セカンドハーフ通信 第35話 飲食店のホスピタリティ

飲食店のホスピタリティ 

ある地方都市に1人で行ったときのことである。夕方にホテルに到着し、外で食事をすることにした。小道にたくさんのお店が並んでいる少々さびれた商店街で、1軒の中華料理店に入った。

ドアをあけると片側には5つのテーブルがあり、3組ほどが食事をしていた。その反対側にはテーブルが2組ほどあったので、そこに座ろうとすると奥のほうから若い店主が「予約があるのでこちらにお願いします」といって、一番奥のカウンターに招いた。

本当に予約があるのかなあ?と思ったが、1人だったので店主の言うとおり奥のカウンターに向かうことにした。カウンターの席につくと、その周りは野菜や荷物が無造作に置かれていて、お客がくつろぐような状況ではなかった。

そうはいうものの入ってしまった店なので、座って注文をしようと思っていると、店主が「傘は傘たてに持っていってもらえますか?」と声をかけてきた。その日は雨が少し降っていたので折りたたみの傘を持参していたのだが、コンパクトに畳むタイプで傘たてには入らないものだった。傘を畳んで手元に持っていたのを店主がみて、声をかけたようだ。

さすがにこの発言で歓迎されていないなと思い、私は「やっぱりまたにします」といって席を立ち、店を出た。この店主とは波長が合わなかったと思うことにしたが、この店には「お客を迎える際の店のホスピタリティ」を感じられなかった。一人客にカウンターを使わせたいなら、少なくとも荷物は片付けておくべきだと思う。せっかく食べるのだから無理していやな雰囲気の店では食べたくないと思った次第である。

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