セカンドハーフ通信 第107話 助けられる側の知恵
助けられる側の知恵
義理の母が初期の認知症という診断を受けた。いままでできたことがだんだんできなくなってくる。今やっていたことや言ったことを忘れてしまう。
一方で本人はいままで通りとあまり変わらないでできていると思っている。会話なども違和感なく、実際、見た目にはあまり変わらない。
だから自分が特別扱いにされることをひどく嫌がる。人の助けを受けたり、認知症の人たちと同じようにみられることを嫌う。段々と不機嫌になり、不平不満を言うことが増えていく。
確かに本人のストレスは相当なものだと思う。いままでできていたことがどんどんできなくなる。しかし、自分の認識はあまり変わっていない。脳の病気であるが為、自分の身に起きていることを整理できない。
しかし、不平不満ばかり言っていると、結局「扱いづらい人」になってしまう。家族や周囲の人は助けてあげたいと思って手を差し伸べるが、不満ばかり言われると力が萎えてしまう。サポートが少なくなれば一番困るのは本人だ。
この悪循環を断つには、自分の周りの人にまずは感謝することだろう。「ありがとうね」「悪いね」という短い言葉でいい。なにも考えずにとにかく口に出す。そうすることで人からのサポートを受けやすくなる。もともと困っている人に嫌がらせをする人はいない。それは助けられる側の知恵でもある。