそのことを常に基本において、能力開発に励んでもらいたいと思います。
このことは、人事部にも言えます。次のような質問を考えてみてください。
「今の人事のオペレーションは継続的改善を続けているだろうか」
「人事の総人員は、生み出す価値・生産性に見合っているか。その価値や生産性は市場平均を上回っているか」
「社内の他部門からみて人事はよくやっていると認識されているか」
もしも我々の組織が継続的に改善していることを示せなければ、将来何らかの見直しが入ることもあり得ます。不安をあおるつもりはありませんが、自分を律し、いつでもおこりうる「変化」に対応できる実力と精神を養っておくことがとても重要です。